許されないこと

 今から十年以上前の話です。
 前職の建設会社の現場に出入りしている、ビジネスパートナー(協力会社)からの告発を受けました。
 
 「現場監督が、若い社員に対して、恒常的に暴力を振るっている。」

 会社として、当事者にヒアリングすると、監督も若い社員も、素直に事実を認めます。
 しかし、そこに被害者と加害者の姿はありません。
 若い社員は監督に対して、処分を望むどころか、尊敬の念を抱き、日頃の指導に感謝しています。
 厳罰or情状酌量、賛否両論が飛び交い、最終的に会社が下した答えは諭旨解雇でした。

 我々は、スポ根アニメを見て育った世代です。
 「巨人の星」にも「アタック№1」にも「エースを狙え」にも「柔道一直線」にも・・・。
 主人公を厳しく鍛える、鬼コーチが必ず存在していました。

 何れも師弟間は、深い愛情と厚い信頼の絆で強固に結ばれています。
 叱るのは、膨大なエネルギーが必要です。
 我が子だと思うからこそ、愛情があるからこそ、正しい道へ向かわせるために厳しく指導します。

 「スクールウォーズ」では先生が、大敗した試合の後、選手一人ひとりを拳骨で殴りつけ、泣きながらこう語りかけるのです。
 「いいか、殴られた痛みなど三日で消える。
 だがな、今日の悔しさだけは絶対に忘れるなよ!」

 御存じの通り、このドラマは実話です。
 先生のモデルであった山口良治さんの講演は、涙無くしては聞けません。
 その山口先生が十数年前に、内子座で講演された際、最も感動的な鉄拳のエピソードはカットされていました。
 地元教育委員会の主催であったためです。

 時代は変わりました。
 心根はともかく、許されないことは許されません。
スポンサーサイト

リンゲルマン効果

 社員面談には、二つの狙いがあります。

1. 組織の方針を伝える
2. 社員の本音を探る

 その上で、不明な点は説明し、ズレがあれば是正し、納得して貰い、ベクトルを合わせます。 
 本来、組織人である限り、上意下達は絶対です。
 しかし実際の現場では、上司からの鶴の一声で、組織の末端まで一気通貫することは、まずありません。

 綱引きに例えてみましょう。
 敵軍に打ち勝つべく、苦悶の表情で一所懸命、全身全霊の力を込めて引っ張る人もいます。
 一方、取り合えず綱に手はかけているものの、力は程々に、うすら笑みを浮かべている人もいます。

 実際、綱引きにおける「社会的手抜き」は、心理学で実証済みです。
 「リンゲルマン効果」
 実験結果によると、1人で綱を引っ張ったときより集団で綱を引いたときの方が、明らかに1人当たりの力は弱くなります。
 しかも、参加人数が増えるほど、1人当たりの貢献度が低下します。
 つまり、人数が多くなるほど手抜きがひどくなるのです。

 この戦いに勝利することの意義と意味。
 勝利した際の報われと、敗北時の辛酸。
 全員が力を合わせれば、必ず勝てるという洗脳・・・。

 様々な言葉を紡(つむ)いで社員を鼓舞し、手抜きを排除し、組織の力を最大限に引き出す。
 やる気にさせるのは、リーダー次第です。

大義なき不毛な争い

 最終的かつ不可逆的な合意を反故にしようとしている隣国で開催される五輪。
 その開会式に、自国の首相は参加すべきか否か?
 賛否両論あるところです。

 TV番組に出演されていた石破元防衛大臣から、明快な答えを頂きました。
 「こうした国際間の約束が守られないようであれば、今後とも外交は成り立たない。
 しかし、今回の五輪に当たっては、先方から招待状が届いた。
 選択肢は二つ。
 一つは、招待を受け入れ、参加した上で、改めて自国の主張を伝える。
 もう一つは、不参加によって抗議の意思を伝える。
 これまで日本は、良識的なスタンスで外交を展開してきた。
 後者を選べば、相手と同じ土俵に乗ってしまう。
 従って、安倍首相の選択は正しい。」

 ポスト安倍の最右翼と目される石破氏ですが、是々非々でのコメントは流石です。
 我々の属している業界団体も、同じことが言えるかもしれません。

 大義なき不毛な争いが十年以上続いています。
 しかも、目には目をと言わんばかりの、低レベルの泥仕合。
 改選期の今春こそは、業界の未来に灯りをともす、建設的な総会を期待しています。

ストックホルム症候群

 ストックホルム症候群についてご紹介します。

 1973年8月、ストックホルムにおいて発生した「銀行強盗人質立てこもり事件」において、犯人が寝ている間に、人質が警察に銃を向けるなど、犯人に協力して警察に敵対する行動を取っていたことが判明。
 また、解放後も人質が犯人を庇い、警察に対して非協力的な証言を行っている。
 この問題を調査したフランク・オックバーグ博士は、FBIとイギリス警察に、以下の報告をした。

 「人は、突然に事件に巻き込まれて人質となる。
 そして、死ぬかもしれないと覚悟する。
 犯人の許可が無ければ、飲食も、トイレも、会話もできない状態になる。
 犯人から食べ物をもらったり、トイレに行く許可を貰ったりする。
 そして、犯人の小さな親切に対して、感謝の念が生じる。
 犯人に対して、好意的な印象を持つようになる。
 犯人も、人質に対する見方を変える。」

 正に心理学の世界です。
 同様に人間関係は、心の振り子の振れ幅によって決定付けられます。
 
 危害を加えられずとも、常に叱られたり、嫌味を言われたりすると、人は逃げ出したくなるでしょう。
 だからといって、年がら年中、四六時中、褒められたり、優しくされたりしても、決して心は揺さぶられません。
 何故なら、振り子が振り切った状態で動かないからです。

 一方、例え烈火の如く叱られたとしても、時に優しい言葉で絆(ほだ)されれば、相手に対する従属性が強まります。
 心の振り子の振れ幅が、大きければ大きいほど、心が揺さぶられるためです。

 上司部下の関係も、この振れ幅によってバランスされている場合があります。
 但し、その均衡は極めてリスキーです。
 被害者からの声が上がらないからといって、必ずしも結果オーライではありません。

