お客様の声の代弁

 会社とは何ぞや?というと、営利を追求する集団です。
 「営利の追求」という表現に、嫌悪感や罪悪感を覚える方も少なくないでしょう。
 何と言われようと、好むと好まざるとに関わらず、そこが宗教組織やボランティア団体との大きな違いです。
 
 勿論、金儲けだけが企業の目的ではありません。
 理念や方針に共鳴した社員が、お客様に自分達の存在意義を問い、機会(チャンス)を貰い、お役立ちした対価として適正な利益を頂きます。

 お役立ちの数が多ければ多いほど、沢山の笑顔や感謝を集めることができますし、利益も膨らみます。
 社員は、お役立ちできたことに喜びを覚え、応分の利益が社員に還元されて経済的にも潤います。
 そこに社会的な意義が見いだせれば、職業や会社や自分自身に誇りも持てます。
 
 即ち、お役立ち=感謝=笑顔の結果が利益なのです。
 「営利の追求」という言葉に抵抗があるならば、お役立ち・感謝・笑顔に置き換えても構いません。
 そうした考え方からすると、利益の無い会社(店舗)は、笑顔や感謝やお役立ちが絶対的に不足しています。

 各店長や社員の方に業績を語る際、「赤字だから」「目標未達だから」といった理由で叱責したことは一度も無い筈です。
 目標未達成でも、例え赤字でも、トレンドが右肩上がりであれば、それなりに評価します。
 それは、昨日よりも今日、今日よりも明日、我が社(我が店)のファンが増えていることの証左だからです。

 一方で、例え黒字でも、目標を達成していても、トレンドが右肩下がりであったり、方針に背く行動が目に付けば当然に厳しく対処します。
 それは、昨日よりも今日、今日よりも明日、我が社(我が店)のファンが減っていることを警告するシグナルだからです。
 
 厳しい叱責は、社長の声ではありません。
 お客様の声の代弁であることを自覚して下さい。
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繁忙期の大飢饉

 目標に到達するには、いかなる場合も逆算のプロセスが必要です。
 かつて、イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏から、掃除の極意を教わりました。

 「床のピータイルを掃除する際、全体を均(なら)す様に磨いたのでは奇麗にならない。
 まずは狙いを定めた一枚だけを徹底的に磨き込む。
 一枚が見違える様になれば次の一枚と、順次範囲を拡げて行く。
 
 この様に、AからB、BからC、CからDと、物事には必ず順番がある。
 ところが殆どの人は、BやCをすっ飛ばして、拙速にDを目指そうとしてしまう。」 

 掃除だけでは無いでしょう。
 幾ら高価な食材を使っても、煮込み時間を端折(はしょ)ってしまえば、カレーのコクは出せません。
 どれだけ基礎体力に恵まれたアスリートであっても、練習せずにマラソンに出場することは無謀です。 

 D売上達成 ← C集客増加 ← B反響増加 ← A物件調達  

 「売上を上げたい」「集客を増やしたい」・・・この思いは皆共通です。
 しかし、肝心の物調(物確・オーナー訪問・看板付け)に積極的かというと、店舗毎に大きなバラつきがあります。
 物調に熱心に取り組んでいる店舗のトレンドは、数字も確実に右肩上がりです。
 
 物調せずに店舗で待ち受けして「売上が上がらない」と悩んでいるとすればそれは、種を蒔かずして「芽が出ない・花がつかない・実が成らない」と嘆いているのに等しい愚行と言えます。

 更に畏れるべきは、この取り組みに一定の時間がかかるということ。
 即ち、物調に目覚めたら、すぐに売上が上がるという様な、速攻性はありません。
 あくまでも半年後、一年後のための種蒔きなのです。
 
 今の種蒔きを怠るならば、来年の繁忙期すら大飢饉に見舞われることを覚悟して下さい。

生と背中合わせの死

 昨日、宮川さん主催の勉強会に参加しました。
 講師は、戸梶内科医院の院長先生です。
 この戸梶先生、偶然にも松山北店の石川店長の同級生とのことで、世間の狭さと縁を感じます。

 さて、勉強会のテーマは、今日の今日まで元気に生きてきた人が突然死神に取り憑かれる「突然死」です。
 この突然死の内、6~7割は心臓疾患だと言います。

 巨人のコーチだった木村拓也さんは、シートノック中に「くも膜下出血」に倒れ、37歳の若さで他界しました。
 有名人だけでなく、身近な事例も少なくありません。

 名古屋の自動車メーカーにエンジニアとして勤めていた親戚のKは作業中、車のドアに手をかけた瞬間に意識を失い、そのまま帰らぬ人と成りました。
 死因は心不全。
 妻と生後間もない子供を残したままの旅立ちです。

 コンビニ店員だった同級生のMは、「気分が悪い。暫く車で休む。」と同僚に告げたのが最後の台詞でした。
 享年26歳です。
 
 今から7年前、60代の部下の死因も、突然死でした。
 参列した葬儀で、親族を代表して御子息が謝辞を述べます。
 
 「家族にも優しい、仕事一筋の親父でした・・・。
 せめて後一年、長生きしてくれたなら、親孝行もできたのに・・・。」
 
 悔恨の想いに水を指すつもりはありませんが、それは間違いです。
 月日が何事も無く過ぎ、生き長らえたとしても、その一年は空虚に過ぎ去ったでしょう。
 「余命一年」とでも宣告されない限り、人生が有限であることに気付かないのが人間の愚かさです。
 
 「生」の背中合わせに、必ず「死」は訪れます。
 だからこそ、いつ「死」が訪れたとしても悔いを残さぬ様、今日一日をど真剣に生き切る。
 「今日は残された人生の最初の一日」です。

ありがとうサービス

 先日、「ブレイド・イン・ブラスト」中川社長のお誘いを受けて参加した経営塾で、「株式会社ありがとうサービス」井本社長のお話しをうかがいました。
 地元の方には、旧社名「今治デパート」の方が馴染みがあるかもしれません。
 
 「ハードオフ」「ブックオフ」「TSUTAYA」といったリユース事業、「モスバーガー」「トマト&オニオン」「かつれつ亭」といったフードサービス事業を、四国・九州で100店展開されるメガフランチャイジーです。

 三十数年前、今治沖の大三島で大工修行をしていた際、一人暮らしを始めるための家電品を今治ショッパーズで揃えています。
 今にして思えば、このダイエーFC店舗こそが、当時の本社ビルでした。
 昨年、JASDAQ上場を成し遂げられたものの、そこに至るまでは、文字通り波乱万丈の道程だったようです。

 剛腕であった先代が突然病床に臥せり、急遽経営を引き継ぐことになったものの、当時の経営は極めて厳しい状況にありました。
 会社をつぶさないための資金繰り、メインバンクとの協議に奔走する毎日だったと言います。
 追い打ちをかける様に、メインの取引先であったダイエーが、建貸店舗からの撤退を表明したことで、絶体絶命の危機が到来。

 しかし、決して決して決して諦めないという、井本社長の不屈の思いが伝わり、起死回生の神風が吹きます。
 井本社長の言葉を借りれば、「メインバンクの支店長に助けられた」「先代と関わりを持ったダイエーの幹部が今治デパートを潰してはならないという誠意を示してくれた」とのことですが、やはりそれまでの誠実で真摯な経営姿勢あってこそでしょう。

 さて、通常であれば、危機を乗り切った直後は、その安堵感から慎重になります。
 ところが井本社長は、間髪入れず、そこから九州の地へと出店攻勢をかけるのです。
 それは、会社案内に列記された井本社長流の経営哲学の実践に他なりません。

 『人生二度なし』
 『念ずれば花ひらく』
 『感謝するから幸せ』
 『必要必然ベスト』
 『原因と結果の法則』
 『全ては変化する』
 『与えたものが得られる』

 夜も寝付かれなかったであろうリアルな経営秘話を、柔和な表情と穏やかな笑顔で、何でもないことの様にサラリと話される井本社長の人徳に深く感動しました。
 社名の通り、大きな勇気をありがとうございます。

