手遅れに成る前に

 不動産業に携わっておりますと、クライアントの内情に立ち入った相談を受けることがあります。

・ 〇〇社をM&Aしようと思うのだが、固定資産の評価をお願いしたい
・ 会社の状況が思わしくないので、物件売却を手伝って貰いたい
・ 家族が少なくなったので、自宅を賃貸した上で住み替えたい・・・

 家族が少なくなる・・・というケースも、離婚であったり、死別であったり、就職であったり、様々です。
 ポジティヴな話であれば、明るく笑顔でヒアリングできます。
 
 一方、ネガティヴな場合、踏み込みが甘く成りがちです。
 お付き合いの深い方や、友人関係であれば尚更でしょう。
 それが故、ここでの聞き取りが不充分だと、致命的なミスにつながりかねません。

 本当は早期に売却して、資金繰りに充当しなければならない程切迫していているにも関わらず、足元を見られたくないという思いが先立ち、ついつい強気な態度を取る。
 業者サイドも、その表層的な言葉を真に受け、余裕の販売活動をしてしまう。
 いたずらに時間だけが経過し、気付いた時には手遅れに・・・。

 悪性の腫瘍も、早期発見・早期治療なら、通院・投薬で治せます。
 しかし、肥大・転移しているとすれば、緊急手術の判断が必要です。
 
 幸い、財務的な問題は、病状がどれほど悪化していたとしても、命まで取られることはありません。
 最悪を想定し受け入れた上で、その最悪を回避すべく最善を尽くすのが、我々の使命です。

 そのためには、相手の懐に入り込み、実情と本音を赤裸々に語って貰うこと。
 そして、その相談に値する信頼関係を築くことこそが、最重要なファクターだと思うのです。
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プロの知識レベル

 知識の度合いは、段階によって大きく異なります。

レベル1 知らない
レベル2 聞いたことはある
レベル3 ある程度理解している
レベル4 質問に答えることができる
レベル5 説明して納得させられる

 その道のプロであれば、せめて4以上で有って欲しいものです。

 先日の店長会で、「中古収益物件市場が活性化し、バブルと言われる理由は何か?」と尋ねました。
 理由は数項目あります。
 この拙文で、幾度となく解説してきた内容です。

 しかし、回答がなかなか導かれません。
 経営幹部は、投資家であるオーナー様と接触するのが仕事です。

 当然に不動産のプロとして、的を射た景況分析や、的確なアドバイスを必要とします。
 店長を引き受ける以上、経験の多寡は無関係。 
 医師でも、アスリートでも、失敗した時に「経験がないもので・・・」という言い訳は通用しません。
 
 自らが本を読んだり、日経新聞を読みこんで、プロとして恥ずかしくない知識を身に付けることは、プロとして「最低限のマナー。
 また、本ブログは、そうした情報のエッセンスでもあります。
 
 会社のためでも、社長のためでもなく、自らのため、そしてお客様のため。
 自己研鑽に努めましょう。

ドラフトに見る天国と地獄

 11月26日付日経新聞スポーツ面に興味深い記事がありました。

 チーム毎の戦力均等化を狙いとして、プロ野球界にドラフト会議が導入されて50年。
 そのデータを元に、選手寿命の短命化についてまとめています。

 1965~2003年 8.2年
 2004~2013年 4.5年

 ドラフト指名は、野球を志すアスリートにとって、誰もが夢見るステータスです。
 何順目であったとしても、名前を呼ばれた瞬間、選ばれし者に成ります。

 記事の中のグラフを読み込みますと、ドラフトで入団した投手の内、3人に一人は1軍出場を果たせません。
 また、二人に一人は一勝も上げることなく引退します。

 多額の契約金を手にし、夢と希望に満ちたプロ生活をスタートしたとしても、僅か数年で挫折せざるを得ない。
 それこそが、プロの厳しい現実です。

 年棒数億円、TVCMにも引っ張りだこで、華やかなトップスター。
 恵まれた肉体と健康と才能に加え、人並み以上の研鑽・努力を積んだとしても、そこに到達できるのは、極めて稀少な確率です。
 
 プロで大成する大変さもさることながら、小中高大と野球しかやって来なかったいわゆる野球バカが、20代半ばで引導を渡され、人生をやり直す厳しさは想像に難くありません。
 
 それに引き換え、ビジネスマンのハードルはどうでしょう?
 己に甘い自分も含め、少し位は爪の垢を煎じて飲んでみても良い筈です。

アベノミクスの検証:後編

 仮に全100戸のプロジェクトを売り出すとしましょう。
 ディベロッパーは、事前反響や競合他社の販売状況を見て、初回の売り出し戸数を決定します。

 即日完売間違い無しとみれば、100戸を一気に、ということもありますが、それは稀です。
 苦戦が予想される場合には、確実に売り切ることのできる10~20戸だけを売り出します。
 小分けにして売り出すことで、「第一期分譲即日完売!」と広告に打ち、次に「第二期販売開始!」と、イベントの山を創出する訳です。

 即ち、仮に成約率90%としてもそれは、100戸中90戸売れた・・・という意味ではなく、100戸中売り出した10戸の内9戸が売れたに過ぎず、実質的な成約率は100分の9の9%しかありません。
 そこまでやりくりした末の、6割とか4割とかいった契約率は、大変厳しい数字です。
 
 ちなみに、リーマンショック前の最盛期と、今年の1~10月の首都圏販売戸数を比較してみましょう。

■2005年 67,075戸 平均契約率82% 10月契約率83.8% 
■2014年 32,187戸 平均契約率75% 10月契約率63.3%

 単純計算で、上記販売戸数と契約率とで、売れた実数を求めると以下の通りです。

■2005年 55,001戸
■2014年 24,140戸

 首都圏だけは良いかもしれないが、地方はその恩恵に預かってない・・・。
 最近良く聞くこうしたフレーズも的外れで、実は首都圏すら、必ずしも好景気ではないのです。

 その一つの理由は、前述したコスト高です。
 一邸あたりの平均価格を比較してみます。

■2005年 4108万円(75.4㎡) 単価54.5万円/㎡
■2014年 4560万円(71.5㎡) 単価63.8万円/㎡

 面積を5%小さくしたけれど、建築原価の上昇を吸収し切れず、売値は10%以上高くなった。
 実質の単価上昇率は17%。
 その価格に、庶民の消費ニーズはついていけない。