そして誰もいなくなった

 昨日のブログで、「上司としての役割と責任を果たせる人だけが手を挙げれば良い」と説きました。

 数字に強く、勉強熱心で、愛社精神に満ち、知識も経験も豊富で、戦略性に富み、部下の面倒見が良く、クライアントからも信頼され、いつも笑顔で、ポジティブで、徳があって・・・。
 そんな百点満点の、完全無欠な上司はなかなかいらっしゃらないでしょう。
 
 実際、社員との個別面談においては、上司に対する不平・不満・愚痴をぶつけられることが多々ありますし、相応しくないと思われる上司はいます。
 当然会社には、役職者の任命責任もあります。
 とはいえ、「上司としての役割と責任を果たせない人は手を下ろせ」と、単純に裏を返す訳にはいきません。
 
 まずもって、役職者は組織に応じて必要です。
 また、中小企業における、管理職人材の層はそう厚くありません。
 欠点だけにフォーカスし、外していったら、社長の自分も含めて誰もいなくなってしまいます。

 コンプライアンスに反する場合を除いては、これからの成長に期待し、片目を瞑って任せるしかないのがお家事情です。
 その現実を受け止めた上で、長所にフォーカスし、指導・教育によってレベルアップさせることがTOPの役割であり、会社の成長に不可欠な要素だと思っています。

上司を部下が評価する

 数年前、ある社員から意見されたことがあります。

 「上司は部下を評価する。
 部下は上司を評価できないのか?」

 その時の、自分の回答は以下の通りです。

 「上司が部下を評価するのは仕事の一環。
 上司を評価するのは、部下の仕事ではない。」

 実は部下も、上司を評価しています。
 勿論、評価書等のアウトプットはありません。

 上司にセクハラやパワハラやコンプライアンスに抵触する様な実態があれば、訴えることで当然に処分されます。
 独善的であったり、思いやりに掛けるとしたら、部下はやる気を失くして生産性が低迷します。
 上司が原因で、心の病を患ったり、退職してしまったりすると、戦力に穴が空いてしまいます。
 一連の理由で数字が上がらない上司は、責任を取ることになります。

 つまり部下は、上司の言動を日々つぶさに観察しながら、評価を重ねています。
 だからといって上司が、部下に阿(おもね)る必要はありません。

 社長も含め上司は、「エライ」訳ではないでしょう。
 上司の居場所を煎じ詰めれば、役割と責任。
 果たせる人だけが、手を挙げれば良いのです。

既成概念の打破

 宅建協会八幡浜支部&大洲支部合同研修会。
 今回の講師は、宅建協会の会員でもいらっしゃる、公認会計士の鵜篭先生でした。
 実は会社でも毎月顔を合わせ、教えを乞うキーパーソンです。

 世の中には、相続税や事業承継に関するセミナーが沢山あります。
 しかし、その多くは、士業の先生が上から目線で、知識や情報を垂れ流すだけ。
 受講者は殆ど理解できず、煙に巻かれて終わり。
 鵜篭先生はそれを、「マスターベーション」と表現されました。

 おっしゃる通りです。
 簿価、時価、固定資産税評価額・・・。 
 これらは全て結果。
 数字が何を意味して、各々がどう関係しているのか理解できなければ、実務に活用できません。

 不動産業者がクライアントから、売買の相談を受けた際も同じ。
 「何故、売ろうとしているのか?」
 転勤、相続対策、資金繰り・・・。
 本音の理由を聞かなければ、正しい提案はできないでしょう。
 時に、売らない方が良い場合も、売れない場合もあります。
 
 参加していた宅建業者は当初、損益計算書や貸借対照表の数値の羅列に敷居高く感じていた筈です。
 しかし、鵜篭先生のセミナーは良い意味で期待を裏切って下さいました。
 
 そういえば数年前、相場に見合わない固定資産税額に異議を申し立て、大幅減額を勝ち取ったことがあります。 
 お上が定めた数値だからといっても、完全無欠ではありません。
 結果として目の前に提示された数値に対し、当たり前と思わず、「何故」と疑問を持つ姿勢が肝要です。

 今回のセミナーは、既成概念を打破し、思考回路を転換する良い切っ掛けと成りました。
 鵜篭先生、ありがとうございます。

リーダーとは

 「WINING 勝利の経営」でジャックウェルチは、リーダーとして行うべきことを八か条にまとめてくれています。
 リーダーと思しき方は是非チェックリストとして、出来ているか否か、自らを採点してみて下さい。

1. リーダーはチームの成績向上を目指して一生懸命努力する。
  あらゆる機会を捉えて、チームのメンバーの働きぶりを評価し、コーチし、自信を持たせる。

2. 部下にビジョンを理解させるだけでは不十分だ。
  リーダーは部下がビジョンにどっぷりと浸かるようにさせなくてはならない。

3. リーダーは皆の懐に飛び込み、ポジティヴなエネルギーと楽天的志向を彼らに吹き込む。

4. リーダーは率直な態度、透明性、信用を通じて信頼を築く。

5. リーダーは人から嫌われるような決断を下す勇気、直感に従って決断をする勇気を持つ。

6. リーダーは猜疑心と言い換えても良いほどの好奇心で、部下に質問し、プッシュして、部下が行動で答える様にする。

7. リーダーは、リスクをとること、学ぶことを奨励し、自ら率先して手本を示す。

8. リーダーは派手にお祝いをする。

 文中にある以下の二行は、リーダーとは何かを、明確に表しています。
 『 リーダーに成る前、成功とはあなた自身が成功することだった。
 ところが、リーダーに成った途端、成功とは他人を成長させることになる。 』

事後の百手より事前の一手

 クレームゼロは理想ですが、現実的には避けて通れません。
 実際にクレームが発生した場合の、解決に向けたポイントを列記します。

1. 謝罪
 まずもって、非があるとすれば、誠心誠意のお詫びを申し上げることが最優先です。
 そこが伝わらなければ、相手方は感情的になり、一層拗れてしまいます。

2. 報連相
 組織的に動く場合、事細かな上司に対する報連相が必須。
 知識と経験値からして、部下よりも正しい判断を下すことができるからこその上司です。
 しかし、正しい情報が伝わっていなければ、判断を誤ります。 

3. スピード
 クレームが拗れてしまう、大きな要因は「遅い」。
 担当者が苦手意識を持った場合、一週間、一ヶ月はあっと言う間に経過します。
 その放置されている間に、怒りはマグマの如く沸騰するのです。