向かいの山の紅葉

 この話は結構ポピュラーなので、一度は聞いたことがあるかもしれません。
 
【 国と国とを隔てる国境で、入国を管理する役人がいた。
 一人の男がやってきて、その役人に訊ねる。

男A : 「こちらは、どんな国だね?」
役人 : 「あちらの国はどうでしたか?」
男A : 「皆、気さくな人ばかりで、優しくしてくれます。とても良い国でした。」
役人 : 「そうでしたか、こちらもそんな国ですよ。」

 その後、もう一人の男がやってきて、同じ役人に訊ねます。

男B : 「こちらは、どんな国だね?」
役人 : 「あちらの国はどうでしたか?」
男B : 「皆、無愛想で、冷たくて、意地悪。とても酷い国でした。」
役人 : 「そうでしたか、こちらもそんな国ですよ。」 】 

 二人が今まで滞在した国と、これから行こうとする国は、まったく同じ国です。
 であるにも関わらず、二人の印象は真逆に成ります。

 国だけでなく、会社でも、人間関係でも同様です。
 「緑が多い」とか「治安が良い」とか、環境や事象は善し悪しを決める一つのファクターでしょう。
 しかし、いかなる場合も、肯定的に受け止める人は満足し、否定的に受け止める人は不満を残します。

 出典は忘れましたが、次の詩も至言です。

 「向かいの山の紅葉が奇麗だったので行ってみた。
 その山から眺めてみると、元居た山はもっと奇麗だった。」 

地に足の着かない輩

 有吉弘行さんとマツコ・デラックスさんがMCを務める「怒り新党」の中で、マツコさんが蘊蓄あるお話しをされていました。

 『ボランティアを推進しようとする人の中には、身の丈に合わない大きな事業に意欲を燃やす人が居る。
 目の前の困った人を助ける・・・それもボランティアの一環じゃないかと訊ねると、「そんなことでは世の中は良くならない。社会を巻き込んで大きな取り組みにする必要があるんだ。」と熱弁を振るう。』

 確かに、「アフリカの砂漠に井戸を掘りに行くことは自己満足に過ぎない。」と、汗を流すボランティアに否定的な声も少なくありません。
 一所懸命に働いて、しっかり税金を納めたり、寄付を行ったりする方が、間接的ではありながら地域に貢献できるんじゃないかという論理です。
 マツコさんは、そうした理屈を踏まえた上で、持論を展開します。

 『目の前の小さな善行を否定し、大きなボランティア事業を推進すると口では言うものの、その大事業を成し遂げられるだけの資力も無ければ、スポンサーを引っ張ってくるだけのコネも無く、周囲を巻き込んでいくだけの求心力も無い。』

 実に共感します。
 社会でも、似通った話は枚挙に暇がありません。 

 ◇ 「将来は社長になる!」と意気込むけれど、中間管理職の苦労はしたくない 
 ◇ 「年収一千万円が目標!」と豪語しながら、重たい責任は背負いたくない
 
 目標を高峰に置くからには、急で険しい道を一歩一歩歩む覚悟が必要です。
 そのプロセスをすっ飛ばして、急に社長になったり、急に年収が上がったりする筈がないでしょう。
 こうした原理原則を無視した、地に足の着かない輩のいかに多いことか・・・。

 ましてや例え小さな善行でも、やらない人間よりもやった人間の方が数万倍、世の中の役に立っています。
 言葉に真実は無い・・・行動のみが真実です。

看板を付けたら不動産屋が儲かる

 先日、ある方が利益を上げる三つの方法を挙げられていました。

 1. 売上を上げる
 2. 原価を下げる
 3. 経費を下げる

 非常にシンプルな構図ですが、的を射ています。
 また、賃貸仲介業は概ねフィービジネス(手数料商売)なので、原価が殆どありません。
 従って業績改善は、「売上を上げる」か、「経費を下げる」か、その何れかを追求することになります。
 経費の内訳は本来、変動費と固定費の二通りありますが、弊社の場合は殆どが売上に左右されない固定費です。

 「水道を流しっ放しにしない」「エアコンの設定温度を控えめにする」「照明をこまめに消す」「電話の設定を無料通話にする」「無駄な文房具や日用品を買わない」等々、節約は心掛けとしては大切ですが、損益に与える影響は微々たるものでしょう。
 弊社の店舗は、閑散期の少ない売上でも採算が成り立つ様、戦略的に販管費を抑制しており、削減シロは然程大きくありません。

 そんな中で、販売促進費と広告宣伝費の二つは、売上に影響を与える変動費です。
 換言すれば、利益をコントロールする経費と言えます。

 例えば、情報誌やポータルサイトへの出稿をゼロにすれば、月間数十万円の経費削減に成りますが、当月および翌月以降の売上が数十万円、もしくはそれ以上下がるのは確実。
 逆に、予算を幾等かオーバーしたとしても、それ以上のリターンが見込めるのであれば投資すべきなのです。

① 利益を上げる (ために)
② 広告費を使って反響・来店を増やす (けれど)
③ 広告に掲載できる魅力的な物件が無い (ために) 
④ 物調活動で仕入を強化する (或いは)
⑤ 既存のオーナー様を訪問してリノベーション及び条件変更の提案を行い商品を再生させる

 「風が吹いたら桶屋が儲かる」という故事に例える程、迂遠な話でも無いでしょう。
 物調、看板、訪問、提案無しに、「売上上がらんかなぁ」と思い悩む姿は、宝くじを買わずして当選を期待するのと同じくらい滑稽です。

 オーナー様訪問、オーナー様提案、看板付けといった地道な活動を愚直に実践するならば、反響・来店が上向くだけでなく、ストック収入である管理取得情報も向こうから舞い込んでくることは間違いありません。

店長の仕事

 先日、エイブル直営店のTOPクラスの店長とお話しする機会がありました。
 店長の役割とは何でしょう。

 『会社の方針に基づき、与えられた資源(人的・物的)を最大限活用し、組織を活性化させ、目標を達成する』

 組織(店舗)目標達成が使命である以上、店長個人の数字は一切望みません。
 店舗目標に対する、営業マン個々の占める売上シェアを例示します。

 いろは店 : Aさん50% Bさん40% C店長10% 合計100%達成
 ほへと店 : Xさん10% Yさん10% Z店長70% 合計90%の未達成
 
 「ほへと店」のZ店長は、店舗全体売上の70%を一人で叩きだし、孤軍奮闘の活躍を見せています。
 一方、「いろは店」のC店長は、僅か10%しか計上していません。

 個人プレイヤーとしての比較ならば、明らかに「ほへと店」Z店長の功績が上回っています。
 しかし、店長の評価としては、組織目標を達成している「いろは店」C店長に軍配が上がる訳です。
 もう少し踏み込んで解説してみましょう。

「いろは店C店長の勝因」
① 物調に熱心で、反響の取れる物件を数多く仕入れてきていた
② 既存のオーナー様を訪問し、リノベーション提案によって、物件を再生していた
③ 条件変更(賃料値下・敷金ゼロ・ペット可)提案によって、物件を再生していた
④ 地主への建築提案により、新築物件を優先的に獲得していた
⑤ 定期的な法人訪問を行うことにより、紹介情報が寄せられる環境が整っていた

 これら日常の取り組みによって、必然的に外に出る機会が多くなり、店内での待ち受けは少なくなります。
 従って、個人の数字は上がりませんが、そうした種蒔きの結果として、AさんやBさんに対する効果的なアシストをしている訳です。

 お客様が次から次に訪れる繁忙期はともかく、閑散期における店長は原則、止むを得ない場合を除いて、待ち受け接客の必要はないでしょう。

 それ以外にも、会社の方針をしっかりと咀嚼し自分の言葉で伝えることや、社員のやる気を引き出し鼓舞することも重要な要素です。
 各店長は、自分に課せられた、最も大切な役割を見失わないで頂きたいと思います。

