責任という名の無責任

 代表取締役社長は基本的に、社内で一番給料の高い人です。
 羨望の眼差しで見られることもあるでしょう。
 しかし、良いことばかりではありません。
 
 まず、会社が倒産した時、一般社員は職を失うだけです。
 社長が個人保証していた場合、自己破産を余儀なくされ、個人の資産も全て失います。
 ちなみに、某旅行会社の女性社長は、数百万円の個人資産を隠し持っていたとして逮捕されました。

 自己破産をしますと、信用会社のブラックリストに登録され、数年間はカードが持てませんし、免責決定を受けるまで、建築士や宅建士等の士業の仕事にも就けません。
 そして社長には、退職金も失業保険もありません。
 
 勿論、資本家から指名されたサラリーマン社長の場合、倒産=自己破産と成るケースは稀です。
 それでも、今日「社長」と呼ばれていた人が、明日はただの人と成るリスクは常に背中合わせ。
 社長の待遇の良さは、そうしたリスクの見返りでもあるのです。
 
 業績向上、借入返済、雇用維持、待遇改善、商品開発、クレーム応対、サービス向上、メンテナンス・・・。
 会社の全ての責任は、社長にあります。
 社員はもとより、取引業者も、金融機関も、皆社長への信頼が前提です。

 だからこそ、自らの進退は軽々に口にすべきではありません。
 いや、職業選択の自由は国民の権利として保証されていますので、辞めるのは勝手です。
 
 しかし、本当に辞める場面以外で、進退を口にすることはNG。
 「責任を取る」という言葉が、もっとも無責任に聞こえることもあります。

農園の法則

 TOPは孤独です。
 その前提となる要素として、社員と経営者との立場の違いがあります。
 
 「会社の利益が上がれば、社員の雇用が安定し、多くの報酬で応えることができる。」
 大義の下において、両者の利害関係は合致し、同士にも見えます。
 但し、長期的な思惑は合致していたとしても、短期的には相容れない事象が少なくありません。
 
 『長期的戦力確保のために新卒採用は不可欠』
 短期的には人件費が重く圧し掛かり、教育のためにベテランの手が取られて生産性の妨げになる。

 『新規出店や新事業への投資は業績拡大に必須』
 短期的には先行投資が嵩み、既存店や既存事業の戦力が割かれるため、業績の足を引っ張る。
 従って、こうした取り組みを一般社員に相談しても、前向きな話には成り得ません。

 「農園の法則」
 今、我が農園の果樹には、たわわな果実が実っています。
 果実を収穫し、出荷すれば、それなりの収入も得られます。
 そこで、「隣の荒れた土地を開拓しましょう」、「新たな樹を植えましょう」と言ったなら、どうでしょう。
 その樹が育ち実を成すまでの数年間は、労力ばかりかかり、利益は上がりません。
 従業員は不平を口にし、待遇に不満を持ちます。
 数年後、新たな収穫が得られる様に成るまで・・・。

 それは、TOPのみに許された、TOPが下すべき、TOPにしかできない決断です。
 唯一確かなことは、種を蒔かずして未来の収穫は得られないということ。
 そして、短期的業績が落ち込んでも、長期的な判断を見誤っても、すべてはTOPの責任です。

粗利率ゼロの是々非々

 経営分析の中で、陥りやすい罠の話を一席。
 
 売上から原価を引いたら粗利。
 経営を良くするためには、多くの粗利を確保する必要がある。
 従って原価は、低ければ低いほど良い。

 ちなみに、建築業の原価率は、70~80%と言われます。
 この原価には、何が含まれているかというと・・・。

 ・ 原材料費 (倉庫に眠っていたタイルや木材)
 ・ 外注費 (いわゆる下請業者への支払い)
  これ以外に見落としてはならないのが、設計や施工管理等、製造に関わった人件費です。

 例えば、次の事例。
 某地場工務店は手持ちの仕事が無く、受注を取るのに四苦八苦しています。
 設計社員も工務社員も暇を持て余し、朝から晩まで事務所で掃除三昧。
 A様邸は、ハウスメーカー数社と競合し、久々の受注に漕ぎつけました。