 ドラスティックな金融政策によって、円安&株高&インフレに誘導し、物価は上がれど、給料もそれ以上に上がる・・・というアベノミクス論は、現時点ではまだまだ実現していません。

 数字の羅列になりましたが、実体経済とは数字に表れるものです。   以上

アベノミクスの検証:前編

 今回の解散総選挙における、大義の有る無し論議が喧(かまびす)しい。
 女性閣僚の相次ぐ辞任劇や、消費増税の矛先をそらし、アベノミクスの成否に争点を絞った与党のスタンスを、野党は批判しているようです。
 
 私自身は一経済人として、政治的な発言は控えたいと思います。
 但し、経済影響について分析・検証するのはやぶさかではありません。
 アベノミクスは果たして、成功したのか、成功しつつあるのか。

 一棟売り収益物件の売買が、極めてバブリーな状況にあることは、何度も述べてきました。
 円安や株高や相続税増税等の複合効果に伴い、一部富裕層の不動産投資が活況を呈しているのは事実です。
 
 大手企業や富裕層が潤えば、消費が活発化し、やがて一般庶民にも波及する・・・筈でした。
 景気を測る指標は様々ありますが、代表的な住宅着工件数を見てみましょう。

 『国土交通省が発表した9月の新設住宅着工戸数は、前年比14.3%減の7万5882戸となり、7カ月連続で減少。
 季節調整済み年率換算は88万戸だった。
 持家は前年比23.4%減で8カ月連続の減少、
 貸家は同5.7%減で3カ月連続の減少、
 分譲住宅は同15.3%減で8カ月連続の減少となった。』

 東京五輪へ向けた上げ潮ムードで、東京湾岸エリアの分譲マンションは完売続き・・・。
 数か月前までは、そうしたポジティヴなニュースが駆け巡っていました。

 建築原価の上昇によって、計画が手控えられる側面もあります。
 しかし、本当に景気が良いのであれば、どれだけ原価が上がったとしても、売値に転嫁することができる筈です。

 現に、数年前のリーマンショック前の好況時には、分譲マンションの売値が上昇する気配見合で、販売を意図的に遅らせる現象が随所に見られました。
 供給が絞られる中、需要が旺盛なため、契約率は80%超と好調を維持。
 バブルか否かはともかくとして、真の好景気とはこうした状態を指します。

 首都圏分譲マンション10月の平均契約率は63.3%しかありません。
 千葉県の契約率は4割を割り込みました。

 しかも、この契約率には、数字に表れないからくりがあります。     つづく

終わりある旅

 先日他界した高倉健さんの追悼番組の中で、俳優という職業について生前語った一文が紹介されていました。

 『俳優という生業(なりわい)』
 魂が龍もってしまう、密度の濃い時問を過ごした撮影ほど、クランクアップが近づくにつれて、心のバランスが崩れる。
 自分でも何だかわからないうちに、どんどん不機嫌になっていく。
 どうしようもなく、寂しくなる。
 肉体的にはきついのに、まだまだ撮影を続けていたい。
 もっともっと旅を続けていたいと思う。
 だが、俳優の旅には、必ず終わりがくる。
 残酷な生業だ。

 片田舎のアマチュア劇団の脚本家風情が、日本を代表する俳優の言葉を判るといえば、それは不遜過ぎるかもしれません。
 しかし、終演直後の今、大いに共感できます。

 三年越しで脚本の推敲を重ね、何か月も前から稽古に勤しみ、総括をまとめ、チケットを売り歩き、仕上がりの状況から焦燥感に駆られる日々。
 渦中にあっては、「二度とこんな苦労したくない」・・・と不謹慎な考えが過ったりもします。

 緊張と昂揚のピークで終演を迎え、喝采を受け、打ち上げの美酒に酔いしれる。
 その夢見心地の達成感は、味わった者にしか判らないでしょう。
 
 そして翌朝、二日酔いの朦朧とする目覚めの中、「もう、稽古は無いんだ・・・」と急激に現実へと引き戻されます。
 旗揚げの時から共に歩んできた女優から、メールを貰いました。

 「舞台が終わった今は、心にぽっかり穴があいた感じです。」

 同志にとって、気持ちは同じ。
 どんなに楽しい旅でも、余韻に浸り続けることはできません。
 だからこそ、新たなる旅の行き先を探すのです。

21年目へ向けた一歩

 劇団オーガンス20周年記念公演「COLD SLEEP」終演です。
 御観劇頂いた、また御花を頂戴した皆様方、改めて御礼申し上げます。

 今回は20周年という節目を迎え、集大成的な作り込みを意識したつもりです。
 正直、過程においては仕上がりが遅く、欲張り過ぎたと後悔する場面もありました。
 それでも、最後はきっちり帳尻を合わせてくれるのが、キャスト&スタッフの底力でしょう。

・ ゼブラ柄・キリン柄のスーツに代表される衣装
・ プロ並みにセンスの良いチラシやパンフレット
・ 御洒落の極みのオープニングロール
・ 本物と見間違う棺の質感を実現した大道具
・ 観客に見えないような細部までこだわった小道具
・ 難しい役どころを、しっかりと演じきったキャスト
・ 全体の取りまとめとして苦労の絶えない総監督・・・

 団員一人ひとりの力が合わさって、一つの舞台に結実します。
 いえ、団員だけでもありません。

・ 稽古場を提供してくれる自治センターの管理人Iさん
・ 音響の創り込みにご協力頂いたバンドSのメンバー
・ ヘアメイクをボランティアで買って出て下さる美容室Nさん
・ 前座の太鼓演奏を務めて下さった高校生Oさん
・ 何かと融通をきかせてくれる内子座職員の皆様
・ 素晴らしいテーマソングを作曲頂いたTさん
・ 全編放送を前提に収録頂いたケーブルTVのKさん・・・

 数え上げれば枚挙に暇がなく、そのファクターのどれ一つ欠いても成り立ちません。
 更に言えば、チケットを購入し、御観劇頂いた375名(史上二番目の大入り)のお客様いらしてこその舞台です。
 
 団員の皆様、おつかれさまです。
 20年目の終演は、21年目へ向けた一歩。
 共に歩んで参りましょう。

間もなく開演

 いよいよ本日、劇団オーガンス20周年記念公演「COLD SLEEP」本番です。

 舞台は総合芸術・・・単に役者が演じるだけではありません。
 大道具の建て込み、照明の仕込みは、前々日から行います。
 稽古は終業後、松山から八幡浜から宇和島から集い、半年以上の長きに渡って続けてきました。

