何処に行こうとしているのか
小さな船は今まで、瀬戸内海の穏やかな海を航行していた。
今期は一念発起、遠い夢の港に向け、太平洋を越えて行こうと目標を定めた。
キャプテンは行く手の時化具合を監視し、航路を見極め、舵を取る。
クルーは懸命に櫓を漕ぐ。
初めて漕ぎ出した大海は、経験したことが無いほど波は高く、うねりも強い。
まるで木の葉の様に舟は舞う。
今こそクルー全員が一致団結し、全力を出し切れば、必ず乗り越えられる筈だ。
ところが、船内の休憩室からは、不協和音のヒソヒソ話が漏れ聞こえてくる。
「あいつの働きが悪い!」
「あいつの言葉遣いが乱暴だ!」
「キャプテンの横暴さが問題だ!」
「そもそも、無謀なチャレンジだったんじゃないのか?」
「引き返すなら早い方が良い。」
彼らが話すのは、親しい仲間内のみ。
直接当事者に意見することはない。
摩擦や軋轢を生むことを恐れるからだ。
ましてや、キャプテンへの直訴などとんでもない。
聞き入れて貰う筈が無いし、評価を下げられたり、冷遇されたりしたら堪らない。
そうした不満分子の存在を、キャプテンも薄々気付いてはいる。
しかし、彼らの言い分を聞いたり、説得することは甚(はなは)だ面倒臭いと匙を投げた。
果たしてこの船は、目標の港に辿り着けるのか?
そして、一体何処に行こうとしているのか?
今期は一念発起、遠い夢の港に向け、太平洋を越えて行こうと目標を定めた。
キャプテンは行く手の時化具合を監視し、航路を見極め、舵を取る。
クルーは懸命に櫓を漕ぐ。
初めて漕ぎ出した大海は、経験したことが無いほど波は高く、うねりも強い。
まるで木の葉の様に舟は舞う。
今こそクルー全員が一致団結し、全力を出し切れば、必ず乗り越えられる筈だ。
ところが、船内の休憩室からは、不協和音のヒソヒソ話が漏れ聞こえてくる。
「あいつの働きが悪い!」
「あいつの言葉遣いが乱暴だ!」
「キャプテンの横暴さが問題だ!」
「そもそも、無謀なチャレンジだったんじゃないのか?」
「引き返すなら早い方が良い。」
彼らが話すのは、親しい仲間内のみ。
直接当事者に意見することはない。
摩擦や軋轢を生むことを恐れるからだ。
ましてや、キャプテンへの直訴などとんでもない。
聞き入れて貰う筈が無いし、評価を下げられたり、冷遇されたりしたら堪らない。
そうした不満分子の存在を、キャプテンも薄々気付いてはいる。
しかし、彼らの言い分を聞いたり、説得することは甚(はなは)だ面倒臭いと匙を投げた。
果たしてこの船は、目標の港に辿り着けるのか?
そして、一体何処に行こうとしているのか?
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