あるヤクザの生涯
石原慎太郎著「あるヤクザの生涯」を読みました。
あるヤクザとは、実在した「安藤昇」氏のことです。
時代を破天荒に生きた、安藤昇とは。
十代の頃から陽の当たらない道を歩き、15歳で感化院、18歳で少年院へ収監。
退院後、自ら特攻隊に志望したものの、入隊二ヶ月後に終戦。
愚連隊結成、そして安藤組の旗揚げ。
少年期、青年期は、裏稼業一色でした。
そこから俳優、作家、歌手、プロデューサー。
マルチな才能が開花します。
前科者のヤクザの親分が、芸能界に転身することは、今では考えられません。
あの石原慎太郎が、伝記の筆を取るのも稀有なことでしょう。
文末の長い後書きに、石原慎太郎と安藤昇とのやり取りが紹介されています。
安藤「あんたはこの国は核兵器を持つべきだと言ってるんでしょう。俺も同感だ。」
石原「それは何故です。」
安藤「だって、相手が拳銃を持っているのに、こっちがドスだけじゃ喧嘩にならない。
そんな当たり前の道理が何故通らない。
私みたいに渡世を生きてきた人間には判り切った話だが、平和惚けしたこの世では通らない話なのかね。」
さて、安藤昇の歌った「男が死んで行く時に」の歌詞の中には、一つの短歌が詠まれていました。
「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」
※ 日本人の大和魂の勇ましさは、(平時では現れなくても)ここぞというときに現れるものだ。
※ 日本人の大和魂の勇ましさは、(平時では現れなくても)ここぞというときに現れるものだ。
明治天皇が、日露戦争下の国民を鼓舞すべく詠んだ歌です。
かつて安倍元首相も引用したことがあります。
はたして「ことある時」とはいつなのか。
「今でしょ」。
深くは語りません。
深くは語りません。
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