 オープニングではキャスト一名を、舞台上にセリ上げます。
 この時、奈落の下では6名が待機し、ここ一番のタイミングと、全身全霊の力で持ち上げているのです。

 「水面を優雅に泳ぐ白鳥は、水面下で懸命に水を搔いているからこそ美しい」

 大道具、小道具、照明、音響、衣装、制作、監督、演出、脚本・・・。
 まさに水面下の努力あってこその舞台といえるでしょう。
 100分間の本番に向け、様々な分野で、沢山のスタッフが、貴重な時間を費やしてきました。

 特に代表である徳田氏の御尽力には、団員に成り替わり敬意を表します。
 その大変さは、初代代表である自分が一番良く判っているつもりです。

 待ったなし、一発勝負、やり直しの聞かないガチの緊張感。
 そこに魅せられて20年。
 間もなく、開演です。 

頼れる片腕への祝辞

 今日は、11月22日「良い夫婦」の日です。
 私は、片腕として経理・総務を取り仕切ってくれている女性社員の婚礼に出席致します。

 弊社の立上げ時は、私の未熟さから、人財がなかなか定着しませんでした。
 彼女が担当する、総務・経理本部も例外ではありません。

 総務歴20年、経理歴10年といったスペシャリストが次々と離脱し、グループから送り込まれたベテランも、僅か数日で根を上げます。
 そんな中で、白羽の矢が立ったのが新婦です。
 
 彼女は、長崎国際大学卒業後、グループ内某社で総務担当者としてキャリアを積んでいたものの、経験は僅か1年。
 多くの店舗を抱え、ただでさえ複雑な上に、オーナー様への家賃送金という、重要な業務をこなせるか否か、疑問の声もありました。
 
 事実、配属当初は、精神的にも、時間的にも余裕の無い中で、一杯いっぱいの状況ではありましたが、素直さと、ひた向きさと、根性で乗り切ります。
 
 また、持って生まれた天性の明るさで、社内を笑顔で埋め尽くし、瞬時に会社のムードメーカーとなってくれました。
 今は、当時に比べ更に複雑化した業務の中、拠点と本社を結ぶ要の存在として、体格以上に大きな存在感を発揮してくれています。

 彼女が、社会人バレーボールチーム「クラブEHIME」の一員として三年連続国体代表に選ばれ、活躍されていることは御承知の通りです。
 業務終了後、週4日、深夜まで激しい練習に励まれています。
 身体的にも時間的にも制約のある中で、職務をまっとうする大変さは、想像に難くありません。

 弊社の経営方針の一つに、「できない理由を排除し、どうすればできるかの可能性を追求するポジティヴ集団を目指します。」という一節がございます。

 多くのベテランが、「あれが無いから、これがダメだから」と、できない理由を探す一方で、新婦は愚痴も言い訳も一切言わず、与えられた条件の中で、「どうやったらできるか?」を創意工夫・実践されたからこその結果でしょう。
 そういう意味で彼女は、模範となる弊社理念の体現者であります。

 さて、本日良縁に恵まれました。
 会社では総務・経理の要として、クラブEHIMEでは三年後の愛媛国体を担うアスリートとして、そして今日からは、内助の功で佑樹さんを支える妻として、新たな役割が加わります。

 更に将来的には、良き母としての役割も期待されることでしょう。
 彼女の前向きで明るい性格と、責任感と、根性を持ってすれば、その何役ものマルチな役割もそつなくこなして下さるものと確信する次第です。
 これからも、健康第一で頑張って下さい。

 以上、意は尽くせませんが、御祝いの言葉に替えさせて頂きます。
 本日は、誠におめでとうございます。

臆病者の言い訳

 最近、特に強く感じるのが「決める」ことと、「行動する」ことの重要性です。

 物調は大事、情報発信の精査が大事、物確が大事、営業力を上げるためのロープレが大事・・・大事だ重要だと、百万言唱えたとしても、手足口が動かなければ意味がありません。
 また、行動に移す前提は決めることです。

 その昔、井上陽水さんが、週刊プレイボーイという若者向け雑誌で、人生相談の連載を持っていました。
 ここから発展して、ラジオ番組を持つことになります。
 マスコミには一切出てこない、神秘な存在であった陽水さんの、生の声に触れられるとあって、当時10代の私は、わくわくしながらチューナーを合わせたものです。

 その中で、ある若者の相談が印象深く、今も覚えています。

Q : 自分はモテません。
   また、タイプの異性に出会っても、声をかけることができません。
   どうすれば、積極的に声をかけられるように成りますか?

A : それは、ひょっとしたら、それほど魅力的に思っていないのかも知れない。
   本当に魅力的だと思えば、自然と身体が動くものだから。
   そもそも、モテない男というのは、結果を恐れて行動できない人種。
   「断られたらどうしよう」という、リスクが先立ってしまう。
   それでいて、「万事控え目だから」とか「でしゃばりすぎないので」とか、自分を美化・正当化して納得する。
   
 虎穴に入らずんば虎児を得ず
 
 とにかく決めて、動いてからの話です。

忍びて終わり

 昭和から平成にかけ輝き続けた、銀幕の巨星「高倉健」氏が亡くなりました。
 享年83歳。

 最後まで背筋は真っすぐ伸び、年齢よりもずっと若い役を演じられていましたし、次回作の準備中とも聞いていただけに、急逝のニュースは驚きです。

 十数年前、劇団で「小雪の太陽」という作品を書き下ろしました。
 世間に背いて生きる男が、献身的に尽す純朴な少女に心開き、罪を償った後に添い遂げることを誓う純愛ものです。

 そのラストでは、最愛の人の出所を待ちわび、食堂の店頭に黄色いハンカチを連ねた幟(のぼり)を掲げる情景が描かれています。
 説明しなくても誰もが判る・・・ご存じ、山田洋次監督の手による不朽の名作、「幸福の黄色いハンカチ」をオマージュしたシーンです。

 一昨年、次男と共に観に行った、「あなたへ」が遺作と成ります。
 これもやはり、優しさや切なさが、心に染みる作品でした。
 不器用で、実直な役を演じさせれば、故人の右に出る人は居ません。

