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偽りのWIN-WIN

 先日、経営の羅針盤となる事象がありました。
 自省と自戒の念を込めてお話ししましょう。

 管理させて貰っている、とある物件は一年以上空いています。
 我社にとって、どうしても必要という訳ではありませんが、社内協議し「半額程度であれば」の条件付で借り受けることにしました。
 「ずっと空いているよりは、安価でも埋めた方が、オーナー様も収入が増えて喜ぶだろう」という判断です。
 
 ところが、話しを外で聞いていたのではないかと思われる絶妙のタイミングで、某業者が訪ねてきます。
 その物件を借りたい会社がある、というのです。
 ずっと空いていたのに・・・たまたま重なって・・・、しかも我社の借受予定金額の4倍で・・・。

 さて、正直に申し上げますと、至って愚かな、極めて不誠実な発想が過ぎりました。

 「一年以上空いていたのだから、我社が借りるといえば、安価でもオーナー様は貸してくれるだろう。
  オーナー様は遠隔地の方で、我社との信頼関係も厚く、物件の采配は総て委ねられている。
  我社が借りた上で、サブリースすることも認めてくれるに違いない。
  オーナー様も収入が増え、借主も希望が叶えられ、我社もサブリースで利ザヤが入る。
  これは誰も損をしない、WIN-WIN-WINのジャッジだ。」

 この流れだけ読むと「単に正当化するためのこじつけじゃないの?」と思われるかもしれません。 
 少々ややこしい物件ですので、ここまで単純な話しではありませんが、大意は合っています。
 さて、自分のプロフィールにある「尊敬する人物」三人の中で最もマイナー(失礼)な方に、行きがかり上この件を相談しますと、次の答えが返ってきました。

 「ビジネスは誠実でなくてはならん。正直にオーナー様に事情を説明した上で、お願いすべき点はお願いした方が良い。」

 その意を汲んでオーナー様に連絡を取り、正直に事情をお話しし、重ねてお願いをします。

 「判りました。総てお任せします。もし仮に、その話しが頓挫したとしても、安価で良いので松岡さんのところで使って貰えれば幸いです。」

 いつも思うことですが、崇高な経営理念を掲げ、正邪善悪は理解できていたとしても、目の前に利益がぶら下がりますと、欲するが故についつい視界が曇り、捻じ曲げてでも正当化しようとするのが、私も含めた凡人の心理です。

 しかし、仮にこの時、偽りのWIN-WINのジャッジを下していたとしたらどうでしょう。
 オーナー様の柔和な笑顔を見る度、後ろめたい思いが消えることはない筈です。
 また、どこかで情報が知れて、不誠実の烙印を押されれば、全幅の信頼関係も一瞬にして消し飛びます。

 利益は、そこからの努力によって幾らでも挽回できますが、失った信用は二度と取り戻せません。
 目先の利益を捨ててでも貫くのが理念であり、結果的にその理念を追求することが、企業を永続させる秘訣なのです。

 付け足しですが、「尊敬する人物」三人の中で最もマイナー(当然)な方は、決して聖人君子ではありません。
 
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効率追求のしっぺ返し

 最近、不動産業が、つくづく未成熟な産業であることを痛感させられます。
 大金を動かす口利きビジネスであることも、一つの要因でしょう。
 大きな取引になりますと、資格を持たない非正規業者が、利権に群がってきます。
 歴史的に振り返れば、反社会勢力との結び付きも色濃くありました。

 業界が成熟しきれないもう一つの理由は、皮肉にも手離れの良さにあります。
 売却の意思と購入の意思とを、調整してマッチングさせるのが仲介業の仕事です。
 土地取引ならば、売買が成立した段階で仕事は終わります。

 一方、住宅メーカーやビルダーの場合、そこからがスタートです。
 ご主人の仕事が終わった後、夜ご自宅に訪問し、施主のニーズを聞き取り、その土地に適したプランを提案します。
 様々な駄目だしが入り、何枚も図面を書き換えるのが常です。
 やっとプランが確定しても、予算オーバーで融資が難航するケースもあるでしょう。
 着工後の変更も、決して珍しくありません。
 モデルハウス来場から竣工引き渡しまで、短くて数カ月、長ければ1年超を要します。
 引渡後、徐々にフェードアウトするものの、クレームや定期点検やアフターメンテナンスといった形で、建物が存在する限り関わりは途絶えません。

 だからこそ、お客様と共に作り上げていく達成感や充実感がありますし、CS(お客様満足)意識も自然と備わってきます。
 時間的・精神的にハードであっても、住宅産業にやり甲斐や生き甲斐を見出し、魅せられている人種は少なくありません。

