アベノミクスの検証:後編

 仮に全100戸のプロジェクトを売り出すとしましょう。
 ディベロッパーは、事前反響や競合他社の販売状況を見て、初回の売り出し戸数を決定します。

 即日完売間違い無しとみれば、100戸を一気に、ということもありますが、それは稀です。
 苦戦が予想される場合には、確実に売り切ることのできる10~20戸だけを売り出します。
 小分けにして売り出すことで、「第一期分譲即日完売!」と広告に打ち、次に「第二期販売開始!」と、イベントの山を創出する訳です。

 即ち、仮に成約率90%としてもそれは、100戸中90戸売れた・・・という意味ではなく、100戸中売り出した10戸の内9戸が売れたに過ぎず、実質的な成約率は100分の9の9%しかありません。
 そこまでやりくりした末の、6割とか4割とかいった契約率は、大変厳しい数字です。
 
 ちなみに、リーマンショック前の最盛期と、今年の1~10月の首都圏販売戸数を比較してみましょう。

■2005年 67,075戸 平均契約率82% 10月契約率83.8% 
■2014年 32,187戸 平均契約率75% 10月契約率63.3%

 単純計算で、上記販売戸数と契約率とで、売れた実数を求めると以下の通りです。

■2005年 55,001戸
■2014年 24,140戸

 首都圏だけは良いかもしれないが、地方はその恩恵に預かってない・・・。
 最近良く聞くこうしたフレーズも的外れで、実は首都圏すら、必ずしも好景気ではないのです。

 その一つの理由は、前述したコスト高です。
 一邸あたりの平均価格を比較してみます。

■2005年 4108万円(75.4㎡) 単価54.5万円/㎡
■2014年 4560万円(71.5㎡) 単価63.8万円/㎡

 面積を5%小さくしたけれど、建築原価の上昇を吸収し切れず、売値は10%以上高くなった。
 実質の単価上昇率は17%。
 その価格に、庶民の消費ニーズはついていけない。

 ドラスティックな金融政策によって、円安&株高&インフレに誘導し、物価は上がれど、給料もそれ以上に上がる・・・というアベノミクス論は、現時点ではまだまだ実現していません。

 数字の羅列になりましたが、実体経済とは数字に表れるものです。   以上
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プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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