 「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」

 ・ 撮影中には決して腰かけない
 ・ 厳寒ロケでスタッフから暖をとるよう勧められても、不器用なので演技できないと、何時間も雪原に立ったまま
 ・ ロケでお世話になった地元の方とは、直筆での手紙のやり取りを欠かさない
 ・ 山に出かけて行って、「あれ、健さん帰ってこないな」・・・ていう終り方が一番良い

 まさに、生前掲げた座右の銘の通りの生き様であり、死に様だったと言えるでしょう。
 沢山の感動をありがとうございます。
 
 合掌・・・。

考動力のある人

 とあるトーク番組で、韓国の美容整形について批判的な某大学准教授が、「だからみんな同じ顔」と揶揄した際、共演者の長嶋一茂氏が、「いや、同じ顔には成ってないよ。それは今、謝んなさい。」と、静かに叱ったといいます。

 母の運動神経と父の頭脳を受け継いだとされる、天然キャラの長嶋氏が、大学の准教授を諭す意外性が話題です。

 こうして文章で読めば、その発言が適当でないことは大概理解できます。
 しかし、敵対的なディベートをしていたのならいざ知らず、談笑に流されそうな雰囲気の中で、間違いに気づき、瞬時に諌(いさ)めるのは、決して容易ではありません。

 喫煙する高校生、電車内で騒ぐ子供、携帯電話のマナーを守らない人・・・そうした場面も、似たようなものです。
 誰しも、悪い行いであることは承知しています。
 眉間にしわを寄せ、仲間とヒソヒソ話で批判し合ったり、暫く時間が経ってから「あれは無いよな!」と強がる。
 でも、その時その場で、しっかり注意できる人は、意外に少ないものです。

・ 言い返されたらどうしよう?
・ 誰かが言ってくれるんじゃないか?
・ もう少しだし我慢しよう
・ 人間関係が壊れてもいけないし

 様々なデメリットが去来し、皆口をつぐみます。
 TVの生放送中であれば、そのリスクは極めて大きい。
 にも関わらず、すかさず指摘できる長嶋氏は、物事の是非を瞬時に判断する、ものさしが心の中に備わっているのでしょう。 
 
 思うだけなら、考えるだけなら、誰でもできます。
 タイムリーに考え、動く、考動力のある人を目指したいものです。

無料相談員の責務

 宅建協会の理事を引き受けてから、定期的に無料相談員を務めています。
 これまで窺(うかが)った内容は、以下の通りです。

① 某住宅メーカーで家を新築したが、工事が杜撰(ずさん)で納得がいかない
② 賃貸住宅の契約時、電気温水器のレンタル料が必要であることを聞かされてなかった
③ 土地を口約束で賃貸し、借主は住宅を建て居住しているが、地代が安過ぎるので値上げしたい

 ②は、重要事項説明上の抜かりですから、明らかに業者側に非があります。
 しかし、①は不動産取引のトラブルではありません。
 ③についても、値上げ交渉を仲介することは、我々の職務領域外です。

 従って、「それは我々の範疇ではありません。」といって、門前払いもあり得ます。
 ③のお客様は当初、居住地で相談をしたところ県に振られ、県に行くと「土地の所在地へ」と、たらい回しにあったようです。
 
 これまでの知識や経験に基づき、相場、正当な地代の導き方、一般的な進め方をレクチャーしました。
 「ありがとうございます。 初めて、日本語の通じる方に行き着きました。」

 相談者は、言葉をつなぎます。
 「報酬は払いますので、仲に立って交渉をお願いできませんか?
 できれば、お名刺を頂戴できれば・・・。」

 公益社団法人の相談員という立場なので、会社の名刺は切れませんし、ここで受けた情報を元にビジネスすることもできません。
 その旨を告げ、丁重にお断りしました。

 更に帰り際、相談者から「お渡ししたいものが・・・」と外へ誘われます。
 「いえ、価値有るものは頂けません。 お気持ちだけで充分です。」
 金品提供をお断りするのも当然のことです。
 
 着任してから半年、改めて感じることがあります。
 相談員によって、対応や回答の品質は一定ではないでしょう。
 時には、誤った導きもあるかもしれません。
 
 不動産業界の地位向上のため、更なる精進と、誠実な対応を心掛けたいと思います。

分け合えば余る

 先日、劇団の稽古風景を、Y売新聞に取材頂きました。
 誤解を恐れずに申し上げると、マスコミ記者という人種は、総じて配慮が足りません。

 思い返せば、旗揚げした20年前は、地元出身の大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞されたこともあり、取材依頼は引きも切りません。

 愛媛新聞は勿論のこと、朝日新聞や産経新聞にも取り上げられました。
 TVは、十回以上出演し、大和田獏さん、北原佐和子さん、東野英心さんといった芸能人とも共演。
 TBSの看板番組「NEWS23」に、内子座の舞台から生中継されたこともあります。

 当時は、自分が代表を務めていたため、オファーを受ける立場でしたが、やはり団員からはすこぶる悪評だったようです。
 ある時、町興しで頑張っている地域の若者の活動を追いかけるドキュメンタリー番組の取材を受け入れました。

① まず例外なく時間に遅れる
※ 遅れても一切謝罪しない

② 捏造される編集
※ 客入りは見込めていた依頼公演にも関わらず、「お客様は入ってくれるだろうか?」「心配をよそに、満員だ。」といった、やらせのナレーションが入る

③ キャストや主要スタッフのみにフォーカスする
※ 打ち上げの酒席を取材するにあたって、裏方的なスタッフに、「席を変わってくれ」と申し出る

 当時は若かったので、そうしたデリカシーの無さに、いちいち腹を立てていました。
 あれから20年・・・自分も歳を重ね、少しは理解できるようになった気がします。

 ・ 彼らにも制作意図があり、伝わり易くするため、沿った形での展開や映像やコメントを求めたい
 ・ 素人相手に取材すると、予期せぬトラブルも多く、なかなか予定通りには進まない
 ・ 締切・掲載日と、取材日程・時間との兼ね合いがあり、こちらの都合だけに合わせられない