4. 複数対応
 揉め事になれば、必ず言った言わないの話になります。
 そして言った言わないに成ると、こちらの負けです。
 複数で対応すれば、そうした齟齬や思い違いを失くすことができます。

5. 守秘義務
 当事者しか知らない内容が、第三者に漏れてしまうとしましょう。
 すると、個人情報の漏洩として、二次クレームに発展します。
 くれぐれも留意すべき事項です。

 担当で解決できなければ、上司の店長に。
 店長で解決できなければ、社長に。
 社長で解決できなければ、地元の協会の無料相談に。
 地元で解決できなければ、県の協会の苦情処理委員会に。

 当然のことながら、段階を経る程に事態は深刻化し、円満解決は遠くなります。
 事後の百手よりも事前の一手です。

アカウンタビリティー

 国家はもとより、大企業において、独裁的な運営はリスクです。
 一方、創業期および中小零細企業におけるTOPは、ワンマンで無ければ務まらないというのも事実でしょう。

 大前提として意思決定は、責任の取れる人間にしかできません。
 中小企業のTOPが、重要な経営判断に際し、社員に対して「どうしようか?」と相談するのはナンセンスです。
 仮に相談したとしても、最後は自らの意思で決断する必要があります。

 さて、ここから先は、中小企業のワンマン社長を奨励する前文と、少し趣きが異なります。
 決断はワンマンだったとして、その意思決定プロセスの説明責任は、TOPが果たすべきの重要な仕事です。

 人間は、保守的な生き物と云われます。
 現状維持を心地よく感じ、変化を嫌うのが常です。

 TOPが唐突に改革を宣言した場合、社内には「なぜ?」「どうして?」という、不平不満の声が渦巻きます。
 そうした声を力で抑え込んだとしても、疑問が潜在する状況では、100%の力を発揮できません。

【 社員が迷う三つの疑問 】
 ① 今、どこに居るのか判らない
 ② これから、何処に行くのか判らない
 ③ そこへ、どうやって行くのか判らない

 社員の疑問に答え、不安を取り除き、納得して働ける状況を創る。
 それがTOPに求められるアカウンタビリティー(説明責任)です。

前方だけ見る運転

 以前、ある書籍から学んだ言葉です。

 「損益計算書だけ追いかける経営は、前方だけ見て運転する様なものだ。」

 運転する際には、状況に応じて目線を変えます。
 車線変更する際は、バックミラー。
 速度超過せぬように、スピードメーター。
 ガス欠にならないように、ガソリンメーター。
 目標へと誘(いざな)ってくれる、ナビ・・・。

 会社経営も同じです。
 貸借対照表、キャッシュフロー計算書、中長期事業計画書・・・。
 その進捗や読み取れる指標から、現在の会社の立ち位置を知り、将来を見据え、適宜正しい判断をしなければなりません。

 例えば投資。
 店舗展開は、企業の中長期的な成長発展には欠かせません。
 しかし、その新店が軌道に乗るまでは、耐乏を強いられます。

 例えば、採用計画。
 利益の最大化のために、採用を見送り続けると、将来的には中堅層が空洞化します。
 中長期の利益を重視して、身の丈以上の新卒採用を行うと、固定費が増大し、今の利益が目減りします。
 短期と長期のバランスは難しいものです。
 
 先日、出張で倉敷に行って参りました。
 出発地の松山から倉敷までは約180km。
 10:00に到着するために、余裕を見て7:00に出発。
 前だけではなく、ナビやバックミラーやスピードメーターに目線を移しながら運転。
 ガソリンが底をつきそうなら給油。
 時間的に余裕があれば途中のSAで休憩、余裕が無ければノンストップ。
 
 すべて当たり前のことですが、経営では意外に、前だけを見て運転していることも少なくありません。

リスクを薄める多角化経営

 単一事業を営む会社は、専門性が高まる一方、永続性へのリスクを抱えます。
 例えば、公共事業主体の建設会社を例示しましょう。

 お客様は誰かと言えば、国、県、市、町、村といった自治体です。
 その財政状況や政局によって、繁閑は左右されます。
 実際、民主党政権時代には公共事業が削減され、仕事量は激減しました。

 会社は、好況時も不況時も生き残り、雇用を維持し、給料を支給し続けなければなりません。
 その使命を果たすには、一本の柱だけでは脆弱です。
 単一事業への依存を薄め、第二、第三の柱を構築すべく、未来への投資を行う必要があります。
 
 今得た果実を、全て分配してしまう、場当たり的な経営。
 今得た果実の一部を、将来の投資に充てる堅実な経営。

 二つを比べた時に、どちらが正しいかは、火を見るよりも明らかでしょう。
 勿論、好況時に得た利益を、有事に備えて社内に蓄えておくのも一案です。
 但し、内部留保できるのは納税後の残りの額でしかないことだけは頭に入れておいて下さい。
 
 公共工事を中心とした会社が、民間事業に積極的に手を拡げる様はリスキーに見えるかもしれません。
 SONYの創業者である盛田昭夫氏は、事業の多角化について次の様に語っています。

 「市場の拡大や事業の多角化は、リスクを大きくするのではなく、寧ろリスクを小さくするのだ。」

 一つの場所を市場としていると、大震災に見舞われた際、壊滅的な打撃を受けます。
 県外や国外あるいは幾つかの事業に分散していれば、一つの柱が倒れても、第二、第三の柱が会社を支えてくれます。
 そのためにはやはり、投資が必要なのです。

 投資は挑戦であり、必ず果実を得られる保証はありません。
 しかし、種を蒔かずして果実を得る可能性はゼロです。

虚構の上司像

 いつの時代も常に、部下は上司を選べないし、上司も部下を選べません。
 それにしても、上司に求められる能力は多様です。

 判断力、実行力、傾聴力、包容力、統率力

 他にも、実務的な能力、明朗さやポジティヴ思考、誠実さ、人としての徳・・・。
 私も含め、完璧無比で100点満点の理想の上司は、そうそう居ません。
 中には、相応しくない方がポストに就いている可能性もあるでしょう。
 しかし、その上司が上司たる理由は必ずあります。

 例えば、消去法。
 中小企業における人材の層は薄く、管理職候補も限定的です。
 お家事情としては、それでも片目を瞑って、誰かを管理職に充てざるを得ません。
 
 そして、代替案の無い提案は戯言です。
 「Aさんは駄目だからBさんにしましょう。」
 「Cさんに任せておけないから私がやります。」
 こうした具体策を示せない限り、首のすげ替えはできないのです。

