今際の際の一粒の苺

 こだわりの苺を作る「石尾農園」さんのことは、以前にも拙文でご紹介しました。
 ちなみに2012年のバックナンバーです。

 「宝石の如き思い入れ苺」 http://nyhomepre.blog133.fc2.com/blog-entry-606.html

 石尾さんとは、毎月月初の飲み会で友好を深めています。
 近況報告で、この日参列したWさんの葬儀の話をしたところ、「知っている」と一言。
 いったいどこに接点があるのか訊ねてみると、これが驚きの縁(えにし)でした。

 病に倒れ、食欲も無くなっていく中、家族は「果物なら食べられるのではないか」と考えます。
 知人を通じ、内子に美味しい苺を作っている方があると知り、娘婿のSさんが取り寄せ、ベッドの上のWさんに勧めると、「こんな美味しい苺は食べたことがない。」と感激し、幾つも頬張ったそうです。

 しかし、その後も日に日に病状は悪化します。
 ある日、付き添っていたSさんに、Wさんが云いました。
 「S君、もう一度だけ、あの苺が食べたい・・・。」

 滅多に頼み事をしないWさんの、今生(こんじょう)の願いです。
 すぐさまSさんは、山の奥の農園へと車を走らせます。
 一刻を争って持ち帰った小さな苺を一粒食べ、「美味しい・・・」と呟くWさん。
 思いを遂げたWさんはこの日、眠るように安らかな表情で天に召されました。

 「おかげで美味しい苺を食べさせることができました。本当にありがとうございました。」
 Sさんから石尾さんの元へ、丁寧な御礼の連絡があったそうです。

 「最後の晩餐に何を食べたいか?」
 
 よくある質問です。
 職業人としての石尾さんに、このドラマの様なエピソードは、どう受け止められたのか?
 云うまでもなく大変な誉(ほま)れであり、まさに苺農家冥利につきます。
 
 近年、労使対立の構図がクローズアップされ、余りにも殺伐とした仕事観が蔓延しているように感じるのは自分だけでしょうか。
 今際の際(いまわのきわ)で、人々を結んだ一粒の苺の縁が、とても大切な仕事の意味を教えてくれた気がします。 
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プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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