ブラジルの強さの源

 先日のワールドカップ前哨戦コンフェデレーションズカップでのブラジル戦完敗を受け、長友は「中学生とプロのレベル」と、自虐的な敗戦の弁を述べました。
 その根っこの理由が、21日付日経新聞のスポーツ欄、三浦知良選手のコラムから読み取れます。

 『ブラジルの人々には「これじゃ、できない」という発想がない。
 ピッチがどう、シューズがどう、雨や風がどう、など関係ナシ。
 場所さえあれば喜んでサッカーをしちゃう。
 足場がびしょびしょでボールをつなげないなら、リフティングしながらドリブルしてやろうと考える。
 ビーチで足元が分厚い砂なら、ボールを単に蹴らずにすくって、うまく浮かせて前に運ぶ。
 「無理だ」など言わず、考え方の目先を変えて、頭を使い、楽しむ。
 だから、うまくなるんだ。』

 まさに我が社の理念と同じ、「できない理由を排除し、どうすればできるかの可能性を追求する」ポジティヴシンキングです。
 
 業務でも同じです。 
 社を挙げて取り組んでいるBig smileも、看板付けの物調活動も、やらない店(人)は、できない理由を探します。
 しかし、同じ条件下でしっかりやっている店(人)がある以上、それは理由になりません。
 我々実務家は、できない理由を証明しても、学者や評論家の様にメシは食えないのです。
 

 『草サッカーでは10歳の少年から50歳の大人まで、元プロも下手くそも一緒くただ。
 そしてみんな本気になる。
 大人は容赦なし、子供を子供扱いしない。
 子供も「僕は子供だから」などと逃げない。
 一生懸命やらないと「しっかりやれ。ばかもの。」と大人に怒られる。
 一方、子供は子供で「おっさん、もっと走れよ!」とやり返す。』

 この、あくまでも勝負にこだわる真剣な姿勢が、幼少の頃からの実践で、文化として染み付いています。
 四季の寒暖差を受け、風雨にさらされ、踏みつけられ、逞しく育つ雑草と、温室育ちとの違いです。
 サッカーの話と割り切るのではなく、不動産ビジネスにおいてブラジルの強さを見習いましょう。 

社長の仕事

 中小企業家同友会6月例会は、株式会社世起の今村社長が御登壇です。
 
 実は平成6年当時、前職の事業多角化の一環として、内子座前に小さな土産物店を立ち上げています。
 その時に、「世起」さんの商品を扱わせて頂いていました。
 いつもながら世間の狭さと、何かしらの縁(えにし)を感じずにはいられません。

 「トップセールスと、それを支える現場力」

 ここでいうトップセールスとは、TOP自らが前線に立って営業することを指します。
 勝手ながら我々の持つ世起さんの印象は、老舗の安定した会社です。
 ところが今から10年前、倒産も覚悟する様な大きな危機があったと言います。
 その時、文字通り起死回生となるヒット商品が、会社の危機を救いました。

 「販売が順調なら、社内の問題の90%は解決する」 

 引用された、一倉定氏の言葉は至言です。
 裏を返せば、優秀な経営者が、高邁な理念を説き、誠実に行動したとしても、販売が振るわなければ資金が回りません。
 企業にとって資金は血液です。
 血液が止まれば当然に、人も企業も突然死します。

 今回の報告から学んだ、最も大きな気付きは、社長の役割です。
 
 ① 自らお客様の元を訪ね要望を聞き、社内に落とし込むのが社長の仕事
 ② スピード感を持って決断する・・・決めることが社長の仕事
 ③ いかに市況が悪くても、社業を発展させ続けるのが社長の仕事
 ④ 社員に責任を持たせることはできるが、責任を取るのは社長の仕事

 「理念でメシは食えない」

 これは、決して理念を否定する言葉ではありません。
 美辞麗句の並ぶ理念を、金科玉条の如く額に飾り、朝礼時に大声で唱和したとしても、社内向けの発信・周知だけに留めてはいけないという教えです。
 
 理念の精神を、お客様や取引先といった社外のステークホルダーに説き、要望に耳を傾け、商品開発やサービス向上につなげてこそ値打ちがあります。

 会社の真の支配者である、お客様の声を羅針盤とする・・・この道筋は菓子業界だけでなく、我々不動産業も含めた総てに共通の王道と言えるでしょう。

 にこやかで物静かで穏やかで、朴訥とした語り口の中にも、経営者としての強い信念と情熱の感じられる、素晴らしいお話しでした。
 今村社長、本当にありがとうございます。 

足ルヲ知ル者ハ富ム

 老子の言葉です。

 【 足ルヲ知ル者ハ富ム 】
 
『他人や社会をよく知る者は「知者」だが、
 自分自身を正しく知る者は「賢者」である。
 
 他人に打ち勝つ者は、力があるというだけだが、
 自分自身に打ち勝つことのできる者は、真の強者である。

 足るを知って満足することが、富んでいることであって、
 力ずくで何が何でも手に入れようとするのは、野心家である。

 自分の本心を失わない者は、崩れない。
 死んでもその力が残る者は、命が長い。』

 レベルの低い話ですが、日頃は体調を気遣って腹八分目で留めるにも関わらず、バイキングとなるとついつい食べ切らない程の量を皿に乗せ後悔する自分も、足るを知らねばなりません。

 家を建てる時、「広々したリビングが」「対面キッチンが」「掘りごたつが」「眺望の良いバルコニーが」・・・次から次に要望をプランに落とし、身の丈に合わない大きさに成ってしまったことも、また然りです。

 豪邸に住み、高級外車を乗り回し、御馳走を食べ、頻繁に海外旅行を楽しむ人であっても、その生活に満足していなければ、心は決して豊かではありません。
 
 一方、質素な家に住み、素食を常とする清貧な生活であったとしても、今日の健康や、今日の米粒に感謝できる人の心は裕福です。
 
 止め処ない欲求は、人間だけに備わった、実に人間らしい本能といえるでしょう。
 人は皆、聖人君子では無いのですから、欲求の強さを恥じることも、蔑むこともありません。
 
 肉を食べたいけれど、肉ばかりではいけないので、たまには野菜を食べよう。
 それと同様に、心の健康を保つための生活習慣として、足るを知ることを時に思い出したいものです。

残り30%のレギュラー

 昨日のブログで、不遜にも「史上最高益」という表現を使ったところ、社外の方から祝福のメッセージを多数頂きましたので、少し言葉足らずを補足しておきたいと思います。

 前職の会社の破綻を受けて、起業したのが今から四年前です。
 賃貸仲介大手「エイブル」のネットワークに加盟し、ホームである大洲駅前で開業しました。
 
 何故、大洲だったかと言うと、滝井店長共々この地に人脈の根が深く、「お前達が起業するならば」と力強く支援頂けるオーナー様に背中を押されてというのが最たる理由です。

 大洲を皮切りに、松山南店、松山久米店、松山北店と、一年二ヶ月の短期間で四店舗を立て続けに出店しました。
 振り返れば、少々無謀なスタートだった気もします。

 特に、大手競合ひしめく松山においては苦戦しました・・・いや、この点については過去形ではなく、現在進行形の問題です。 
 尊敬する経営者の方から、「松山は一店に集約した方が良いのでは?」というアドバイスを頂いたこともあります。
 その言葉に、正直心は揺れました。
 
 かなりの混乱と辛抱を強いられましたが、今となれば、あの時の判断は正しかったと確信しています。
 他ネットワークと比較して脆弱だった、知名度・認知度のテコ入れのためには、地域に根差した店舗の看板が最も効果的です。

 現在在籍する社員と同じ数だけ退職者も出してきましたが、最近になって少し定着しつつあります。
 ストック収入の源泉である管理物件も、着実に増えてきました。

 好走と暴走は紙一重・・・と言いますが、リスクを取らず「一店舗ずつ軌道に乗せて」と石橋を叩いていたら、未だに大洲の地に留まっていたかもしれません。  

 これまでは先行投資の種蒔きの期間。
 蒔いた種が、長い年月をかけて芽を出し、花を咲かせ、実が成り、やっとのことで収穫の時を迎えただけであって、公表できない過去の数字との相対比較が、「史上最高益」の真意です。
 まあ、決して嘘ではありませんが・・・。