 但し、未熟な上司の元で働く部下にも、思考を転換するポイントは幾つかあります。
 ・ 上司に意見あるいは協議して、改善を促進する
 ・ 反面教師として、自らの成長の糧と受け止める
 ・ 上昇志向があれば、下克上のチャンスと捉える

 自分でコントロールできないことに脳と時間を費やすのは、実に悩ましいもの。
 思考のポイントを切り替えて、自分でコントロールできることから始めましょう。

自浄作用で根絶やし

 昔の話です。
 社員と面談した際、上司への不満を打ち明けられました。
 一通り話を聞いた後、お伝えしたのは以下の通りです。

 『社長として、あなたの上司に注意することは簡単だけど、それで後々上手くいくだろうか?
 少なくとも、自分がその上司の立場であれば面白くはない。
 言葉は悪いけれど、「チクられた」そして「叱られた」となる。
 あなたに対しても、「何で直接言ってくれないのか」という不信感が残る。
 最も効果的なのは、上司と向き合い、率直に訴え、話し合うこと。
 仮にそれで、逆ギレされたり、冷遇されたりした場合は、遠慮せずに言って貰いたい。』

 勿論、コンプライアンスに関わる問題であれば、こんな悠長なことは言ってられません。
 そうでないことが前提のお話しです。

 社員から飛び越しの直訴を受け、社長が上司を呼び出し、有無も言わせず力で押さえ付けるとします。
 力関係からすれば、沈静化することはいとも簡単でしょう。
 自分が問題を解決したと悦に入り、弱きを助け強気を挫く正義の味方であるかの如く勘違いする愚者もいます。
 
 しかし、目に見える地表の雑草は刈り取れたとしても、根っこは残ります。
 根っこが残っている以上、暫くしたらまた生えてきます。
  
 組織内の問題は、組織内の自浄努力で根を絶やす。
 そうすることで、より深い信頼関係が構築され、組織が強固になる。
 これこそが、最終的かつ不可逆的な問題解決方法です。

全社会議復活待望論

 「WINNING 勝利の経営」の目次を追いかけ、毎月一項ずつ部会でディスカッションしています。
 1月のテーマは、前々月の「率直さ」からの流れで、「発言権と尊厳」です。
 社員の方々の声を議事録から読み取ると、こうなります。

 「率直に話せと言われるけど、上司からは話しかけるなオーラが感じられる。」
 「発言しても、言下に否定されたら、やる気も無くなる。」
 「過去に提案したこともあるけれど、回答も無いまま梨のつぶてだった。」
 「言ったってどうせ変わらないし、煙たがられる位なら言わない。」

 経営者として、大いに反省すべき点はあります。
 しかし、そうして口を噤(つぐ)むのだとすれば、さぞかし職場は楽しくないだろうと同情を禁じ得ません。
 
 NYホームでは一昨年まで、偶数月第三水曜日の休日を返上して全社会議を実施していました。
 大洲、松山の距離もあり、全員が集まる機会が無かったためです。
 
 お客様も業者も来ない、電話もかからない、集中できる環境で、時間を気にせず、店舗を越えて、とことん話し合うことは、それなりに意味があったと思います。
 自分は、一人で喋って誘導してしまうので、意識的にその輪には加わりませんでした。
 話し合いの最後に、発表の時間を取り、その内容に対してフィードバックします。

 他店の悩みや問題を聞いて「自店(自分)だけじゃないんだ」と納得したり、同僚の意見に気付きを得たり、トップの話を聞いて会社の進もうとしている方向を確認したり・・・。
 隔月に一度の機会が、どこまで効果的かはともかくとして、程よいガス抜きやコミュニケーションにはなったと思います。

 但し、この全社会議、一部社員からはすこぶる不評でした。
 代休の取り難い中で休日を潰す点を含め、実務的な生産性を重んじるドライな方にとっては無駄な時間だったかもしれません。

 決して反対があったからではないのですが、一年半ほど前に取り止め、月に一度の全社朝礼に移行した次第です。
 全社朝礼は時間も20分と限られており、一方的な発信・周知に留まります。
 最近の会議で、全社会議復活待望論が出たことを知り、思わずほくそ笑みました。
 意見をぶつけたい、コミュニケーションを取りたいという現場の欲求から、主体的に制度復活するなら何よりです。 
 
 取り立てて才能はありませんが、聞く耳は持っていますし、議事録にはすべて目を通しています。
 率直にお話し頂ければ幸いです。

折り返し地点

 つい先日、新年が明けたと思っていたら、あっという間に月半ば。
 月日が経つのは早いものです。

 半月経過したということは、1月予算の半分は消化していないといけません。
 また、7月決算の会社は、今月末で折り返し地点。
 つまり、年間の半分は数字を作っておく必要があります。

 例えるなら、事業計画の達成という、ゴールへ向けてひた走るマラソンです。
 遅れていれば巻き返すべく、激を飛ばすのは当然でしょう。
 
 さて、我々賃貸仲介業は、平常月の収支を均衡させ、春商戦の上乗せ分で最終利益を稼ぐイメージに成ります。
 そしていよいよ、創業十年目の繁盛期に突入です。

 くれぐれもライバルは、競合他社や大手メーカーではありません。
 目の前の一人ひとりのお客様に対するお役立ちを積み上げた結果が、事業計画達成に繋がるものと信じています。

 過去の経験からして、ここで躓(つまづ)くと、平常月では取り戻せません。
 摂生に努め、万全の準備と、心構えで臨みましょう。

良い会社と悪い会社

 職場に対して、大なり小なり不満を持っている人はいる筈です。
 その不満が高じて、辞める判断を下すこともあります。

 社会的な経験や知識の豊富な方が、冷静に判断するのであれば言うことは仕方ありません。
 しかし、世間知らずの未熟な方が、一時的な感情によって逃避するのは甚だ残念です。
 そんな方のために、いつもご紹介する短編詩を、再び掲載します。

