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時薬の効能

 昨年の暮れに他界した亡母の新盆は、自宅に御棚を設け、灯篭を吊り、一ヶ月間供養します。
 その最後は、灯篭とぼしあげ。
 この一年にお亡くなりに成られた檀家の遺族、百名以上が菩提寺高昌寺に集います。

 そこで、現ビジネスパートナーの元部下と会いました。
 お父様が亡くなられたのは数年前です。
 「どなたの?」と訊ねると、「家内の・・・」と短く答えます。

 知りませんでした・・・。
 今年の三月に他界されたと言います。
 実は、彼の奥様も、かつての自分の部下。
 まだ40代の筈です。

 「暫くは仕事でも、平静を装うのが辛かった。
 最近やっと、前向きに生きられる様になりました。」

 瀬戸内寂聴さんが、説法の中で「時薬」という言葉を用いられます。
 家族や最愛の人を亡くした瞬間は、絶望感に苛(さいな)まれ、生きる意味さえも見失いかけたりするもの。
 しかし、人間には「忘れる」という能力が備わっていて、日一日と時間の経過と共に悲しみや寂しさが薄まっていく。
 薄情に思うかもしれないけれど、それこそが「時薬」の効能なのです。
 
 諸行無常、それでも・・・。
 人の死を受け入れた上で我々は、その命の残り火を燃やし続ける必要があります。
 合掌・・・。
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南向きは何故良いか

 先日のロープレで、松山南店のO西さんが、こう言いました。
 「南向きなのでおすすめです。」
 
 何故、南向きは良いのでしょうか?
 「日当たりが良いから。」
 何故、日当たりが良いのでしょうか?

① 北向 = 夏涼しくて、冬寒い (一日中、年がら年中陽が入り難い)
② 東向 = 夏涼しくて、冬寒い (午前のみ陽が射す)
③ 西向 = 夏暑くて、冬暖かい (午後の日差しが強い)
④ 南向 = 夏涼しくて、冬暖かい
  
 大前提は、「夏は太陽が高く、冬は太陽が低い」という気象条件です。
 南向きのマンションであれば、太陽の高い夏は陽射しが上階ベランダの庇(ひさし)で遮られる。
 太陽の低い冬は、部屋の奥まで陽光が入り込みます。
 だから、夏涼しくて冬暖かい、快適な住空間となるのです。

 日本における南向き信仰は、伝統的な軸組み工法によって開口を広くできた点や、高温多湿な気候、清潔好きな国民性も影響しています。
 一方、地震の少ない欧州では、石作りの壁式構造が一般的であるため、広い開口が取り辛い。
 加えて、低温少湿の気候と、景色を重んじる美意識によって、北向きが好まれたりするようです。

 九州大分県の別府市においては、別府湾を一望することがステイタスであるため、東向きが良いとされます。
 また、弊社本社所在地の大洲市では、冬季の朝かなりの確率で霧が発生します。
 東向きにしてしまうと、冬は一日中陽が当たりません。
 従って人によっては寧ろ、西向きを好まれたりします。

 「南向きが良い」
 その当たり前のパラダイムに対し、「何故」を繰り返し、真の知識を身に付けて頂きたいものです。

デメリットの説明

 最近活性化しているロープレで、気がついたことを書きます。
 ある若手営業マンは、提案した物件について、次の営業トークを展開しました。

 「カウンターキッチン珍しいでしょう♪」
 「独立洗面化粧台で良いでしょう♪」
 「おすすめです。 洗濯機置き場は屋外ですが・・・。」

 これは物件資料を見れば判ります。
 営業に求められるのは、そうした設備におけるメリット・デメリット。
 生活シーンをいかにイメージできるかです。

 カウンターキッチンであれば・・・
 ・ 家族や恋人と、対話しながら料理ができる
 ・ 小さなお子様に目配りしながら料理ができる
 ・ 料理しながら、TVを見ることができる
 ・ カウンター越しに配膳を手伝って貰うことでコミュニケーションが深まる・・・

 独立洗面化粧台であれば・・・
 ・ バス兼用のユニットの場合、靴下のままで入って足元を濡らすことがある
 ・ 洗面ボールが小さいと、整髪のために頭を濡らすのも容易ではない