 一説によると、日本企業の70%は法人税を納めていないそうです。
 これから先、史上最高益を更新し続け、残りの30%のレギュラーとなってこそ、立派な会社の一角を占めることができるのだと思います。

やれることをやる

 期末まで一ヶ月半を余し、四期目にして史上最高益がほぼ確定しました。
 だからこそ敢えて、このタイミングで、社員の皆様の危機感に訴えます。
 
 行動には必ず二つの道筋があります。

 ① 目的 : やるべきこと ⇔ やるべきではないこと
 ② 能力 : やれること  ⇔ やれないこと
 ③ 怠惰 : やる     ⇔ やらない

 私は決して、無理難題や理不尽なことを要求するつもりはありません。
 やる必要のないことををやれ!と言ったり、能力的にできないことをやれ!とは言わない筈です。
 その代り、やれる人は、手を抜かず、やるべきことをやって下さい。

 許せないのは、「やれるにも関わらず、やるべきことを、やらない」人です。
 もっと腹が立つのは、「その怠惰を反省することなく、他責にしてしまう」人です。

 数字が上がらない、契約が伸びない・・・。
 これはある意味、仕方の無い側面もあります。
 しかし、そうした理解は経営者が示すものであって、当事者が開き直ってはいけません。

 1.決まらなかったとして、目の前のお客様にベストを尽くしたか?
 2.決め物件が少ないとして、物調(看板付)活動はしっかりやったか?
 3.管理物件の入居率が低いとして、オーナー様への提案は行ったか?
 4.成約率が低いとして、ロープレや物確は毎日行えているか?
 5.Big Smilバッジが少ないとして、アンケートは漏れなく渡し、happyコールを行ったか?
 6.反響が少ないとして、法人訪問は目標の数だけやれたか?
 7.月末最後の定休日、月末最終日の24:00迄、最後の最後まで諦めなかったか?
 8.今月は駄目でも、来月の繰り越しにつながる様な執念の追客はできたか?

 これらの自問自答は、総てやるべきことであって、尚且つやれることです。
 目標がクリアできているのなら、こんな説教臭い問いに耳を傾ける必要はありません。
 クリアできていないのなら、せめてやれることだけはやって下さい。
 例えそれが数字の作れないことに対する言い訳だったとしても、やらないよりは、やる方が百万倍誠実でしょう。

 言葉に真実は無い・・・行動のみが真実です。

欠を割れない責任

 従軍慰安婦問題で物議を醸している、「日本維新の会」の橋下代表について、以前私はここで批判的な拙文をupしました。
 言い訳では無く、批判的に評したのは発言内容そのものではなく、公人としての脇の甘さです。
 マスコミや他政党が、発言のオイシイ部分だけを切り取って使われること位、バラエティ出身者ならば覚悟しておくべきだという趣旨で綴りました。

 さて、先日「たかじんNOマネー」なる番組に橋下氏が生出演しています。
 テーマタイトルは、「橋下氏が本当に伝えたかったこと」。
 迎え撃つコメンテーター陣は漏れなく、橋下氏に対して敵対的なスタンスです。
 番組視聴者の、橋下氏の発言に対する電話投票結果は・・・。

☓ 問題アリ 2,011票
〇 問題ナシ 7,713票

 約8割という圧倒的な支持を受けた橋下氏の、「有権者は冷静ですよ。小金稼ぎのコメンテーターとは違います。」と、出演者を愚弄したコメントが引き鉄となり、タレントの水道橋博士が生放送中に番組を降板するという異常事態に至ります。

 この事件を受け、改めて番組を確認しました。
 多勢に無勢の状況下、橋下氏は桃太郎侍の如くバッタバッタと斬り捨て論破していきます。
 先述の支持率にも象徴される通り、ディベートとして白黒つけるなら橋下氏の圧勝でした。

① 社会的にも個人的にも、容認できないという認識は共通だが、歴史的に戦時下の軍は女性を必要としてきた
 ※ この発言の一部が切り取られ「橋本氏は従軍慰安婦を必要と容認」と誤報された
② 日本だけでなく他国も同様の過ちを犯してきたにも関わらず、何故日本だけが責められなければならないのか
 ※ この発言から、「お前らもやっただろう。俺達がやって何が悪い。」という開き直りに曲解された。
③ 日本の慰安婦問題を世界はホロコーストと同一視しているのに、何故日本はその理不尽さを訴えないのか
④ そうした侮辱的な扱いを受けていること自体、マスコミは取り上げないし、日本人は知らされてない
⑤ 日本が国際的な批判に晒されている理由は、国家的な関与の有無を政府が曖昧なまま放置してきたツケ
⑥ 日韓条約によって賠償済みというスタンスと、河野談話とのズレが掛け違いの原点
⑦ 国際問題は、日本人が美徳とする「黙していれば収まる」様な単純なものではない
⑧ 認めるべき点は認め、否定すべき点はしっかりと大きな声を上げる必要がある
⑨ 今後はこれをきっかけに日韓両国が歩み寄り、歴史的認識を擦り合わせるために最大限努力すべき

 切り取られ都合良く(悪く)組み合わされたコメントではなく、一時間耳を傾ければ、橋下氏の主張の正しさは概ね理解できます。
 しかし、海を越え、言語の壁を越え、この主張を世界中の人達に伝えるのは至難の技でしょう。
 ましてや、日本の自国の中ですら、橋下支持派はマイノリティなのですから。
 
 ビジネスにおいて政治論はタブーという基本を逸脱し、長文をしたためてしまいました。
 せめて最後くらいは、納得の学びで締めたいと思います。

 「臭いモノに蓋をする」「寝た子を起こすな」
 こうした考え方で、当たり障りの無い曖昧な言葉だけを重ねるリーダーは、社内的にも対外的にも信用を失うだけ。
 一方で、正しいことを正しく伝えるだけでは、必ずしも大衆を味方につけられないのも組織の常です。
 
 また、他人の言動を批判するだけなら誰でもできます。
 あちらを立てればこちらが立たないという究極のジレンマの中でも、判断し、実行していくのがリーダーです。
 
 「小金稼ぎ」と揶揄されたくらいで番組を降板するコメンテーターは、本人の言葉通り「ただのタレント」なのでしょう。
 どれだけ針のムシロでも、どれだけ四面楚歌でも、欠(けつ)を割らない、割れないのが真の責任です。

媒介契約書とは

 不動産を売買仲介する場合、二つ契約を交わします。
 一つは、皆さん御承知の売買契約書。
 もう一つは一般の方にとって、余り耳馴染みでないかもしれませんが、媒介契約なるものです。

 不動産業者は、お客様の売り買いの意思が固まった段階で、「仲介して下さい」という意思表示を明文化した媒介契約を交わさなければなりません。
 
 媒介契約の種類は三つあります。

1. 一般媒介契約
 ・仲介依頼 → 何社でも    ・自己発見 → OK 

2. 専任媒介契約
 ・仲介依頼 → 一社のみ    ・自己発見 → OK

3. 専属専任媒介契約
 ・仲介依頼 → 一社のみ    ・自己発見 → NG

 専属専任媒介契約であれば、他社に依頼することもできなければ、自らお客様を見つけることもできません。
 その代わりに業者には、指定流通機構への登録や、定期的な報告といった義務が課されます。
 
 この様に書くと、媒介契約そのものが業者にとって重荷であるかのように聞こえますが、実はお客様だけでなく業者サイドも守ってくれるのが媒介契約なのです。

① 言った言わないのトラブルが無くなる
・ 例えば「2000万円で売る」意思を確認していたにも関わらず、契約直前で欲が出て、「やっぱり2200万円」と心変わりしてしまうことがあります。
 或いは、「売る」と言っていたのに、途中で「や~めた」という事態もあるでしょう。
 何れにしても、途中で話が変わってしまうのは業者にとって信用問題。
 嘘吐きとならないための防衛線が、この媒介契約なのです。