 【 向かいの山の紅葉 】
 山に登り、向かいの山を眺めた。
 とても紅葉が奇麗だ。
 そこで向かいの山に登ってみた。
 振り返ると、元居た場所の方が奇麗だった。

 そして、良い会社か悪い会社かを決定付ける、最大の要素は心の置き方です。

 【 こちらはどんな村 】
 旅の途中、村境ですれ違う村人に訊ねた。
 ■ 「こちらは、どんな村ですか?」
 ◇ 「あちらは、どんな村だったかね?」
 ■ 「閉鎖的で、陰湿で、排他的で、住み難い村でした。」
 ◇ 「こちらも、そんな村さ。」
 
 続けてすれ違う村人に訊ねた。
 ■ 「こちらは、どんな村ですか?」
 ◇ 「あちらは、どんな村だったかね?」
 ■ 「開放的で、明るくて、協調性のある、住み易い村でした。」
 ◇ 「こちらも、そんな村さ。」

 働きやすい職場とするために、自ら声を上げることも重要です。 
 上司や先輩に相談してみると、単に誤解しているだけのケースも少なくありません。

固定費と変動費

 グループ全社の社員面談を実施中です。
 折角の機会なので、率直な声を聞きたいと思っています。
 とはいえ、全てが叶えられる訳ではありません。
 
 ・ 給料は高ければ高いほど良い
 ・ 福利厚生は充実しているほど良い
 ・ 休みは大いに越したことはない・・・

 社員の側からすれば、そう思うのは当然です。
 会社も基本的には、算盤の許す限り還元したいと考えています。
 また、徐々にではありますが、改善の方向に進んでいるのも事実です。
 以下は、その取り組みを前提とした上でお読み下さい。
 
 給与や福利厚生や休日は、業績の良い時に上げて、業績の悪い時に下げられる性格のものではありません。
 そして会社は、好況時も不況時も、黒字の時も赤字の時も永続しなければなりません。 
 だからこそ、グループ全体を俯瞰し、過去・現在の業績から未来を見通し、堅実な成長発展を遂げるための正しい判断が必要です。
 
 誤解を恐れずに言えば、先述のニーズは、デキル社員もデキナイ社員も関係なく、総花的に待遇改善の恩恵を与えます。
 従って、利益貢献した社員への賞与原資が、結果的に減ってしまう事態を招きかねません。

 経費として捉えれば、給料は固定費、賞与は変動費。
 業績の良い時に、利益貢献した部門や個人に対し、賞与によって還元する仕組みは、報酬の全体バランスを図るためにも、メリハリをつける意味でも、企業を永続させる上でも、実に理に叶った方法なのです。
 最後に、業績に連動した賞与の原資配分も、公正さを追求すればするほど、決して単純ではないことを付け加えておきます。

問題の無い問題

 「問題は無いですか?」と投げかけた際に、
 「問題ありません」と回答されることがあります。
 
 いやいや、死んだ会社ならともかく、生きている会社に問題が無い筈はありません。
 実は問題が無い訳ではなく、その人の問題意識が無いというのが正解です。

 ・ このやり方は間違っているんじゃないか?
 ・ もっと効率良く進められないか?
 ・ 何か違うやり方はないか?
 ・ そもそも、この仕事は必要なのか?
 ・ 一体この仕事の目的は何なのか?
 
 問題意識を持てば、様々な疑問が生まれます。
 その疑問は、創意工夫の種です。
 
 P 仮説を立て、
 D 実行し、
 C 確認し、
 A 改善する

 プラン → ドゥ → チェック → アクション
 PDCAのスパイラルアップも、入口は問題からです。

トンネルを抜けると雪国

 20年以上、内子⇔松山を、片道一時間かけて毎日通勤しています。
 そしてシーズン1~2回は、積雪に悩まされるのも恒例です。
 たった一時間の距離ですが、中間地点の峠を隔てて天気はガラリと変わります。

 以前は、出たとこ勝負で出発し、途中で引き返すこともありましたが、今はインターネットで予測が可能です。
 一昨日の夜は、犬寄峠のトンネル出口に設置された、国土交通省の定点カメラで、路面の雪が無いことを確認して帰路につきました。

 ところが、そのトンネルを抜ける頃から猛烈に雪が降り出します。
 特に、中山から立川の間は、視界が悪くなるほどの大雪・・・文字通りトンネルを抜けると雪国です。
 30~40㎞の低速で、充分に車間距離を取り、極力ブレーキを踏まない様にして、何とか内子まで帰着しました。
 雪道に慣れていないドライバーが多いため、この夜の犬寄峠は、スリップ事故が多発しています。

 翌朝は、5:00過ぎに起き、外を確認すると、積雪5㎝の一面雪景色。
 しかも、更にしんしんと降り積もりつつあります。
 
 次にインターネットで情報収集。
 伊予⇔大洲間の高速道路は通行止めです。
 いつもの国道56号線ルートは、川中⇔犬寄間で道路凍結。
 
 これを受け、最後に残された海岸回りルートを選択します。
 自宅から大洲までは、センターラインが埋没する程でしたが、海に近付くにつれて雪は無く成りました。
 
 それ以降も終日、断続的に降り続き、正午の大洲駅前店の積雪は15㎝超。
 振り返れば、あの時間だから良かったとも言えます。
 通常の倍の2時間かかりましたが・・・。
 
 翌日も降雪が続くとの天気予報を受け、その日は松山泊まりを決断。
 念のために、着替えも持参していました。
 
 歳を重ねると、経験値から用意周到に成ります。
 こうした陰の努力もきっと、松山住人の方には一切判り得ません(笑)

まったく、ひどい

 経営者の端くれとして政治的な言動は極力慎むべきですが、1月10日付「日本経済新聞」の一面が、余りにも面白かったので深堀します。
 まずは、コラム「春秋」。

 「まったく、ひどい。
 お金を受け取っておきながら、約束した品やサービスを提供しない。
 昨年も旅行業者が破綻し、多くの人が海外へ渡れなくなったり、現地で立ち往生した。
 今回はそれよりももっとたちが悪い。
 何せ、一生一度の記念日が台無しになったのである。」

 そう、某貸衣装業者を指してのことです。
 ふと、「春秋」の右側に目を転じると・・。

 2015年12月、日韓両国が米国を立会人とした上で、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した」筈の慰安婦問題を、韓国が一方的に反故にしようとする記事が掲載されています。
 意図的なものか否かはともかく、この対比は痛烈な皮肉です。
 
