営業のヒット&エラー:後編

 「いや、申し訳ないのですが、今日押印することはできません。
 やはり地元の兄弟が強硬に反対をしていて、未だ調整に苦慮しております。」
 
 再びふりだしです。
 そこから、様々な不安や問題が噴出します。
 御親戚の手元には、私が持っているものよりも厚いフラットファイルがあり、質問事項がビッシリ書かれていました。
 ここでの生活を、真剣に考えていることの証左でしょう。
 
 「承知しました。
 押印するしないはともかく、重要事項と契約書の内容を説明させて頂ければ、細かい疑問点は粗方解消される筈です。
 それよりも大きな意味で、契約のネックになるのは地元の御兄弟の反対だけですか?
 今いらっしゃる御本人様とお二人のお気持ちは、ここを終の棲家とすることを望んでいらっしゃいますか?」

 頷く表情に、確かな手応えを感じました。
 
 「自分の経験からすると、相談する御身内は例外なく反対されます。
 それは、御本人のことを心配するからこそです。
 高い買い物でもあるから、より慎重に考えよと諭して下さっている訳で、御身内としては当然です。
 ただ、あくまでもそこで住まうのは御本人様なのですから、御身内とは言え他人からのアドバイスで機を逸したとなれば、後々後悔を残す恐れもあるでしょう。
 御自身の人生ですから、御自身の目で見て気に入られたのであれば、御自身で決断されることをお奨めします。
 但し、どうしても周囲の理解を得たいということであれば、是非一度、内見にお誘い下さい。
 資料や言葉だけでは、なかなか伝えきれません。 
 何といっても、百聞は一見に如かずです。」

 響いたかどうかは判りませんが、「明日か明後日、何とか連れて行きます」という言葉を残し、その日は帰られました。
 翌朝、内見予約のお電話を頂き、10:30でアポ取り。
 30分前に現地に到着すると、既にお客様の車が停まっています。

 「御兄弟は別便で来られるのですか?」
 その問いかけに、御客様は笑顔で、そしてしっかりした口調で答えられるのです。
 「いえ、兄弟は来ません。
 自分で決めました。」

 営業にとって至福の瞬間。  
 このプロセスを読み、エラーとヒットのポイント判別ができるようなら一人前です。   以上
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プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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