 屋外洗濯機であれば・・・
 ・ 冬場は寒く、夏場は暑い・・・
 
 ちなみにこれはデメリットですが、そこをスルーせず敢えて言及することで、正直な営業マンをアピールできます。
 「単なる売り込み営業ではなく、入居者目線で自分達のことをしっかりと考えてくれる人だな。」
 お客様の心の声です。
 
 勿論、迷わせて終わりではなく、最終的には着地点に向け背中を押すのも営業の役割。
 「・・・というデメリットはありますが、百点満点の部屋はありません。
 築浅で設備が整っていて広くて美邸なら、どうしても家賃は高くなってしまいます。
 この場所で、この広さで、このお家賃なら、おすすめだと思うのですが如何です?」
 
 デメリットもしっかり説明した上で、お客様の納得と信頼を得られる、誠実な営業マンを目指しましょう。

名は体を表す

 昨夜は、松山宅建協会の懇親会。
 伊予鉄高島屋ビアガーデンに、社員(店長&専任宅建士)5名と共に参加しました。
 日中の暑さとは裏腹に夜風は涼しく、夏の終わりを感じます。

 会場内に恐らく100名以上はいらっしゃっいますが、過半数は顔と名前が一致しません。
 それ位、狭い世界で仕事をしているということでしょう。
 また、殆ど実業をしていない免許業者の方も少なからずいらっしゃいます。

 我々の業界団体は、県内に1,000業者加盟しています。
 この中で、純粋に不動産一本で生計を立てている方は、恐らく半分以下。
 取引数や事業規模よりも、5年毎の更新回数を示す免許番号が重要。
 つまり老舗が幅を効かす、ある意味特殊な業界です。
 
 某社長とお話しする中で出てきた「不動産業者あるある」を御紹介しましょう。
① 売買仲介手数料の簡易計算「3%+6万円」の+6万円を、諸経費と勘違いしている
② 商品として取り扱っているにも関わらず、媒介契約を殆ど交わしていない
③ 「買いませんか?」というので媒介物件かと思ったら、興味があるならそこから交渉の意
④ 某業者作成の重要事項には、「建設省は国土交通省と読み換える」の横判が押印されている・・・

 今年、宅地建物取引主任者から宅建士に称号変更されました。
 弁護士や建築士に肩を並べ、晴れて士業の仲間入りです。
 
 名は体を表す。
 コンプライアンス遵守は勿論、確かな知識と崇高な倫理感を有した、誠実な業者だけが生き残っていくものと確信しています。

転がり続ける鉄球

 盆明けからスタートした「早朝ロープレ」。
 自主的な取り組みながら、今朝は若手を中心に、全営業の過半数が参加しました。
 新人の川畑さんは、公休にも関わらず、自らの意思で名乗りを上げ、往復3時間かけての参加です。

 過去、必要性に気付き、実施記録を整え、反強制的な声掛けをしたことが何度かあります。
 何れも最初は、積極的に取り組むものの、喉元過ぎればフェードアウトしてしまうのが常です。
 計画を実行するためには、幾つかの説明責任が求められます。

① 「現状と目標を知る?」 定量的な見える化・・・若手(1~2年生)の成約率は他に比べ▲20ポイント 
② 「何のために?」 大義・目的を説く・・・大家様と入居者様にお役立ち & 会社収益と個人の待遇改善のため
③ 「いつ?」 日付と時刻を入れなければ絵空事です・・・平日の朝8:00から
④ 「どうやって?」 やり方を説く・・・コンテストの設定で営業とお客様に分かれて

 これらを通じて、納得性と自覚を促します。
 大事なのは、自主性・主体性そして継続性です。

 【 慣性の法則 】
 止まっている物体に、力を加えなければ、そのまま止まり続ける。
 動き続けている物体に、力を加えなければ、そのまま動き続ける。
 
 地面にめり込んだ大きな鉄球に力を加えなければ、そのまま止まり続けます。
 これを動かそうとする時、極めて大きなエネルギーが必要。
 しかし、一旦動き始めると、改めて力を加えずとも、鉄球はゴロゴロと転がっていきます。