 前者は資金繰りに追われ、物理的に約束の履行が果たせなかったもの。
 経営者は罪を償うことになりますし、企業自体も消滅する運命にあります。
 
 一方後者は、経済的に破綻している訳ではなく、物理的な障害はありません。
 何といっても国家間の約束です。
 
 会社でも、「前の社長が契約したことであって私は知らない」という言い訳が通用しないのは当然です。
 そういう意味で、
 「まったく、ひどい。
 お金を受け取っておきながら、約束した品やサービスを提供しない。」

会社にとって最大の罪

 貸衣装業者の事業停止によって、多くの新成人が一生一度の「晴れの日」を台無しにするというニュースが飛び込んできました。
 言わずもがな、会社にとって最大の罪は倒産です。
 
 倒産は、お客様に迷惑をかけ、社員を路頭に迷わせ、協力業者への支払いが滞り、株主の資産価値をゼロにします。
 前職の会社は、平成21年1月21日に民事再生法の申請をしました。
 この瞬間、お客様や協力業者とのwin-winの関係は脆くも瓦解し、債権者と債務者に成り下がります。

 お客様が支払った前払い金も預かり金も、協力業者への支払いも全て凍結。
 一定割合の債権者同意を前提に、債務の95%がカットされ、残りの5%を10年分割で償還することになります。
 つまり、1000万円の債権者は、950万円を捨て、毎年5万円ずつを10年に渡って返済されるスキームです。

 多額の債権を抱える会社は、資金繰りに窮し、連鎖倒産することもあります。
 また、前職の会社の様に、再生計画が途中で頓挫した場合、会社は破産、社員は解雇、株は紙切れに成ります。

 民事再生法は、経営者に与えられた、合法的なリベンジチャンスです。
 計画通りに再生できれば、御迷惑をおかけしたステークホルダーへの恩返しも可能に成ります。
 さりとて、その道程は平坦ではないでしょう。

 法制定された2000年から2015年のデータによると・・・。
 民事再生法の適用を申請した7,341社のうち、70.9%(5,205社)は申請後に吸収合併や破産・特別清算などで消滅し、生存企業は29.1%(2,136社)に過ぎません。
 つまり、民事再生企業の約7割は再破綻するのです。

 繰り返します。
 会社にとって最大の罪は倒産です。

最大の投資

 先日、ある方から「最大の投資とは何か?」と尋ねられました。
 この手合いの質問の際、質問者は予め何らかの意図を持っている訳で、その匙加減次第で答えは変わります。
 即ち、その意図を読み取る力が極めて重要な訳です。

 実は仕事納めの日に、その方から一冊の本を頂いていました。
 その本の中には次の記述があります。
 「人件費はコストではなく投資なのだ」
 
 先述の質問は、正月休みの間に読んでいるかどうかを試す踏み絵だと、瞬時に悟りました。
 自分は、満を持して答えます。
 「ジンザイ」

 ところが、「ブッブーッ!」
 答えは全く違っていて、話しはあらぬ方向へ向かっていきましたとさ。
 ・・・というお話です。

 それはともかく、自分はやはり、会社にとって最大の投資は「ジンザイ」思っています。
 仮に、5000万円の収益物件に投資したとしましょう。
 利回り10%なら年間500万円のリターンを生みます。
 金利2%、30年返済として、月々の返済額は184,809円。
 これはほぼ、新卒採用の初任給に匹敵します。

 収益物件は、投資した瞬間が最大価値です。
 年々老朽化し、陳腐化し、収益性は細っていきます。

 「ジンザイ」は、初期投資時点でのリターンは殆ど見込めません。
 採用も教育も、手間と時間とお金がかかります。
 それでも、上手く育てて、ポテンシャルを引き出せば、想定以上のリターンを生み出します。
 メンテナンスやフォローを怠ると、力が発揮できなくなるのはヒトもモノも共通です。
 
 さて、収益物件と「ジンザイ」との最大の違いは、所有権の無いことでしょう。
 どれだけ、お金と手間暇をかけて一人前にしたとしても、「ジンザイ」には職業選択の自由があります。
 首に縄をつけて引き留めることはできないのです。

 だからこそ、「ジンザイ」の成長以上に、経営者や会社が成長しなければなりません。
 「人材教育は井戸を雪で埋めるが如し」
 埋めても埋めても端から溶けてしまい、刹那さとやるせなさが込み上げてきたとしても、経営者には井戸を雪で埋めるだけの情熱と覚悟が必要です。

見通しの与える力

 その昔、新入社員研修の講師を初めて務めた時の話です。
 自分自身、当時はまだまだ未熟で、他人様を教えられる程の知識も経験もありませんでした。

 取り合えず朝6:30に集合してラジオ体操。
 その後、二列縦隊でランニング。
 小高い山の上から、麓まで下りていく行程です。
 
 自分は、新入社員の様子を見守りながら最後尾に。
 実はランニングの行程について、打ち合わせは一切できていませんでした。
 つまり、どこまで走るのかは、先頭を行く体育会系の先輩社員M本さんの腹一つです。

 後続の不安な気持ちを他所に、M本さんはハイペースで走り続け、途中リタイヤする人が続出します。
 自分自身も、講師というプライドが無ければ、走り続けられなかったかもしれません。

 その時、当たり前のことに気付きました。
 折り返し地点を知らない場合、走れば走る程ゴールが遠のきます。
 そして、折り返したと同時に経路が定まり、走れば走る程ゴールは近付くのです。
 帰りは登り坂で身体的には負荷がかかったけれど、ゴールが見えたことで精神的には楽でした。

 繁忙期の残業や休日出勤も同じでしょう。
 この山を越えれば楽になる・・・という見通しがあれば、人間ある程度は頑張れます。
 反対に、いつ終わるとも判らない、先の見えない負のスパイラルだったとすれば、タフな人間もつぶれてしまいます。

 昨日もご紹介した著書「虚妄の成果主義」にこう書かれていました。
 「長期雇用を前提とする日本の会社では、(今)満足している必要はない。
 将来の見通しさえ立っていれば、人は現時点の苦しいことや、つらいことにも耐えられるものなのである。
 見通しさえ立っていれば、今の仕事に対して決して満足しないような人でも、会社を辞めたりせずに、チャレンジを続けられるのだ。」

