死者の特権の誘惑

 再生医療研究の世界的な権威である、理化学研究所の笹井芳樹氏が自ら命を絶ちました。
 一時はノーベル賞確実と囃(はや)されたSTAP細胞論文で、小保方晴子氏を指導した共著者でもあります。

 その後の疑惑や釈明会見は、今更説明するまでもありません。
 年齢は私と同じ52歳・・・余りにも早過ぎる死を惜しむ声が世界から聞こえてきます。

 再生医療研究の若きエースとして注目され、順風満帆の人生を送ってきた故人にとって、STAP細胞との出会いは大きな転機でした。
 共著者としての責任を追及され、小保方氏との関係性にも疑惑の目を向けられ、四面楚歌と成ります。

 「進退は理研の判断に従う」としたものの、心身ともに追い込まれ、職務を全うできる状況では無かったようです。
 研究所のスタッフに対しては、来年以降、研究所は無くなる可能性が高いとして、求職活動を促していました。

 輝かしい過去の功績を帳消しするかのようなバッシング、自らを慕う研究者に対する責任、様々な思いが去来したであろう心中を慮(おもんぱか)りますと、胸締め付けられます。

 日経新聞の「春秋」は、串田孫一氏(詩人・哲学者・随筆家)の言葉を引用していました。

 『死者は、どんな厳しい、また見当外れな非難を受けても、聞く耳がない。
 傷つけられても、傷つけられたことを、永遠に知らない。
 これこそ死者の特権である。』
 
 美しいものを美しいままで留め、罪も疑惑も永久に封じ込める、死者の特権の誘惑・・・。
 
 今日は、広島原爆の日です。
 69年前の今日8:15、たった一発の原爆で、広島市民の三人に一人が命を落としました。
  
 どれだけ格好悪く、惨(みじ)めで、愚かしく、無様でも、死者の特権の誘惑を断ち切り、天から召されるまで生き続けることこそが、命受けたものの責任と尊厳です。 

 - 合掌 -
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プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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