 この早朝ロープレが一過性のブームに終わることなく、自ら転がり続ける鉄球の如く昇華することを祈念して止みません。

起業の楽観と悲観

 またまた、元部下が挨拶に来てくれました。
 
 彼は、自分が事業部長を務めている時、学生時代に宅建を取得済みで入社してきた期待の大型新人です。
 広島や徳島で分譲マンション販売に携わった後、パワービルダーに転職。
 めきめきと頭角を表し、営業マンの指導的役割を果たすまでに成長されました。

 できる営業マンは、必然的に自立心も強いもの。
 彼も例外ではなく、いよいよ独立を決意されたようです。

 独立はリスクが伴います。
 例え業績が悪かろうとも、毎月25日になれば安定した給与が振り込まれ、仮に会社を辞めることになったとしても、退職金があり、失業手当が保証される。
 そうした安定を、自ら捨て去るのが独立です。

 今月100万円の収入を得たとして、来月はゼロかもしれません。
 いや、ひょっとしたら何ヶ月も収入が無い可能性すらあります。
 
 起業は、楽観的ではなかなかできないし、悲観的では絶対にできません。
 『楽観的に想起し、悲観的に計画し、楽観的に実行する』 稲盛和夫

 かつての同志には、社長と名のつく人が20名以上。
 悲観に暮れる時にも、仲間の頑張りが勇気を与えてくれます。

チャイナショックその後

 社員の方々に、日経新聞の隅から隅まで読めとは言いません。
 それでも、投資的な意味合いを持つ賃貸マンション・アパートの経営の一部を委ねられている以上、世界市場の動きがどう影響してくるかは、大雑把にでも把握して頂きたいものです。
 そうでないと、オーナー様とまともに話せません。

 近年、海外に販路を広げることや、工場を持つことが、リスクヘッジと言われます。
 為替変動や景気後退に伴うリスクを、分散することができるからです。

 それも今や、世界市場は密接に絡み合っていて、一国の問題では済みません。
 ギリシャショックがEUを揺るがし、今般のチャイナショックが瞬く間に米国に日本に飛び火し、世界恐慌の引鉄を引くとも言われています。

 アベノミクスは株高・円安を誘発し、限定的とは言え、確実に経済成長をもたらしました。
 その余波で膨らんだ収益物件争奪熱は、地方都市の松山やそのまた地方にまで拡がりを見せています。

 しかし、熱狂はいつか必ず褪めます。
 それが今かもしれません。
 将来不安を煽るだけでもいけないので、少し冷静な話をします。

 不動産=限られた資源として、将来の値上がり益を見込んだ投機的な投資が主であったのがバブル経済。
 これに比較すれば、収益還元法に基づく利回り優先の今の投資は健全です。
 少なくとも、紙切れに成ってしまう危うさはないという意味において、他の投資と比べて安定していることだけは間違いありません。

諺ほど寛容でない経営

 かつての部下二名に、来社頂きました。
 民事再生そして、6年後の二次破綻と、続け様の修羅場を潜り抜けてきた方々です。

 思い返せば、民事再生前の2~3年は、難行苦行の連続でした。
 ・ 事業縮小
 ・ 拠点撤退
 ・ 希望退職
 ・ 分譲マンション在庫のバルク売り
 ・ 波状的に寄せられる苦情・・・
 
 明日をも判らない状況下、来る日も来る日も後ろ向きの情報ばかりで、流石に心が病みます。
 移動中に双海の海岸に降り立ち、意味もなく貝殻を拾ったりして・・・。

 あれから6年が過ぎ、会社そのものが無くなってしまった今にしてみれば、それも徐の口だったようです。

 「二度あることは三度ある」
 「三度目の正直」
 「仏の顔も三度まで」・・・

 企業経営は、諺(ことわざ)ほど寛容ではありません。
 
 会社の信用不安や風評被害に晒され、資金繰りに追われる日々がいかに大変か。
 いかなる会社であっても、つぶれる可能性を孕んでいること。
 そして今、前向きに仕事できることが、いかに幸せか。

 我が社で働く社員や、社会人となった我が子に対しリアルに伝えるのも、自分に課せられた大きな使命です。

空回り無きボランティア

 この時期は毎年、黄色いTシャツが目につきます。
 そう、38回目を迎えた「24時間TV 愛は地球を救う」です。
 
 自分は、大三島でニートしている時に、第1回目を見ました。
 ところが、夜中の24時を回った時点で「一部の地域は放送を終了させて頂きます」というテロップが流れ、きっちり一部の地域として終了したのを記憶しています。

