会社は誰のものか:後編

 一つ目は、柳井氏は資本家も兼ねた創業社長、鈴木氏は創業家の信頼を得たサラリーマン社長であるという点です。
 
 鈴木氏は、今回の件を踏まえ、こう語っています。
 「コンビニエンスチェーンを総反対の中で作ってきた私としては、資本と経営の分離が大事だという思いがある。」
 
 その通りです。
 ウォーレン・バフェットの様に、長期保有を前提として企業成長を支えるスタンスならともかく、転売益を目的として短期の利益を最大化することを望む資本家の思うままに経営陣が操られれば、どこかで綻びが出るのは必至。
 資本と経営は、明確に一線を画すべきでしょう。

 もう一点、社長交代劇の中に、親族の存在が影響したか否かです。
 この問題について鈴木氏は、完全否定されました。

 とはいえ、83歳という高齢を鑑み、自らの息子にバトンを渡すべく焦ったのではないかという見方は、あながち邪推とも言い切れません。
 実績が乏しいにも関わらず、異例の速さで出世街道を駆け上がってきた、鈴木氏の次男のキャリアがそれを物語っています。
 それでも決して、鈴木氏の偉大な功績は揺らぎませんが、スーパースターの引き際にしては、余りにも生々しい会見でした。
 
 ここで、鈴木氏の際立った才覚の反動とも言える、問題点が浮かび上がります。

 「いつしか、強過ぎるが故の弊害が社内に蓄積していたに違いない。
 重大な経営判断を30年間に渡って下し続け、流通の神様と称されたカリスマに対し、役員陣はみな思考停止に陥り、鈴木氏を前に委縮した。」 日経新聞

 柳井氏もしかり、鈴木氏もしかり、強烈なリーダーシップの裏返しに潜むリスクは、幹部社員の思考停止と後継者不在。
 いみじくも鈴木氏は、現社長を、こう叱責しています。

 「貴方は何一つ新しいアイディアを出していない。
 経営方針は全て私が打ち出し、貴方はそれに従ってきただけだ。」・・・

 最後に、冒頭で述べた「会社は誰のものか?」というテーマの答え。
 資本主義の原理原則からすると、会社は紛れもなく資本家のものです。
 今回も、資本家の意向が少なからず影響しました。

 しかし、最終的に重要なのは、「鈴木氏無き後の会社が、お客様から支持されるか否か?」。
 「会社は誰のものか?」の答えもそこにあります。        以上
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プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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