② 手数料支払いを巡るトラブルが無くなる
・ 2000万円の物件が成約した際、売主サイドから頂ける仲介手数料上限額は税込693,000円です。
 成約後「これだけ頂戴します」と言った際、「えっ!そんなに要るんですか?まけて下さいよ」と揉めないためにも、事前に取り決めしておく必要があります。 
 
 ところが実情はというと、面倒臭いとの理由で、売買契約直前に媒介契約を交わす業者も少なくありません。 
 中には、媒介契約書そのものを交わさない業者すら居ます。
 お客様が業者を選ぶのと同様に、業者も取引する業者を選ばなければならない理由がここにあります。

策士策に溺れる

 この業界で良く使われる交渉術が「駆け引き」です。
 そもそもの語源は、戦場で進軍することを「駆け」、退却することを「ひき」と呼ぶことからきています。
 一般的な意味は、商売や交渉・会議などで、相手の出方や状況に応じて自分に有利になるように処置すること。

 この駆け引きは、交渉を進める上で、ある程度は必要ですし、使い方によっては効果的です。
 しかし、過ぎたるは及ばざるが如し・・・何事もやり過ぎはいけません。
 
 不動産仲介では、利益相反の関係にある売主様・買主様が主役となります。
 売主様は極力高く売りたいし、買主様は極力安く買いたいのは当然でしょう。
 その仲を取り持つのが、文字通り仲介会社である我々の役割です。

 売買間一社だけで仲介する場合には、両者の希望を直接お窺いした上で商談が進められます。
 一方、売側と買側で業者が異なる場合には、業者間での調整が必要です。 

 前者に比べて後者は、間接的なやり取りに成りますから、当事者の本音が見え難くなります。
 まして、売側業者と買側業者の間に、第三の業者が絡むと、更に事態は混迷します。

 A → B → C → D → E

 意思伝達も、さながら伝言ゲーム。
 暗黙のルールとして、飛び越しの交渉ができない点も、混乱に拍車をかけます。
 ここで、各人各様の思惑をもった駆け引きが飛び交うと、まとまるものもまとまらなくなってしまうのです。 

 自分に有利になるように駆け引きしたつもりでも、相手方に腹の内を見透かされたり、不信感を買ってしまえば、ビジネスそのものが成就しません。
 そうした駆け引きを、上等なテクニックと誤認している当事者こそ悲劇(喜劇)です。

 『策士策に溺れる』

 駆け引きなどの小細工を駆使することなく、愚直なまでに誠実であることは、これからの不動産仲介営業に重要なファクターと確信しています。

下剋上の条件

 先日、マイケル・ポーター著「競争優位の戦略」についてご紹介しました。
 記事中では、リーダー(TOP企業・強者)を攻撃する、三つの道筋を示しています。

1. より巨額な資金の投下

2. 正面衝突の回避

3. ヴァリュー・チェーンの再構築
 
 今から20年前の松山、我々の営む賃貸仲介管理業界において、「より巨額な資金の投下」を目の当たりにしました。
 松山出身の経営者が、県外で力を蓄え、満を持して地元へ進出した際の猛烈攻勢です。

 当時は、地元老舗の数社が市場をリードしていました。
 ところが、先述の企業が進出するや、店舗も広告も比類なき資金投下で、一気にシェアを拡大します。
 結果、驚くべき短期間で、TOPグループの一角を占めるまでに成長したのです。

 このやり方は、エリアや業種を超える際の強者の戦略であり、一般的な後発の会社が真似できるものではありません。

 「正面衝突の回避」の、歴史的な成功事例は「桶狭間の戦い」です。
 僅か2千の織田軍が、2万を擁する今川軍を打ち破ることができたのは、豪雨明けの虚を突いて本陣を急襲したからだと言われています。
 競争の範囲(スコープ)を、大将の居る本陣のみに再定義したことが最大の勝因と言えるでしょう。

 三番目の「ヴァリュー・チェーン」は、ポーターの最も得意とするするファクターです。
 
 【 ヴァリュー・チェーンとは? 】
 購買した原材料等に対して、各プロセスにて価値(バリュー)を付加していくことが企業の主活動であるというコンセプト。

 この原材料という言葉は、当然に製造業の概念ですが、当然にサービス業でも応用できます。
 ・ 商品(他社に無い商品仕入れ)
 ・ 条件(大家さんとの信頼関係に基づく条件緩和)
 ・ 接客(笑顔・提案・傾聴等)
 ・ アフターサービス(入居後のフォロー)等々
 
 売上規模や、社員数や、社歴や、宣伝露出量では叶わないけれど、この部分では勝てるという強みを価値提供できてこそ、下剋上の条件が整えられます。

自分の弱点

 ここ最近、訳あって高二の次男との接点が急速に深まっています。
 彼は毎日、学校から帰宅しますと、その日一日起きたことや気付きを列記し、それを受けて自分がコメントを返す・・・さしずめ、親子の交換日記です。

 実は、彼が小学生の時にも、そうしたノートを共有していました。
 「仕事は忙しいとは思いますが、もう少し一緒に遊んで下さい・・・。」
 現場最前線で最も多忙な時期に、稚拙な文字で書かれていた、痛烈な一言が胸に突き刺さったものです。

 それから数年が経過し、彼は着実に階段を上り、大人の目線に近付いています。
 『自分の弱点は、他人の意見に流され易い点、根気が無くて継続性が無い点です。』 
 先日のテーマは、「自分の弱点」についてでした。

 『人は誰しも長所と短所があります。
 そしてその長所と短所は、表裏一体の背中合わせのものです。

 例えば、他人の意見に流され易いという短所は、他人の意見を受け入れられる柔軟性という長所であり、
 根気が無くて継続性が無いという短所は、気持ちの切り替えが早いという意味で長所と言えます。

 弱点を是正しようと考えるのではなく、その対極にある強みを活かし、磨き、長所として光らせましょう。』

 かつて学んだ芳村思風先生の感性論が、最善のアドバイスを授けてくれました。

 彼が直面している問題は、今までの人生における最大の試練です。
 しかし、これからの長い人生を見据えれば、実にちっぽけな躓きに過ぎません。
 寧ろこの経験が、一回り大きく成長するための、良ききっかけになるものと信じています。  

ポーターの戦略

 アメリカの「マイケル・ポーター」氏は、空理空論に留まらない経営戦略に定評があり、学界からも実業界からも殆ど批判されることのない稀有な存在 の1人です。
 そのポーター氏の著書「競争優位の戦略」が、日経新聞で紹介されていました。

 『ポーター氏の理論は、ポジショニング学派との呼び名にもあるように、競争の激烈でないところに陣取ることを説く内容だと思われています。
 確かに、同質的な強豪がひしめいていては、価格競争に陥り易く利益は上がりません。』

 例えば、東大洲のR56沿いは、僅か300mの間に「ササオカ」「コスモス」「レディ薬局」と三つのドラッグストアが軒を並べています。
 他店が特売した際は、そのチラシの価格に合わせていかないと、競争には勝てないでしょう。 

 4年前に起業する際、県都松山ではなく、大洲駅前店から出店した理由は、まさにそこです。
 人口は松山の50万人に対して、大洲市5万人弱と十分の一以下しかありません。
 しかし、上位の強豪大手がひしめく中に、わざわざ斬り込んでいくよりも、強豪の少ないエリアで一番店に成る方が容易であることは、深く考えずとも判ります。
 大洲で稼ぐ一万円も、松山で稼ぐ一万円も、価値は全く一緒なのですから。

 ポーター氏は、こう言います。
 「似たような戦略で真っ向からぶつかってはいけない」
 横綱「白鵬」と、土俵上でまともに戦ったならば、万に一つも勝ち目はないでしょう。
 
 後発の弱者が、先行する強者に挑む場合の基本条件が三つあります。

① 低コストか差別化の点で持続的な優位性を保つ
② それ以外の点で強者の強みを生かせないようにする
③ 強者による報復ができないようにする
 
 松山に出店する際、エイブル直営店が取り組んでいる「仲介手数料半額」の採用を真剣に検討しました。
 しかし、それを実行に移した折、強者が追随してきたら一たまりもありません。
 まさに、強者からの報復です。
 
 では我が社にとって、我が店にとって、持続的な優位性を保つことのできる差別化とは何でしょうか?
 そこを掴まずして、勝てる道理などないのです。

進化し続ける劇団

 昨日のFBで既にネタばれですが、国民的行事となった「AKB48総選挙」の裏で、密かにもう一つの戦いが火花を散らしていたのであります。

 今年の出し物を決める劇団「AUGHANCE」恒例の脚本選考会が先日行われました。
 往年の絶対的エースが初代代表の威信をかけて作品を上程したものの、新進気鋭の稲月P「コーネリアス」に敗れる(T_T)

 「潰すつもりできてください」と強烈な言葉を残してから1年、後輩たちの台頭を見届けた甲斐田(松岡)は、「私は一つの決断をしようと思いました」と一呼吸。
 
 声を震わせながらも「潰されたとかそんな話ではなくて、後輩たちの勢いのある背中を見ていたら本当にうれしくなったし、AUGHANCEに悔いはありません」。
 あふれる涙をこらえきれず夜空を仰ぐと、「後輩たちが一歩踏み出そうとしているので、私も一歩踏み出すことにします。」
 
 「私、甲斐田爽搾は、劇団AUGHANCEを・・・。」
 
 誰が麻里子様やねん・・・。
 ノリツッコミはともかくとして、実は決定前、彼の作品を読んで、次のメッセージを送っています。

 『読みました。文句無しにおもしろい♪
 設定も、展開も、緻密に練り込まれていて、個人的には前作以上に好きな作品です。
 特に秀逸な台詞は、「いいところだから地獄は、本当だ、天国みたいなとこなんだから。」
 稲盛和夫氏の本で紹介されている、仏教の教え「天国と地獄の違い」を思い出しました。 
 まさに「奪いあえば足らぬ。譲り合えば余る。」です。
 天国と地獄は状況や環境ではない。
 人の心が決めるもの・・・。
 天国と地獄との分岐点を舞台に、人間の欲の深淵を描こうとしたテーマ性が素晴らしい!
 是非、舞台化すべき作品です。』

 タイムリー過ぎて被ってしまいますが、正直悔しさはありません。
 稲月P、私が「踏み台にして欲しい」と思ったのは貴方です。
 留守の間は、私と徳ちゃんで固めるから大丈夫♪
 AUGHANCEは進化し続ける劇団です。 

上司にありがちなエラー

 分譲マンション販売時、人手が足りない時には、販売会社にアウトソーシングしていました。

 九州の某プロジェクトは、販売不振は勿論のこと、現場の掃除が行き届いてなかったり、お客様に対する説明が的を射てなかったり、クレーム頻発の問題現場です。
 その度、改善を申し入れるものの、暖簾に腕押しで何の対策も示されない状況が続いたため、現場を超えて直接販売会社に抗議の申し入れを行いました。

 後日、担当役員とされる常務と現場を任されているプロジェクトリーダーと私との、三者協議の場が設けられたのです。 
 まずは私から、これまでどういう事態が起こってきたか、それによってどういった問題が生じているかを改めて列挙します。
 それに対して、上司である常務が示した反応は・・・。

上司 : お前、今の話は本当なのか?
部下 : は、はい、申し訳ありません・・・。
上司 : バカやろーっ! 一体何をやってるんだっ!
部下 : ま、誠に申し訳ありません!

 はい、ここで問題です。
 この上司は、始まって僅か一分の段階で既に、致命的なエラーを二つ犯しています。
 果たして、その二つのエラーとは何でしょうか?

① クライアントから苦情を受けながら、早急に事実関係を確認することを怠り、その場で初めて聞いたというリアクションを取った点 
 今の今まで、現場で何が起きているのか、何故呼び出されたのかを把握できていない時点で、上司として失格

② 当然に責任を負わなければならない立場であるにも関わらず、その場で部下を罵倒し、責任を押し付けようとしている点
 部下の失態は、管理・監督・教育に責任のある上司の自らの失態として受け止め無ければならない

 その後、このトンチンカンな上司を、烈火の如く叱責したことは言うまでもありません。
 以下に模範回答も掲載しておきます。

上司 : 総ては、上司である自分の管理監督不行き届きに責任がございます。
     まことに申し訳ありません。
     今後は、私自身がプロジェクトへの関与を強め、迅速な対応を心掛ける所存です。
     こうした指摘を受けてからと、後手に回ってしまったことは言い訳の余地もございません。
     本日、再発防止及び改善のための対策をまとめて参りましたので、今一度チャンスを頂けませんでしょうか。

 真摯に反省し、責任を受け止めた上で、今後の対策を持ちかける相手を、更に責め続けられる程サディスティックな精神の方は、そう多くない筈です。
 加えてこの部下が、自分に代わって謝罪し、責任を背負ってくれた上司に、畏敬の念を抱くことは間違いありません。

営業は障害走:後編

 この当時、キャンセル率の高さが話題になりました。
 順調に申込まではいくものの、二、三日後にキャンセルの電話。
 一日で三件申込、その全てがキャンセルという事例もあります。

 私はその原因が、施工品質にあると思いこんでいました。
 床の不陸や建付けの悪さが、狭い市場の中で口コミで拡がり、風評となって聞こえてくるものだから、お客様が慎重になってキャンセルに至る・・・という推理です。
 よもや、自分自身の営業に問題があろうとは、この時は予想だにしなかったのであります。

 営業の師は、言いました。

 「お客様は購入したいという強い思いと、それを阻害するハードルとを併せ持っている。
 営業は障害走。
 どれだけ物件の良さやマイホームの夢を語って洗脳しても、ハードルを越えなければゴールには至らない。
 ハードルを残してゴールしたつもりでも、そのハードルは必ず再び立ちはだかる。」
 
 例えばそこに、「親との相談」というハードルがあるとしましょう。
 未熟な営業マンは、目の前の見込み客を失いたくないものだから、そのネガティブな話題をスルーします。
 マイホームの夢が大きく膨らみ、ついに申込。
 ところが、家に帰って自己資金の援助の話を親に相談したら・・・。

 少し考えれば、ハードル越えの必然性は理解できます。
 では、具体的な対策としてはどうすれば良いのでしょうか。

 【 積極的に藪(やぶ)を突く 】
 「親御さんは賛成されていますか?」
 「支払い面での不安はないですか?」
 「一戸建ての希望は捨てられますか?」
 
 モチベーションを下げないために、極力避けようとしてきた話題を、これでもかこれでもかとぶつけて、一つずつハードルを越えていきます。
 仮に、援助を見込んでいる親の反対が予想されるのであれば、逃げるのではなくその場に来て貰い、営業マンと本人の二馬力で説得に当たるのです。
 
 それは、申込後でも構いません。
 いや寧ろ、申込後の方が売り込み色が薄まり、営業マンとの距離が近付くため、本音が引き出し易くなります。
 
 土俵際まで追い込んで、勝ったと思って気を緩めたら負け。
 相手が土俵を割るまで、しっかりと駄目押ししてこそデキル営業マンです。   了

営業は障害走:前編

 自己流のやり方で、営業とも言えない営業をしていた頃の、振り返るのも恥ずかしいエピソードです。
 当時は、分譲マンション事業部を立ち上げて間も無く、営業マンは部長の私と、他事業から異動してきた部下の二人だけでした。

 内覧会に来場されたお客様の接客に、経験の浅い部下の営業マンが当たります。
 購入意欲も高く、そこそこ話は盛り上がるのですが詰めが甘く、「家族と話し合って検討してみます。」という台詞を残して帰る背中を、笑顔で見送らんとする部下。