 仕事の将来像を見通すのは上司の仕事。
 会社の将来像を示すことは経営者の仕事です。

性善説と性悪説:後編

 東京大学「高橋伸夫」教授著「虚妄の成果主義」の中で、「内発的動機」が解説されています。

 「もし、ある人の有能さと自己決定の感覚が高く成れば、その人の満足感は増加する。
 逆に有能さと自己決定の感覚が低く成れば、その人の満足感は減少する。」

 例えば、主婦代行サービスの場合。
 予算も、時間も、範囲も、仕上がりも、雇用主との契約で細かく設定されていれば、やらされ感が先行し全く面白くありません。
 ある程度の裁量権を任されて、雇用主に喜んで貰える様に、創意工夫できるならば、やり甲斐も達成感もひとしおでしょう。

 先述の著書では、「自己決定度」と「職務満足度」との相関関係を分析しています。

【 YES or NO 】 一問一点
 Q1 トップの決定方針と自分の仕事との関係を考えながら仕事をしている
 Q2 上司からの権限移譲がされている
 Q3 自分の意見が尊重されていると思う
 Q4 自分の会社の将来のあるべき姿を認識している
 Q5 良いと思ったことは、周囲を説得する自信がある
 
 横軸を「自己決定度」、縦軸を「職務満足度」としてグラフを描くと、完全に比例していました。
 つまり、「自己決定度」が高ければ高いほど、「職務満足度」は高くなります。

 裏を返せば、労使双方に必要な心掛けは以下の通りです。
 「トップは方針と仕事の意味を明確に伝え、部下は納得した上で仕事が方針に沿っていることを確認し、
 上司は部下に相応の権限移譲を行い、
 部下は上司に対しても、臆することなく是々非々で、建設的かつ率直な意見を述べ、
 上司として、成功した際には称賛し、失敗した際には責任を引き受け、
 将来のあるべき姿に向けて、ベクトルを合わせて突き進む。」

 こんな組織であれば、仕事が楽しくない筈ありません。   以上

性善説と性悪説:前編

 終身雇用と年功序列は、日本型経営の二大要素です。
 かつて、日本型経営は、ダメな経営モデルとして認識されていました。
 その理由は、以下の通りです。

① 終身雇用でクビに成らないと判っていれば、危機感も競争意識も無くなり、生産性が低下する
② 頑張ろうと頑張るまいと年功序列で昇給し続けるなら、無理して頑張ろうとは思わない

 即ち、これは性悪説です。
 【 性悪説 】  そもそも人間は怠惰な生き物であり、放っておけば怠けてしまう
 
 性悪説に基づく経営は、飴(成果給・昇進・褒賞)と鞭(降給・降格・解雇)とを使い分け、競走馬の鼻先に人参をぶら下げます。
 ところがやがて、欧米の企業は行き詰まり、挙って日本型の経営を見直すことに成るのです。

① 終身雇用は、短期の業績に一喜一憂せず、失敗を恐れることなく、未来へ向け果敢にチャレンジできる
② 将来の昇給が約束される、年功序列の制度によって生活が保障され、未来に希望を見出すことができる
③ 終身雇用・年功序列によって、労使間の運命共同体としての絆が強まり、愛社精神・帰属意識が高まる

 何よりも、努力の差が反映されないものと思われていた日本型経営こそが、真の成果主義だったのです。
 ここでは、短期的な瞬発力ではなく、長期的な持久力が評価軸に成ります。
 
 つまり、入社して間もない20代では、そこまで明確な差は生まれません。
 30代になると、係長や課長になる人材と、平社員のままの人材とに分かれてきます。
 更に40代にも成れば、部長や役員も誕生します。
 本来、年功序列が言葉のままの意味であるとすれば、決してこうした差は生まれない筈です。

 実は、生産性向上のために採用された、性悪説の成果主義こそが生産性低下の元凶でした。  つづく

仕事の報酬:後編

 仕事の報酬は、お金以外にもあります。

2. 職業人としての能力
 専門学校では授業料を納め、就職前に職業人としての能力を体得します。
 但し、それで一人前ということではありません。
 就職後は、仕事を通じて、上司から指導されながら、同僚と切磋琢磨しながら、更に能力を磨いていきます。
 見方を変えれば、給料を貰いながら専門学校に通っているようなものです。
 仮に退職する際、その体得した技術を会社に置いていくことはできません。
 そう考えればこれも、明らかに報酬の一つです。

3. 人間としての成長
 仕事を通じて学び得るものは、専門的な技術だけではありません。
 クレームを通じて学ぶ忍耐や辛抱。
 上司や同僚から助けられて判る感謝の念や思いやりの心。
 部下や後輩を持つ際に求められる気づかいや自己犠牲の念。
 職場は、人間性を向上させるための道場でもあります。 

4. 作品としての仕事
 建築物、システム開発、測量図面等々、各々の仕事によって生み出される成果品は、当事者にとって作品と言えるでしょう。
 クライアントの開拓や、自らが起案し採用され、困難を克服してやり遂げたプロジェクトも作品そのものです。
 自分は前職時代、百棟4,000戸を超える分譲マンションを供給しました。
 今でも、その建物の前を通る度、当時の思い出が走馬灯の様に甦ります。
 ある意味、店舗も会社も、一つの壮大な作品です。

5. 人脈
 仕事を通じて直接的に関わる、上司、部下、同僚、お客様、協力業者。
 この人脈が、仕事を通じて得られる報酬と気付いている人は稀少です。
 かつて、民事再生で前職の会社を退職した際、退職金も失業保険もなく、地位も定収も全て失くしたかに思いました。
 ところが、自分の様な人間にも、会社を任せて下さる資本家、管理物件を委ねられる大家さん、行動を共にしてくれる社員、協力業者等々、沢山の方々に助けられて今日があります。
 こうした人脈も、紛れもなく仕事の報酬です。

 会社は営利を追求し、社員は労働の対価として、当然に報酬を得ます。
 そこで、経営者側も従業者側も気付くべきは、仕事の報酬が決してお金だけではないのだということ。
 先述した5つの報酬が縦横無尽に絡みあう中で、職業観や人生観が醸成され、生き甲斐・やり甲斐につながるのです。
 そうした深い仕事の意味を教えられてこそ、労使の絆は強まり、愛社精神や帰属意識は高まるものと確信します。  以上