 相手の立場に立って考えますと、少し優しい気持ちにも成ります。
 また、こうして記事にして頂き、パブリシティ(無償の記事広告)となるのも事実です。

× 「取材してやっている」 「取材させてやっている」
〇 「取材させて貰っている」 「取材して貰っている」 
 
 モノも心も同じ。
 奪い合えば足らぬ、分け合えば余ります。

覚めない夢は無い

 先日、ある収益物件をポータルサイトにupしました。
 すると、たちまちの内に数件の問い合わせが入ります。

 その内一社は、東京の買い取り会社。
 お一人は、東北地方の医師。
 一昔前までは、こうした地縁性の薄い、遠隔地からの買いは稀でした。 

 日本全国から四国の地方都市を買いにくる現象に、ネット社会の裾野の広さを感じます。
 と同時に、やはり夥(おびただ)しいバブル臭を感じずにはいられません。

【 収益物件バブルの背景 】
1. 株高によって投資家が余剰資金を手にした
2. 円安によって輸出を中心とする大企業の業績が良い
3. 東京五輪決定で機運が上がっている
4. 増税を前に、相続税対策の動きが活発
5. 東北復興に資材や人手が取られ、新築コストが上昇

 これらの複合要素により、中古の収益市場が熱狂しています。
 
 需給バランスが崩れ、品薄となり、東京で買えないから大阪や名古屋へ。
 大都市圏が買えないから、福岡や広島へ。
 中核都市も買えないから、松山や高知へ。
 松山でも中心部では買えないから、郊外へ。
 郊外でも買えないから、大洲へ、宇和島へ・・・。

 ここで冷静に考えなければならないのは、家賃も、入居率も、路線価も、市況も・・地方都市の経済は何一つ変わっていないということ。
 これまで、何度も警鐘を鳴らしてきました。
 覚めない夢はありません。

事業継承の条件

 愛媛県中小企業家同友会伊予松前支部十一月例会は、㈱ナカフードサービス中周作社長の報告でした。

 本会は中小企業の集まりだけに、世襲する会社が少なくありません。
 その事業継承の条件がテーマでした。

1. 創業者と後継者の意志
 ① 継がせたい 継ぎたい
 ② 継がせたい 継ぎたくない
 ③ 継がせたくない 継ぎたい
 ④ 継がせたくない 継ぎたくない

 合致をみる①はhappy、④は論外として、食い違う②と③のケースも各々パターンがあります。
 
 ・ 業界の将来が見通せない(継がせたくないというよりも、継がせられない)
 ・ 後継者には別にやりたいことがある(中さんは5年間、プロのバンドを志していたとか)

2. 後継者の能力
 創業者が身内を後継者に指名したとしても、社員を含むステークホルダーが認めてくれるか否かは別問題です。

 ① 職務的な能力(スペシャリストでないとしても、ゼネラリストとしての能力は不可欠)
 ② 人間的な能力(センス、気配り、品性、思いやり、感謝、謙虚、誠実、ポジティヴ・・・)
 ③ 誰もが認める手柄(新事業の立ち上げ、突出した成果、危機回避のリーダーシップ・・・) 
 
 こうした条件が整ってこそ、真の代変わりが成し遂げられます。

 創業者と後継者は、必ずしも同じ路線である必要はありません。
 但し、価値観はぶれてはならないでしょう。 
 名前と共に継承すべき羅針盤は、やはり経営理念です。

無警告クビ切り

 店舗間や、社員間や、グループ間で、入居希望者やオーナー様を御紹介を頂くことがあります。
 反響や来店の少ない時期であれば、殊更にありがたい情報です。
 
 その場では誰しも「ありがとうございます」と頭を下げ、御紹介に感謝します。 
 ただ、問題はそれからの行動です。

 紹介されるお客様は、特命ですから他社競合に成りません。
 人間関係がベースにありますから、一見(いちげん)さんの様に、信頼をゼロから構築する手間もかかりません。
 その点、営業上は、おおきなアドヴァンテージがあります。

 しかし、その見込み度合は、バラつきがあって当然です。
 その場で即決して頂ける熱い方がいらっしゃる一方で、「これをきっかけに考えてみよう」という潜在顧客もいます。
 
 見込みが薄いと思い込み、感謝の心をすっかり忘れ、紹介者に対する報告を怠り、追客も淡泊になり、「自分の仕事はこれで終わり」と思う・・・。

 さて、このまま放っておいたとしてです。
 何もしなくても、ご本人のモチベーションが一気に高まって申込に来て下さるでしょうか?
 何もしなくても、紹介者がお節介に後押しして、契約まで導いてくれるでしょうか?
 もしそうだとしたら、営業マンの存在価値はどこにあるでしょうか?

 「申し訳ありません。
 先般ご案内しましたが、力足らずでお申し込みにまでは至りませんでした。
 これからも成約に向けアプローチして参りますので、是非後押しをお願いします。」

 こうした報告は、最低限のマナーでしょう。
 紹介者から叱責され、気分が悪くなるかもしれませんが、身内だからこそ文句をつけてでも御用命頂けます。
 部外者ならば、二度と紹介は頂けません。

 最も恐れるべきは、破滅へつながる無警告首切りの連鎖です。

愛弟子を師匠と呼ぶ潔さ

 先日、TVのスポーツ番組で、元プロテニスプレイヤーの松岡修三氏が、錦織圭氏について語っていました。

 松岡修三氏は、言わずと知れた男子プロテニス界の草分けであり、熱血指導で名高い存在です。
 一方、錦織圭氏は、先日行われた全米オープンテニスで、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチを下し、アジア勢として初のグランドスラム決勝進出を果たしました。

 小・中学生を中心に、世界で通用する選手の育成を行う「修造チャレンジ」における師弟関係でもあります。
 錦織圭選手のことを、松岡修三氏はこう評しました。

 『圭は、自分の師匠です。
 11歳の頃から沢山のことを学んできました。
 全米オープンでテニスを学びました。
 ありがとうございます。』

 子供の頃から育て上げた年下の後輩に対し、これほどまでに素直に率直に愚直に、敬意を表せる人がいるでしょうか。
 世界的なアスリートを育てたコーチや監督のインタビューを見る機会も少なくありませんが、言葉にせずとも「あいつは俺が育てたんだ」という、不遜な態度が見え隠れするものです。

 「青は藍より出でて藍よりも青し」
 藍草で染めた布は藍草よりも鮮やかな青色となるが、その関係を弟子と師匠に当てはめ、弟子が師匠の学識や技術を越えるという意味。

 まさに「出藍の誉れ」。
 愛弟子を師匠と呼べる松岡修三の潔さに、感動すら覚えました。
 同じ松岡として、かくありたいものです。

農夫の一日に成らぬ様

 前職の会社で社外取締役だった、元ニシオレントオール常務の東川先生から教えて頂いた文章です。

 「農夫の1日」
 ある農夫が、朝早く起きて畑を耕そうとした。
 ところがトラクターの燃料が切れていたので近くまで買いに行ってきた。
 途中でブタの餌をやっていないことを思い出して納屋に餌を取りに行った。
 