 すぐさまお声がけをして引き留めました。
 お客様の言葉を真に受けてはいけません。
 この業界で、「検討します」は「買わない」とほぼ同義語です。

「物件は気に入って頂いたようですね。
 ただ御検討中に、折角気に入ったお部屋が埋まってしまう可能性もあります。
 お申込み頂ければ、一週間は部屋押さえができます。
 無くなるかもしれないという不確かな状況よりも、お部屋押さえしてからじっくり検討された方が良いでしょう。
 勿論、お申込み時点では、一円のお金も必要ありません。
 取りあえず、お申込みされませんか?」

 当然のことながら、この「魔法のトーク」によって申込に至ります。
 お客様がお帰りに成った後、部下は羨望の眼差しで呟くのです。

 「いやあ部長、流石ですね。勉強になりました。」

 上司の威厳を見せつけることのできた私は、部下からの甘言にも胸を張ります。
 ここまで来ますと喜劇以外の何ものでもありません。
 これを、新三大タブー営業の一つ、「とりあえず申込」とさせて頂きます。
 
 悲しいかな未熟な私はこの時、これがダルビッシュのシンカーの如く、はたまた本田圭佑の無回転シュートの如く、最上級のクロージングトークであると、大いなる勘違いをしていたのです。  つづく

ゴール知らずのマラソン

 前回、営業はヒアリングが大事という話をしました。
 そう、お客様のお話しに、しっかりと耳を傾けるのが営業です。
 かつて、営業の師は言いました。

 「お客様を見たら嘘吐きと思え!」

 あらあら、Big smileを経営の根幹に位置付ける企業としては、ちょっと聞き捨てならない言葉ですね。
 くれぐれもこれは、判り易く伝えるための方便ですから誤解の無いように。
 換言するならば、「お客様の言葉を真に受けるな!」という意味です。

 まずお客様と対峙した時点で、いの一番に確認すべきことは「動機」。
 これを外してしまうと、例え二時間、三時間商談しても、何十件案内しても決まりません。
 しかし、現場においては意外とこの「動機」を二の次にして話を進め、引っ張った挙句他決してしまったりします。

営業マン : いらっしゃいませ。 お部屋探しですか?
お客様  : はい、予算6万円までの一戸建貸家はないでしょうか?

 ここから、物件出し→案内へと展開するのは愚の骨頂です。
 お引越しの「動機」は何ですか?

 ご結婚する、転勤に成る、子供の就学により机を買うと手狭に成る、親を引き取る・・・。

 一戸建を希望される方の中には、「ペットを飼いたいから」というニーズを持ち、「一戸建ならペットが飼える」と誤解しているケースもあります。
 手間暇かけていざ契約という段階で、ペットの問題が浮上して没となってしまうこともあるでしょう。
 
 今は軽量鉄骨アパートの2階に住まわれていて、お子様が活発なため、下階の方と音のトラブルに成っているのかもしれません。
 その動機さえ判っていれば、一戸建だけでなく、下階に住戸の無いピロティタイプのマンションも選択肢の一つに成ります。

 動機を掴まずして進める商談は、ゴールを知らずにスタートを切るマラソンのようなものです。

スペックを語るな!

 営業という仕事に携わって四半世紀が過ぎました。
 長く年季を積んでも、真髄を掴んだつもりでも、なかなか極めることは叶わず、本当に奥が深いものです。
 これまで数々の失敗を通じて学んできたことを、少しお話ししようと思います。

 まず、一番大事なことは何かというと、傾聴(ヒアリング)です。
 初心者は、ともすれば「上手く説明すること」が営業と錯覚しています。

① 「システムキッチンは、シンクが広々としているので便利です。」
② 「収納が大変充実しているので、荷物が多くても問題ありません。」
③ 「オートロックが完備しており、セキュリティ面でとても安心です。」

 かつて、営業の師に教えられました。
 
 「スペックを語るな!」
 
 勿論、スペック(性能)を知らなくても良いということではありません。
 「聞かれてもいないのに説明するな!」という意味です。

① 殆ど自炊しない外食派の方にとって、広々シンクは何のメリットも無い
② 荷物の少ない身軽な単身者にとって、収納の充実は意味がない
③ 留守がちで屈強な単身男性であれば、オートロックを必要とはしない

 今時、お客様もしっかり勉強されているので、物件資料やネット情報を見れば、スペックは理解しています。
 敢えて説明するならば、そのスペックによってもたらされるベネフィット(便益)を、引越し後の生活シーンに代えて伝えるべきです。

① 将来的にお二人で住む(同棲・結婚)ことになっても、このシンクなら中華鍋も楽々洗えちゃいます。
② 今は荷物が少なくても、生活する内に必ず増えてくるものですから、備えあれば憂いなしです。
③ オートロックがあれば、強引な訪問販売も断り易いので、休日もゆっくり休めますよ。 
 
 但し、第一印象でピンと来ていない物件の情報など、どれだけ饒舌に伝えられたとしても無用の長物です。
 合コンで、ストライクゾーンから遥か遠くに外れた異性が隣に座り、趣味だの経歴だのペラペラ喋られた時のうんざりした感覚をイメージしてみて下さい。

 「物件の良さはしっかりと説明できたんですが、もう一つ興味を示されなくて・・・。」

 厳しい言い方をすればそれは、物件そのものが気に入ってないか、営業の貴方を気に気に入ってないか、その両方です。
 気に入った物件であれば、こちらから説明しなくても、お客様の方からスペックを聞いてきます。 
 それが、「営業上手は聞き上手」と言われる所以です。

ランチの百倍の報酬

 エイブルは賃貸仲介のブランドですが、当然に売買の御用命も承ります。
 縁あってこの度、数億円の物件の売買仲介に関わることになりました。
 最終的に成就するかどうかはともかくとして、買付申込まで進んでいます。

 この業界のタブーとして語り継がれるのは、「契約前に算盤を弾くな!」という言葉。
 オカルトながら、契約前に貰える見込みの手数料計算をすると没になってしまうという意味です。

 確かにそうした経験も多々あります。
 しかし、そもそも論で言えば、沢山の情報を集めたとしても、成約までこぎ着ける確率自体がかなり稀少。
 即ち、算盤を弾こうが弾くまいが、その殆どが没なのです。

 数億円の取引が成就した際、手にすることのできる報酬は1000万円を超えます。
 そこだけにフォーカスすれば、「濡れ手で粟の良い商売」と思われるかもしれません。
 我々の仕事はあくまでも成功報酬ですから、最終最後まで見届けられなければ、それまでの努力や苦労は総て骨折り損のくたびれ儲けです。
 一件の成約の足元には、何十、何百という没の山が築かれています。

 方や、賃貸仲介の手数料単価は数万円です。
 先述の売買に比べれば、少額であることは間違いありません。
 但し、成約数と来店数で割り出す平均成約率は50%を超えています。
 来店されたお客様の二人に一人は成約して頂ける計算です。

 決まるか否かが不透明で、今年あっても来年は見込めない、文字通り水ものの売買仲介に比べれば、賃貸仲介の業績は安定しており、経営的にも計算できます。

 何より忘れては成らないのは、少額とは言いながら、一般の方が支払う金額としては高額な報酬だということ。
 素晴らしい笑顔とパーソナルなおもてなしで、数百円のランチを提供される店は幾らもあります。
 我々は、その百倍もの報酬を頂いているのです。

 金額の多寡に関わらず、一人ひとりのお客様から頂く報酬の有難味を、決して忘れてはいけません。

感性の琴線を奏でる

 「千の風になって」で一世を風靡した、日本を代表するテノール歌手「秋川雅史」さん(愛媛県西条市出身)が、あるTV番組で次の様なお話しをされていました。

 「プロ歌手の方の中には、詩の世界に入り込み、しっかり感情を込めて歌う方が少なくありません。
 私は全く逆で、ひとつひとつの言葉を丁寧にメロディに当てはめることだけを考えます。
 できるだけ感情を出さない様にして、心を無にするのです。
 その方が、寧ろ伝わり易い。
 歌に託す感情は一つだけですが、聴き手の感じ方は十人十色、千差万別です。
 歌い手がどう感じるかよりも、聴く人がどう感じるかに委ねることが大事だと思います。」