仕事の報酬:前編

 仕事の報酬は、お金だけではないでしょう。
 但し幾ら愛社精神があったとしても、上司との信頼感回が強固でも、霞を食べて生きてはいけません。

① 給料
 最もポピュラーな報酬の形。
 過去の実績や経験や能力を考慮して与えられる、業績に左右されない前払いの生活給です。
 従業者側からすれば、高いに越したことはありません。
 経営者側からすれば、一度上げるとなかなか下げ難く、業績が悪くても、例え赤字でも支給する責務を負います。
 一方で、同業他社等と比較して見劣りする場合には、人材の流出リスクに晒されるのも事実です。

② 賞与
 原則は、業績が良かった際に行われる、利益の還元分配です。
 経営者側からすると、原資に枯渇するほど業績の悪い時には、出す必要はありません。
 しかし近年、ローンの賞与払いを組み込む等、従業者からは生活給として当てにされる向きもあります。

③ 昇給
 過去の実績や経験や能力を考慮して決められるのが一般的です。
 当然、期待外れの場合には降給もありますが、現実的にはあまり見られません。

④ 手当
 住宅、通勤、家族等々、その人の能力や経験とは無関係に、給料の上乗せが図られる制度です。
 生活給の補完としての意味合いがあります。
 仕事の成果にはつながらないものとして、最近では廃止される企業も増えてきました。
 役割や責任に応じて与えられる、役職手当は別物です。

⑤ 褒賞
 賞与程の大きなウェートを占める訳ではありませんが、定期の頑張りを形にして表彰する仕組みです。
 金額の多寡とは別に、社員の自己重要感が満たされ、帰属意識が高まります。

⑥ 歩合
 鼻先に人参をぶら下げる、成果主義の最たる仕組み。
 やったらやっただけの絶対値で支給されるため、極めて分かり易く、合理的です。
 但し、計算式で導かれた支給額と、会社および同僚の評価とは、必ずしも一致しません。

⑦ ストックオプション
 会社の株式を、賞与の様な形で分け与える仕組みです。
 経営者側としては、32%以内の分配であれば、支配権に影響は及ぼしません。
 会社の業績が社員の資産形成に直結することから、帰属意識、愛社精神、モチベーションが高まります。

⑧ 退職金
 文字通り、退職時に貰える金銭です。
 在籍期間に応じて、乗算的に増額していくため、勤続年数が長ければ長いほど、帰属意識、愛社精神が高まります。

 会社は原則、求める社員像を明らかにした上で、そこに多く還元される配分方法を追求するものです。
 でありながら、会社にとって必要と思われる人材が力を発揮できなかったり、退職してしまう場面も散見されます。 つづく

逃げるは恥だが役に立つ

 年末年始は、文字通り寝正月でした。
 まず、12月22日にインフルエンザを発症し、23~26日まで病欠。
 27~28日の二日間出勤し、翌日から6日間の年末年始休暇。
 
 つまり、12日間の内実に10日休み。
 これは、27歳の時に足を骨折して、一ヶ月自宅療養して以来のことです。
 
 自分は、基本的に連続ドラマは見ません。
 一週間、続きの展開が気になる時間が嫌だからです。
 しかし、正月の連続放映は別で、昨年も「下町ロケット」を見ました。

 今年の三が日は、一昨年一世を風靡した「逃げるは恥だが役に立つ」。
 遅ればせながら何故、このドラマが流行ったのかが良く判ります。

 星野源さんのエンディングテーマ曲やダンス、新垣結衣さん、石田ゆり子さん、古田新太さんといった芸達者な配役、「ザベストテン」や「朝まで生討論」のパロディ・・・等々、コミカルでキャッチーな演出は勿論ですが、一番は心理学でしょう。

 これまでの切ないラブストーリーの定番は、物理的な擦れ違いでした。
 このドラマは、当事者同士は同居しています。
 物理的、環境的には最も近くにいるにも関わらず、心と心が擦れ違う。
 更に、周囲に対して秘密を貫く背徳感が、新鮮なドキドキとモヤモヤを与え続けてくれます。

 そして、この作品の根底に流れているテーマは、自分の存在価値です。
 人間には皆、「認めて貰いたい」という欲求が備わっています。
 
 職場で認めて貰いたい。
 パートナーに認めて貰いたい。 
 ・・・と考える一方で、なかなか自尊感情が保てない。

 それが故に、素直になれず、正直になれず、対人関係がこじれる。
 皆が心の中で、大なり小なり抱いていた感情に、登場人物の言動がそっと寄り添い、共感を生みます。

 まあ、こうした冷静な分析を超えたところが、ドラマの真骨頂だったんですけどね(笑)
 55歳、これからの人生に、少し役に立つ気がします。

経営者の仲間入り

 紛れもなく会社は、営利を追求する集団です。
 利益を最大化する方法は、「入るを量りて、出ずるを制する」。
 即ち、売上を最大化して、経費を最小化することで、結果的に利益が最大化します。

 しかし、この考え方には時間軸の概念がありません。
 短期的か?長期的か?、今か?将来か?。
 高橋伸夫東大教授の著書「虚妄の成果主義」では、次の様に紹介されています。

① 「刹那主義型」 刹那主義的に、その場限りの充実感、快楽を求める
② 「未来傾斜型」 今は多少我慢してでも凌いで、未来を残すことを考える

 「未来傾斜型」が理想であることを知りつつ、目先の売上・利益に奔走してしまう会社が多いものです。
 「今の経営に余裕がないのに、未来のことなんか言ってられるか!」
 「未来のことばかり考えても、今の飯を食わなかったら餓死するわ!」
 それも一理あります。
  
 刹那主義型で考えれば、設備投資も、人材採用も、人材教育も、マニュアル作成も、キャリア向上のシステム整備も、全て邪魔臭いものに成ってしまうでしょう。
 コストもかかるため、短期の利益を最大化するための足も引っ張ります。
 
 そして、「人が育たない」と嘆き、属人的な失敗による手戻りに苦慮し、ハードワークが蔓延し、人が疲弊するのです。
 その会社に働く社員も、その会社の未来に希望の光を見出せなければやっていられません。
 こうした悪循環を繰り返せば、長期的には衰退を余儀なくされます。
 
 では、「刹那主義型」で今日の飯を食いつつ、相反する「未来主義型」をどうやって追求すれば良いのでしょうか?
 質問に、ジャック・ウェルチはこう答えます。
 
 「それに悩む様なら、貴方も経営者の仲間入りだ。」
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR