商人の原点:後編

 当時のハタダのチラシには、必ず次のコピーがありました。
 「一個から配達します。 お気軽にお電話下さい。」
 
 ”一個から”とはいえ、「まさか一個の注文は無いだろう」と思いますが、現実は甘くありません。
 1パック280円の柏餅を山奥まで片道30分かけて配達したことも、一個80円のどら焼きを持って行ったこともあります。
 ある時、妙案が浮かび、翌日の朝礼で周知しました。

 「ガソリン代や人件費を考えたら、一個からの配達は見合わない。
 従って今日から、遠隔地からの依頼はエリア外としてお断りして下さい。」

 住宅地図の頁番号に×をつけたところがエリア外です。
 いつも依頼いただく方からの注文も、手の平を返した様にお断り。
 当然、お怒りを買いますが、愚かな店長は全く気付きません。

 それでも、№1FC店へと上り詰め、ハタダ本社のある新居浜市のホテルで行われたFC大会に臨みました。 
 賞を総なめにし、盾や表彰状を手に、得意満面な店長。
 そこで、当時の畑田達志社長が、次のお話しをされたのです。

 『一個からの配達ということで、皆さま方にはご苦労をお掛けしております。
 ピザ屋の様に、エリアを限定したり、「○○○円~」と金額の下限を決めるやり方もあるでしょう。
 しかし、それではお客様の満足は得られません。
 世の中に、「少しの注文は他所へ」「大口の注文だけはうちへ」という商売はない。
 寧ろ、金額が安ければ安いほど、量が少なければ少ないほど、配達の距離が遠ければ遠いほど、お客様は恩義に感じて頂き、「次の注文もハタダで」と思って下さるものなのです。』

 ここまで分かり易く説いて貰っても、愚か者の店長はまだ腑に落ちていません。
 「言うは易し、行うは難し」綺麗事と思った節すらあります。
 ところが、次に続く言葉で、目が覚めました。

 『もし皆さんのお店に、東京の方からイチゴショート一個(200円)の配達依頼が来たとしたら、お断りせず、新居浜の本社に転送下さい。
 弊社の社員がイチゴショートを抱え、新幹線に乗って配達させて頂きます。』

 フランチャイジーに対し、あるべき論を押し付けるだけでなく、フランチャイザー自らが率先垂範する姿勢。
 この言葉は、今の自分の商売人としての原点です。
    
 NYホームを起業して初めての契約は、50万円の売買契約でした。
 隣接する二軒の家の仲たがいを仲裁し、農転、分筆、合筆、相続等々、様々なプロセスを経て、数ヶ月かけて手にした仲介手数料総額は5万円。
 今月末にも、40万円の土地売買取引を控えています。

 先述した、80円のどら焼き一個の配達を承ったお客様は後日、法事用に十数箱の注文を頂きました。   完
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プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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