 伝える側のマスターベーション・・・自己満足の押し売りではいけないという教えです。
 
 私は、ヴォーカリストとしての「やしきたかじん」さんを崇拝しています。
 アルバムも持っていますし、カラオケでも好んでよく歌います。
 但し、ライブで気持ちが高揚してくると感情移入が激しくなり、メロディーもリズムも全く無視してしまうため、時にまったく別の歌のようです。

 すると、本人の熱唱振りに反比例して、こちらの気持ちが冷めていく感覚がありました。
 そんな受け止め方をする自分がひねくれているのかと、ずっと疑問に思っていましたが、先述の秋川さんのお話は腑に落ちます。
 この理屈は、セミナーの講師にも、演劇のアクターにも、営業マンにも共通でしょう。

 営業マンがお客様の感情を鑑みず独りよがりな提案を押し付けるのも、セミナーの講師が紹介する話に没入して涙声になってしまうのも愚の骨頂です。
 私自身も涙腺が弱い方なので、感動的な話材を取り扱う際は、平常心で紹介できるまで、通勤の車中で繰り返し繰り返しリピートしていました。

 昭和の歌姫「美空ひばり」さんは、それこそ別格です。
 生前「悲しい酒」をTVで歌った時のこと。
 感動の涙が瞳から溢れ、ボロボロこぼれて頬を伝って落ちているにも関わらず、歌声は凛として響き渡り、少しもぶれまないのです。
 鳥肌が立つほどの凄味は、今でも鮮明に覚えています。

 この仕事を生業として、対価を頂くプロであるならば押し売りではなく、お客様の内なる感性の琴線を奏(かな)で震わせたいものです。

死亡率100%の病

 入院中の同級生のお見舞いに行ってきました。
 脳内出血で身体の自由が効かなくなり、病院搬送後、緊急手術となった様子です。

 処置が早かったことが幸いして快方に向かっており、見た目、特に後遺症らしきものは見当たりません。
 但し、人の名前や数字が思い出し難い等、若干の影響はあるようです。

 彼は、学校を抜けてから一旦家業を継ぎましたが、不透明な先行きから早々に見切りをつけ、新しい事業にチャレンジ。
 技術を習得し、設備に投資し、人材を採用し、販路を開拓し、業用を拡大していきます。

 趣味や遊びにうつつを抜かすこともなく、毎日毎日が仕事漬けの日々でした。
 真面目一方な性格が故、抱え込むストレスも大きかったのかもしれません。
 仕事人間にとって、ベッドで安静にすることは思いの外苦痛のようです。  
 
 『こんな状態で、仕事に復帰できるだとろうか?』
 『復帰できたとしても、仕事が無くなっていたらどうしよう?』

 心許す同級生だからか、本音の弱音も聞こえます。
 
 「身体の状態は、これから良くなっていくのだから心配することはない。」
 「今は仕事のことを忘れて、身体を直すことに集中すれば良い。」
 「今まで寝食忘れて仕事に取り組んできたから、神様が静養の時間を与えてくれたんだ。」
 「大病であったかもしれないけれど、早目の発見で助かったのは運があったからこそ。」

 前向きに重ねたメッセージは、幾許かなりとも彼の心に届いたでしょうか。
 と同時に、自省・自戒として自らの言葉を噛み締める自分が居ました。
 
 「健康だからそんなポジティヴな台詞を言えるんじゃないのか?」
 「彼の立場に成ったとして、本当にそう思えるのか?」
 「お前は、いつそうなっても後悔の無い人生を歩んでいるか?」

 人は皆、この世に命を受けた瞬間から、例外なく不治の病に冒されます。
 死亡率100%、絶対に完治することはありません。
 その病名は「生」・・・「生きる」ということは、必ずいつか「死ぬ」ということなのです。

 であるにも関わらず、永遠に生きるかの様な錯覚をして、今日やるべきことを「明日やろう」と先送りしながら生きています。
 明日など訪れないかもしれないのに・・・。

 『明日死ぬかの様に生きなさい。
 永遠に生きるかの様に学びなさい。』

 ガンジーの言葉が、胸の奥で木霊(こだま)しています。

禍転じて福と為す:後編

 それでも、就職という目標に照準を定め、稚拙ながらも一所懸命努力しているという点は評価します。
 一方、先述の彼は、着飾った言葉でその場を取り繕うことを潔(いさぎよ)しとしない不器用な性格であったようです。

 ある意味、誠実で正直なのかもしれませんが、語らずして、僅かな時間でその内面まで判って貰おうとするのには無理があります。
 結果、周囲の友達が次々と内定していく中、流れに乗ることができなかった訳です。

 人は、食欲・睡眠・性欲といった生きんがための欲求とは別に、「認めて貰いたい」という欲求が備わっています。
 それが、他の動物と人間との違いです。

 就職できない焦りの中では、その欲求が満たされず、「自分は世の中から必要とされていないのではないか?」という疑心暗鬼との葛藤があります。

 何度もご紹介していますが、私は、中学しか出ていません。
 折角進んだ高校を二週間で中退し、半年ほど親元でパラサイトしています。

 何とか弟子として受け入れて貰った大工も務まらず挫折し、その後親戚の石屋に身を寄せ十年近く働いたものの、それでも半人前の未熟な職人崩れでした。
 落ちこぼれの中の落ちこぼれ・・・まさしくそれが28歳までの自分の姿です。

 それに比べれば・・・いやいや、こんな出来損ない人間を引き合いに出すまでもなく、スタート時点で僅か2~3年出遅れたからといって、大したビハインドではありません。

 寧ろ長いスパンで考えれば、挫折を味わった貴方は、他人の痛みが判るという意味において、アドバンテージを得たとも言えるでしょう。

 人生のレースは、まだ始まったばかり。
 先行するウサギの背中は、ハッキリ見えています。   了

禍転じて福と為す:前編

 先日、某大手人材派遣会社から、「新卒者就職応援プロジェクト」の人材紹介を受けました。
 ここ数年続く「就職氷河期」によってあぶれた、いわゆる「就職浪人」の方々の救済策として、長期間の「インターンシップ」(職場実習)を実施する取り組みです。

 面談した方は、裏表の無い、実直で前向きな方です。
 良い大学に入学し、それなりに充実したキャンパスライフだったことでしょう。
 
 順風満帆な人生に、躓(つまづ)きが生じたのは就活でした。
 エントリーしてもエントリーしても書類選考で弾かれ、やっと面接に進んでも思う結果が出せません。
 
 自分は前職時代も含めて、少なくとも1,000人を超える学生を面接しました。
 殆どの学生が事前に、しっかりと面接対策に取り組み、完全防備で臨みます。
 例えば、不動産営業を目指す文系学生に、志望動機を訊ねると、判で押した様にこう答えるのです。
 
 「自分は、子供の頃から建物に興味がありました。
 新聞を読む時、マンションや住宅のチラシが入っていると、その間取図についつい見入ってしまうのです。」

 短いコメントですが、「私にとって不動産は天職なのです」という主張と共に、「新聞も読んでいるのですよ」というさりげないアピールが含まれています。
 
 我々も、それが一夜漬けの付け焼刃であることに気付いていない訳ではありません。
 「例えばどんなメーカーの?」とか、「理想の間取について貴方の想いを聞かせて下さい」とか、二の矢を放てば、すぐにボロは出ます。

 「他にはどんな会社にエントリーしてますか?」という質問に対し、自動車メーカーとか地場大手スーパーとかの異業種を答える方もいらしゃいました。
 「あれ、不動産が好きなんですよね?」と、少し意地悪に突っ込みますと、
 「え・・・、ああ、その、自分は、人と接することが好きなので、そういう意味では共通の・・・。」と慌てて弁明。

 流石に、「それなら何処でも良かったんじゃない?」と身も蓋も無い言葉だけは呑み込みます。 つづく
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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