 個人的に、このTVの企画は決して嫌いではありません。
 「サライ」を聞くと、夏の終わりを実感させてくれます。
 少なくとも、他局の27時間TVに比較して、ポリシーにブレが無い点を評価しています。

 ただ一部、意味もなく仕事とボランティアとを天秤にかけ、「前者が下等、後者が高等」という誤解を持つ方がいらっしゃるのは甚だ残念に思います。
 
 ボランティアスピリットは、極めて重要です。
 但し、東日本大震災の際、仮に日本国民全員が、ねじり鉢巻きでスコップを持ち、ボランティアに駆けつけたとしたら、日本の経済はあっという間に壊滅したでしょう。

 遠く四国に住む我々は、お亡くなりに成られた被害者に追悼の念を秘めつつ、目の前の仕事に一所懸命取り組む。
 結果、収入が増え、法人税や所得税を納められる。
 その税金は、間接的に被災地のために役立つ。
 
 経済的に潤えば、幾許かなりの寄附を行う余裕が生まれる。
 また、復興のために売りに出された県産品を購入することもできる。
 復興の地を観光で訪れ、宿泊や土産でお金を落とすこともできる。

 ちなみに、カンボジアに井戸を掘る費用は、一基150,000円。
 現地農民では、一生かかっても貯められない額だそうです。
 カンボジアの苦しみに共感し、一念発起して現地に出向き、スコップ片手に汗をかけば、心身ともに充実します。
 
 しかし実は、その渡航費用だけで、井戸は掘れてしまうのです。
 また、年収250万円の人は、知らず知らず井戸を掘れるだけの所得税を納めていることになります。

 情動的に空回りしない、効果的なボランティアを意識したいものです。

ビジネスパートナー

 建築業においては、全てを自社内で完結することは稀です。
 施工管理は自前であったとしても、杭、地盤改良、鉄骨、鉄筋、型枠、生コン、タイル、吹付、軽鉄、造作、内装等々、各々専門業者の手に委ねます。
 
 一般的にこうした業者を、「下請」と呼びます。
 やや見下した表現を改めるため、気の効いたところではこれを、「協力業者」と呼んだりします。
 それにしても、「元請業者への協力を求める」・・・という意味において、上から目線に聞こえなくもありません。
 
 前職では、「ビジネスパートナー」と呼んでいました。
 「名は体を表す」
 共に学び共に成長する・・・パートナーの立ち位置は対等です。

 安定的な仕事が確保されていて、発展・成長する前提であれば薄利受注も可能となり、更に価格競争力が強化され、ビジネスパートナーとしての関係もより強固になります。
 ところが、仕事量が減ってくると、あっという間にバランスは崩れます。

 まず、適性価格での受注ができなくなり、ダンピングを余儀なくされます。
 請負価格に比例して、ビジネスパートナーへの発注価格が下がります。
 「この現場だけ、泣いてくれ!」
 一過性なら、何とかビジネスパートナーもついてきてくれるでしょう。

 ところが、恒常的になると、ついていきたくても、いけなくなります。
 当然に、原価は上昇します。
 請負が下がって、原価が上がれば、利益が出ません。

 利益が出なくなると、資金繰りが逼迫します。
 資金繰りが逼迫すると、業者への支払いが滞ります。
 「20日の支払を、暫く待ってくれないか?」
 いわゆる「ジャンプ」の要請です。

 ビジネスパートナーは、「ひょっとして回収できなくなるのではないか?」という疑念が過ります。
 すると、リスクの分だけ見積が高くなります。
 まさに負のスパイラルでしょう。

 経済設計や価格分解やVE(ヴァリューエンジニアリング)の取り組みは極めて重要です。
 但し、安定受注 → ボリューム確保 → ビジネスパートナーとの信頼関係維持、この正の連鎖無くして、安くて良い建物の実現はありません。
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン

・経歴 
 雄新中卒業 → 新田高校中退
 大工・石工と約十年職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業
 令和2年 ㈱南洋建設 代表兼任
 令和4年 ㈱たんぽぽ不動産起業

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