 すると、ジャガイモが発芽しているのを発見した。
 これはいけないと思い、ジャガイモの芽をとっているうちに、暖炉の薪が無くなっていることを思い出して薪小屋へ足を運んだ。
 
 薪を持って母屋へ向かっていると、ニワトリの様子が変である。
 どうも病気にかかったらしい。
 とりあえず応急処置を施して、薪を持って母屋にたどり着いた頃、日がトップリ暮れていた。
 
 農夫はヤレヤレ何かとせわしい一日であったと思いながら、一番大切な畑を耕すことができなかったことに気がついたのは床に入ってからであった。
「ニシオ式躍進経営の秘密」東川鷹年著/明日香出版社より引用

 我々は、毎日毎日出社し、パソコンの前に座り、電話が鳴ったら出て、クレームがあったら駆けつけます。
 遊んでいる訳ではありません。
 
 しかし、今月やるべき、今週やるべき、今日やるべき、重要な仕事はどうでしょうか?
 そうやって改めて振り返ると、まったく進んでいなかったりします。

 ただただ時間だけを無為に過ごすのではなく、しっかりと狙いを定めた仕事をしたいものです。
 農夫の一日にならない様に・・・。

一生幸せでいたいなら

 西洋の諺(ことわざ)です。
 
 『一日だけ幸せでいたいならば、床屋に行け。
  一週間だけ幸せでいたいなら、車を買え。
  一ヶ月だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ。
  一年だけ幸せでいたいなら、家を買え。
  一生幸せでいたいなら、正直でいることだ。』

 正直さも大切ですが、正直なだけで幸せに成れるとは思いません。
 その他にも、感謝、思いやり、優しさ・・・。
 どれもが必要条件ではあるけれど、充分条件ではない気がします。

 最も的を射た答えは「やり甲斐ある仕事」を手に入れること。
 
 自分の能力を活かした仕事を通して、研鑽・努力を積み重ね、お客様や世の中から必要とされ、お役立ちし、喜ばれ、それが経済的な豊かさをもたらしてくれる。
 そうした仕事に巡り合えたならば、人生のすべての時間は光り輝くことでしょう。

 今日のパンを食べるためだけの手段として、時間を切り売りする仕事観では、人生の殆どの時間は暗黒に塗り潰されます。
 また、仕事一色の人生では、定年後の展望が描けません。
 バーンアウト(燃え尽き症候群)で、抜け殻の様な老後は御免被(こおむ)りたいものです。
 
 ・ 生き甲斐に満ちた仕事
 ・ ライフワークとして取り組む趣味

 この二つは車の両輪として、人生に欠かせないファクターだと思います。

拙遅は巧速に如かず:後編

 本当に、今の時代は便利になりました。
 しかし、それで「楽になった」と思うのは大間違い。
 
 仕事を依頼する上司も、お客様も、取引先も、「早くて当たり前」と思われています。
 今日依頼したことは、できれば今日の内に。
 遅くとも2~3日。
 
 仮に一週間後にできていなかったとしたならば、「やる気が無い」「怠慢」と判断されても仕方ないでしょう。
 見積もり依頼や、査定依頼なら、例外なくそうです。

 クレームがあるとか、仕事が立て込んでいるとか、明日が定休日だとか・・・。
 そうした事情を相手は斟酌(しんしゃく)してくれません。

 ニーズに合わせお客様目線で仕事することを「マーケットイン」
 会社側の都合を優先して仕事することを「プロダクトアウト」

 当り前かつ最低の基準が故、前者が必ずしも繁栄をもたらすとは限りませんが、後者は紛れもなく破滅に近付く選択肢です。
 
 「巧遅は拙速に如かず」 
 ※ 出来上がりが幾ら立派でも遅ければ、出来が不味くて速いのに及ばない。
 
 いやいや、この諺(ことわざ)も実は当を得ず。
 仕事の依頼から出来上がりまでが遅いケースの殆どは、熟考を重ね慎重かつ丁寧に取り組んでいる訳ではありません。
 単に仕事に取り掛からず、先送りしているだけ。
 寧ろ、「鉄は熱い内に打て」の拙速な方が、仕事の仕上がりも良かったりするものです。

 何事も、スピードを重視しましょう。      以上

拙遅は巧速に如かず:前編

 仕事はスピードが肝要です。
 このスピード感は、ここ四半世紀で何倍も速くなったと感じます。

 1. 携帯電話
 2. インターネット
 3. パソコン

 この三種の神器の普及によるところが大です。

 昭和の時代は、固定電話しかありません。
 店長や課長といったマネージャーは休みの際、朝昼晩「何か無いか?」と電話したものです。
 
 平成になるとポケットベルが一般的に。
 何か問題が起こるとベルが鳴り、表示された番号に電話します。
 当時は移動中に、公衆電話を探すのが一苦労。
 今や見ることの無い、テレフォンカードも必需品でした。

 今では、何所に居ても、何をしていても追いかけられ、今すぐの回答が求められます。
 
 インターネット普及前は、辞書が欠かせないツールでした。
 私は格好付けて、数万円の電子辞書を携行したものです。
 
 判らないことがあれば、辞書を引くか、他人に聞くか、図書館で本を探すか。
 今は、瞬時に検索でき、的確な答えが見つかります。

 謄本や公図を取る作業も、いちいち法務局に出向かなくても良くなりました。
 不動産の外観も、周辺環境も、接道状況も、事務所に居ながらにしてストリートビューで確認できます。

 その昔、予算策定は面倒な仕事でした。
 複数の店舗や事業を跨いで、月次の損益を落とし込む道具は、鉛筆と消しゴムと電卓です。
 粗方、目処がついた段階で間違いに気づいたり、人員を一人増やすだの減らすだのということに成れば、再び消しゴムで消して、縦算も横算もやり直し。
 消し書きする内、紙は真っ黒で、破れかける・・・なんてことも珍しくありません。  つづく

中間省略に見るバブルの兆候

 一棟売りのマンションやアパートが売買で取引される際、「第三者のためにする契約」が急増しています。
 かつては、「中間省略」という名称で、一般的に行われていました。