 但し、当初見積提示した2500万円は、大幅値引きを余儀なくされ、最終契約金額は2000万円。
 実は原価も2000万円・・・つまり粗利0円、原価率100%です。
 「こんな仕事取ってくるな!」
 社長の逆鱗に触れ、営業マンはこっぴどく叱られました。
 
 社長のお怒りはごもっともです。
 粗利0では会社は立ち行きません。
 それでも、この仕事によって、少なくとも遊んでいた設計社員と工務社員は稼働します。
 粗利0であったとしても、彼らの「シノギ」だけはできています。
 仮に、この仕事を取っていなければ、彼らの給料分はマイナスとなり、更に経営は行き詰っていった筈です。

 決算書の数字だけを見て、「粗利率を上げろ」「原価率を下げろ」と指摘するのは難しくありません。
 また、「粗利率の低い仕事を断る」ことも簡単です。

 しかし、その前提は、会社の生産力がフル稼働していること。
 つまり選別受注は、選別できるだけの量のクライアントや情報ソースに恵まれていることが前提であり、そうした選別受注できる環境を整えるのが、営業や商品開発の手腕です。

 粗利率の高い案件に絞った結果、社員が暇を持て余しているとしたら、それこそ王より飛車を可愛がる愚と言えるでしょう。

一日一生の連続

 訃報に接する度、似たような文章を綴ってきました。
 何度繰り返しても、自省・自戒なくしては語れない愚かな生き様です。
 いや、身近な訃報は、その愚かさを諭すための機会なのかもしれません。 
 
 亡父は、46歳で結核を発症し、入退院を繰り返し、59歳の若さで息を引き取っています。
 肺結核は静かにゆっくりと、そして確実に父の身体を蝕(むしば)んでいきました。
 食欲が亡くなり、身体が痩せ細り、咳がひどくなり、死というものが近付いていることを、周囲のみならず本人も自覚していた筈です。
  
 亡母は、四年前のクリスマスイヴの夜、炬燵の中で心臓発作を起こし、たった一人で亡くなりました。
 享年77歳。
 彼女はきっと、明日の朝に目が覚めないことなど思いもしなかったでしょう。
 
 人の死は、癌の様に予兆を感じさせるパターンと、心筋梗塞の様に突然召されるパターンとに分かれます。
 終活の準備期間を与えられる方が良いのか?
 もしくは、ある日突然、こときれる方が良いのか?
 畏れ多くも究極の選択です。

 しかし唯一確実なのは、「生」ある限りにおいて「死」は免れられないということ。
 今日の帰路、交通事故に遭うかもしれないし、明日の朝、心不全に倒れるかもしれません。
 であるにも関わらず我々は、永遠に生きるかの如く錯覚をして、今日やるべきことを明日に先送りしながら生きています。 

 夜、眠る時に命を終える。
 朝、目覚めた時に新たな命が吹き込まれる。
 
 一日一生の連続こそが人生です。

功名か汚名か

 冬季五輪開催中の三連休。
 個人的には全く盛り上がりません。

 TV観戦というよりも、寧ろ五輪放映を避けるくらい。
 それは、日本人の活躍振りとは無縁です。
 ワイドショーは、挙って美女応援団や、国家主席の妹の「微笑み外交」を取り上げています。

 「是非、平壌へお越し下さい」
 この言葉に、満面の笑みで応える隣国のTOPは、本気で「歴史に名を残す」お考えのようです。
 しかし、北を取り巻く問題は、この数週間で氷解するほど単純ではないでしょう。

 どれだけ強がっても北は、経済制裁に困窮し、米国の軍事力に脅威を感じています。
 全ての演出が、核開発の時間稼ぎのためであることは、火を見るよりも明らかです。
 
 パラリンピック閉会後に予定されている、米韓軍事演習が一つの試金石。
 延期すれば、米国の逆鱗に触れます。
 強硬すれば、融和路線を韓国が破ったということを、同胞や国際世論に訴える格好の材料になります。
 つまり、何れを選択しても北の思う壺なのです。

 今回の五輪は、本来あるべきスポーツマンシップの枠の外で、汚れた外交戦略の渦中に巻き込まれてしまいました。
 隣国のTOPが確かに、歴史に名を残すかもしれません。
 それが「功名」か「汚名」かはともかく・・・。 
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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