 ① Aさん所有の9千万円の物件の購入をBさんが決め、一ヶ月後の引き渡しを条件に手付を打ち、売買契約を交わす
 ② 決済までの一ヶ月の間に、Bさんは営業活動を行い、Cさんという転売先を見つけ一億円の売買契約を交わす
 ③ 本来であればAさんからBさんへ、BさんからCさんへ、という所有権移転の流れになる
 ④ しかし、上記の流れだと、登記費用や不動産取得税が二重にかかってしまう
 ⑤ そのため中間省略し、AさんからCさんへの直接登記を行う

 このスキームでAさんは、一度も不動産を所有することなく、僅か一ヶ月で1千万円の利益を手にします。

 平成十年に契約した分譲マンション用地は決済時、3枚の契約書に基づく、A→B→C→Dの中間省略が目の前で行われました。 
 当然、Aさんは、登記上の売り渡し先であるDさんを知り得ません。
 仮に、Dさんが反社会勢力であったとしてもです。

 また、それぞれの取引毎に利ザヤがonされており、AがBに売った価格よりも、Dが手にした価格は高騰しています。
 こうした取引が投機的な動きを加速させ、トラブルの温床となることから、原則禁止です。
 しかし今は、当事者や登記官が理解し、承諾しているのであればという条件付きで合法化されています。
 
 とはいえ、こうした取引が頻繁に行われるということは、明らかにバブルの兆候です。
 家賃も、市場も、入居率も、地価も、何ら変わらないにも関わらず、転がす内に価格が吊り上がっていくというのは経済合理性に反しています。

 大火傷を負いたくなければ、熱狂の渦に巻き込まれない様、客観的に事態を静観すべきでしょう。

手足口の動く計画

 社内における、あるある事例です。

 「危機感が足らない!」
 「意識をもっと高く!」
 「心を入れ替えろ!」

 上司が檄(げき)を飛ばしたとしても、事態は一向に改善しない。
 決して、部下が反抗的ということでもありません。
 
 意識とか危機感とか心とかは、極めて曖昧なものだからです。
 まずは、正確な現状分析に立脚した、具体的な対策が求められます。

Q : 反響(来店)が少ない理由は何か?
A : 品揃えが魅力的でないから or 広告露出が少ないから or 駐車場が停め難いから ・・・ 

 その原因(なぜ?)に即した対策を講じる必要があります。
 また、対策が具体的であっても、期限や定量的な数値が計画に落ちないと絵に描いた餅です。
 例えば・・・。

■ 意識 「御客様・業者様との御縁を大切にしろ!」
■ 対策 「年賀状を出す!」 
■ 行動 「空いた時間を利用して書く!」 
  これでは、何も動きません。 

【 年賀状を12月20日までに出す! 】
 ① 11月29日までにリストを洗い出す
 ② 総数200枚と筆ペンを11月30日に購入する
 ③ 一日10枚ずつ記入していく

 いつ、誰が、どうやって、どれだけ・・・。
 期日・担当・手法・分量を、明確に決めてこそ、手・足・口が動きます。

課題と問題と大問題

 毎月、月間目標を立て、行動計画を練り、実行し、結果について勝因(敗因)分析し、反省し、次月に改善する。
 最小限の仕組みとして、すべての営業に求めています。
 たったこれだけのことが、なかなか定着しません。

 月初数日経過してまだ、月間目標シートが仕上がっていないケースもあります。
 前月、目標達成できているならまだしも、惨憺たる結果でありながら、そのプロセスがすっ飛ばされているとすれば、何をか言わんやです。
 
 本来、自分で立てた目標は、当然に達成すべきもの。
 達成しても、しなくても良い目標は、目標とは呼べません。

 但し、達成できるか否かギリギリのハードルを設けるとすれば、月毎にバラつきもあるでしょう。
 「先月は達成したけれど、今月はダメだった。来月は挽回しよう。」
 年間12番勝負を、最終的に勝ち越せばOKです。
 
 月々の業績に一喜一憂しないとしても、トレンドが下り目であったり、連敗が続くようならば、抜本的な改革が必要です。
 
1. 先行指標である行動計画をやり切った上で、目標達成できなかったとすれば、それは課題
  ・ 計画数値が高過ぎた or やり方が間違っていた
 
2. 行動計画が達成できていないとすれば、それは問題

3. 行動計画自体が設定されてなかったとしたら、それは大問題

 そして、こうした仕組みが定着せず、数字に甘い部門があるとすれば、とりもなおさずそれは、TOPである自分自身の意識の希薄さから反省すべきなのでしょう。

感謝の前提は赦しの心

 11月4日付の日経新聞9面に、ノーベル物理学賞受賞した県人「中村修二」氏の記事が出ています。

 「日亜化学工業と関係改善したい」

 日亜化学工業は中村氏の古巣の会社ですが、青色発光ダイオード(LED)の特許を巡って法廷闘争した経緯があります。
 2005年、会社側が中村氏に8億円を支払うことで和解したものの、その後も関係はこじれていました。

 LEDによって会社が得た(今後も得続ける)莫大な利益からして8億円は余りにも小額で後進の科学者の意欲を削ぐ・・・として、中村氏は日亜を批判し続けていた訳です。

 それは欧米に比較して余りにも低い、日本の科学者の評価に対する、中村氏なりの抵抗でもあったのでしょう。
 著書やインタビューでも、その批判は一貫して赤裸々でした。

 成就するかどうか判らない研究に、多額の先行投資をしていた訳だから、紡ぎ出された成果は会社の所有に属する・・・という会社側の主張も判らないではありません。

 今回のノーベル賞がきっかけとなり、中村氏の態度が軟化したのは素晴らしいことです。

 「ノーベル賞を受賞できたのは、日亜化学がLEDで世界を先導し、普及させてきたことが大きい。
 お互い誤解があった。
 私の希望としては、小川社長と会って話をしたい。
 過去のことは忘れ、将来だけをみてやっていきたい。」

 いかなる時も、赦(ゆる)しの前提は感謝の心です。

第二領域の仕事

 不動産賃貸仲介管理業には、数多(あまた)な仕事があります。

 ・ 物調(物件調達・仕入)
 ・ オーナー訪問
 ・ 看板付け
 ・ 物確(物件確認)
 ・ 写真撮影
 ・ 物件登録
 ・ ログ解析
 ・ 物件精査(メンテナンス)
 ・ 店頭POP
 ・ 法人訪問・・・

 これらは、すべて重要ですが、緊急性はありません。
 今日でなくても、明日やれば良いし、場合によっては明後日でも良いでしょう。
 その先送りが続き、結果ずっとやれない(やらない)こともあります。
 「7つの習慣」で言うところの第二領域です。
 
【 時間管理のマトリクス 】
第一領域 緊急かつ重要な仕事・・・接客、案内、契約、クレーム応対
第二領域 緊急ではないが重要な仕事・・・自己啓発、研修他、先述の様な地道な仕事
第三領域 緊急だが重要ではない仕事・・・突然の来訪、営業目的でかかってくる電話
第四領域 緊急でも重要でもない仕事・・・多くの無駄話・・・そもそも仕事ではありませんが

 農業に例えるなら、第一領域は収穫、第二領域は種蒔き&培養です。
 今日のメシを食うために収穫は欠かせませんが、種蒔きを怠ると次の芽が出ません。
 培養を怠ると、成長が止まります。

 種蒔きも、除草も、肥料も、摘果も、散水も、適宜バランスよく行うのは当然です。
 しかし、賃貸業の中では、「肥料は沢山やっているのに、土壌がカラカラ」とか、「摘果は熱心にできているのに、足元は雑草だらけ」といったことが散見されます。
 
 自分の店の業務に照らして、今一度考えてみて下さい。

健康あればこそ

 face book等で周知の通り、先日背中のしこりを切除しました。

 「粉瘤腫」
 新陳代謝によって表皮から剥がれ落ちる垢などの老廃物が、皮膚内部(真皮)に溜まることによってできる良性の嚢胞性病変の総称皮膚の良性腫瘍の1つ。
 かつて皇太子様も腰に腫瘍ができ、切除した。

 大型のニキビみたいなもの、と思ってもらえればイメージし易いでしょう。
 顔面に出る場合もあるようですが、自分は背中の、最も手が届きにくい場所だったので発見が遅くなりました。
 殆ど痛みの無いまま徐々に肥大化し、裾野500円玉以上、高さ1㎝程になったため、地元の皮膚科へ。

 「良性の腫瘍で、放置しておいても特に問題はない」
 という診断に、とりあえず安堵しました。

 ところが、注射器で抜き取り、グイグイ押し出された際の傷口が化膿し、痛みが続きます。
 数日我慢するも、一向に改善しないため、たまりかねて会社近くの病院で処置して貰った訳です。

 体調を崩すと、食欲や、仕事への意欲が減退します。
 座った時、背もたれする・・・
 就寝時、仰向けに眠る・・・
 そんな何でもないことが、当たり前ではないと気付かされます。

 体調に不安を抱えながら、仕事されている社員も少なくありません。
 違和感を感じた際は、早期診断、早期治療。
 暴飲暴食を控え、規則正しい生活習慣。

 日頃から節制に務め、健康維持を心掛けましょう。
 仕事ができるのも、ものが食べられるもの、心の底から笑えるのも・・・
 すべては、健康あってこそです。

深さ40㎝の泉源

 男は、温泉を掘り当てる、一攫千金を夢見ています。
 
 Aさんは、言いました。
 「今の場所よりも、海岸沿いの方が、湧出量が期待できる」
 なるほどと思い、男は場所を変える。

 Bさんが、言いました。
 「そのスコップよりも、このツルハシの方が良く掘れる」
 なるほどと思い、男は道具を変える。

 次にCさんが、言いました。
 「海岸沿いよりも、元の場所の方が良いんじゃないか」
 そうかと頷き、男は再び場所を変える。

 男は、事あるごとに周囲のアドバイスを素直に受け入れ、柔軟に対応した。
 かなりの歳月が過ぎたある日、男は手を休め、腰を下ろし、腕を組み、真剣に考えた。

 「奴らは皆、無責任だ。
 言ってることは、まるで当てにならない。
 どこからも温泉なんて出やしないじゃないか。」

 見ると男の周囲には、深さ40㎝ほどの穴が無数に点在していた・・・。

 「強制的に勉強時間を作るため、専門学校に通うべきだ!」
 「宅建業法は満点取れる可能性があるので、そこを完全マスターせよ!」
 「問題は、難解な民法を後回しにした方が良い。」

 それらのアドバイスは、あながち間違いではないでしょう!
 しかし、深さ40㎝では、とてもとても温泉に行き当たりません。
 問題は手法や道具や参考書ではなく、温泉が出るまで掘り続ける意志と根気と執念です。

当事者意識で臨もう

 仲間内の私塾で、相続税の勉強会が開催されました。
 土地・建物・有価証券等、5億円超の遺産を残して急死した方の実例を元に検証します。
 中でも現金が3億円超と、節税対策という意味では全くの無策であったため、非常に判り易い事例です。

 不動産・保険・法人設立という、三つの柱を中心に三名の講師が発表を進めます。
 自分も、「アパート建築による相続税対策」という部分で、少しだけ話をさせて頂きました。

 本業に絡む、プロとして当然に知っておくべき内容ながら、実は最も苦手な分野です。
 この度、こうした機会を頂き、付け焼刃で体裁を整えただけ。
 他の発表者の話は、更に突っ込んだ内容で、大変勉強に成りました。

 業としている私ですら、こうした稚拙な状況ですので、一般の方々の反応は推して知るべし。 
 ある方の、「脳が沸騰する」という表現も判らないではありません。

 今回気付いたことがあります。
 自分も苦手と言いながら、「人前で話さないといけない」という必要性にかられますと、自然に勉強する訳です。
 
 それ以上に、自分自身の親が、数億円の財産を有しているとなれば、一層切実でしょう。
 対策の有無で、数千万円から億単位で損したり、得したりします。
 即ち、「判るか・判らないか」「興味があるか・ないか」を分けるのは、当事者意識次第なのです。

 会議中に居眠りしている人間を見つけると、こう諭しました。
 「今から〇〇さんのことについて議論しようと思う」
 例え前夜が徹夜だったとしても、自分のことを議論されるとなれば、眠気も吹っ飛ぶもの。
 他人事と思うから、眠気が襲うのです。
 
 不動産業を生業(なりわい)として生きていくのだと、真剣に考えるならば宅建の勉強もやらされ感ではありません。
 人生の主役は自分自身です。
 常に何事も、当事者として臨みましょう。
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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