 販管費を差し引いた営業利益ベースで比較すると、2000万円の土地仲介と住宅建築の手残りは然程変わりませんが、手間暇は段違いです。
 賃貸仲介でも、契約書作製はおろか案内すら引き受けてくれるメーカー物件は手離れ良く、高額の手数料を取得できます。
 しかし、ストック収入の源泉である、管理取得に結び付く可能性は皆無です。

 誤解を恐れずに業界を断罪するならば、「売ったら終わり」の効率の良さを理想として追求してきたが故に、ビジネスの背骨とも言える、お客様満足から遠ざかってしまったとも言えます。
 「景気が悪い」「市況が悪い」「政治が悪い」と、他人事の様に評論する前に、お客様をお客様とも思わない意識や、アフターフォローなど毛頭する気のない淡白な姿勢を改めるべきです。
 過去、お客様満足最優先に取り組んできた会社(担当者)は、この不況下でも紹介・リピートで大忙しであるという現実を、しっかりと直視すべきでしょう。      

時を告げるのではなく時計を作る

 この秋、3店目となる新店OPENを予定しています。
 目下、店長就任を予定している太○さんによって、着々と準備中です。

 大洲駅前店と松山南店は、人員の関係で、殆どの前準備を自分が執り行っていました。
 今回は、概略のイメージを伝えただけで引き継ぎ、以降太田店長一人で手配して貰っています。
 許認可の関係で、看板こそ上がっていませんが、店舗内のレイアウトは殆ど完了済みです。
 御世辞ではなく、コストもクオリティも、自分が思う以上の仕上がりでした。

 「人材を育てる最大の方法は任せることである」

 任せるに相応しい人材を信頼して任せる、重要性を痛感します。
 組織内において、自らの存在感や自己重要感を際立たせる効果的な方法は、教えない・渡さない・任せないことです。 
 汗をかきながら率先垂範するその人の姿は一見、実直にも映り、頼もしくも思えます。 
 「求められている」「自分がいなければならない」という、居心地の良いポジションに安住したくなる、保身の心理も判らなくはありません。

 しかし、それを良しとすれば会社は永遠に、属人性に依存する状態が続くでしょう。
 代替の効かない社員の退職や、万が一の事故に伴い、空いた穴が埋められなくなる状況は、紛れも無くリスクです。
 個人商店ならともかく、それなりの組織であるならば、マニュアル・システム・教育・訓練によって人材のスキルアップを図り、高いレベルでの均一化を目指す必要があります。
 
 「時を告げるのではなく時計を作る」 ビジョナリー・カンパニーより

 この言葉は、急成長企業であった前職での、一貫したスローガンです。
 太古の昔、時を告げることのできる特殊な能力を持った長老が存在していた。
 人々は、その長老が「6:00だ起きろ!」と言えば起床し、「12:00だメシにしよう」と言えば昼食を摂り、「21:00寝る時間だ」と言えば就寝します。
 重宝する一方で、長老が亡くなってしまうと誰も時を知ることができず、秩序が乱れてしまうでしょう。
 時計さえ作れれば、特殊な能力や、特定の人物に依存することはありません。

 誤解を恐れずに言うならば、現場最前線の方は、時を告げるべきです。
 人間国宝の指定を受ける職人や、「あなたが居るからこそ契約した」という賞賛をお客様から頂く営業マンなどはその典型でしょう。
 
 前線で仕事をする上では自らの存在感を目一杯高めていき、職責が上がるにつれ、自分が居なくても運営が可能となるように、マニュアル化やエンパワーメント(権限委譲)に注力して、自らの存在感を薄めていくことが役職者の義務と言えます。
 そこをかけ違うと、組織の成長・発展は望めません。 
 

  

業界での人脈の構築

 ○伯店長と共に、宅建協会松山支部主催の親睦会(ビアガーデン)に参加して参りました。

 同じテーブルは、日頃よりお世話になっている「ハウジング夢○」チーム。
 濱○さんの話によれば、8月はてんてこ舞いの大忙しだったそうです。
 「個人的に何件決めたの?」と振ったら、ああだのこうだのブツブツつぶやきながら、指折り数え始めます。
 自ら振っておいて言うのもなんですが、4本目の指が折れた頃から、どうでも良くなっていました。

 そうこうしている内に、朝生田の最終兵器、コヴァンゲリオン来襲!
 既に、出来上がっています。

 松岡「○林社長のところの社員は、何名いらっしゃるんですか?」
 ○林「ぁあ? 知らんのよ。そんな細かいことには、こだわってないけんッ!」
 松岡「・・・。」
 
 松岡「○林社長のところは、自社物件を何棟持たれてらっしゃるんですか?」
 ○林「ぁあ? 知らんのよ。そんな細かいことには、こだわってないけんッ!」
 松岡「・・・。」

 ○林「それよりも、こんな松山みたいな小さい市場で、せせり合っておってもいかんじゃろ!」
 松岡「はあ。」
 ○林「これからは、世界に目を向けなあかん!」
 松岡「世界というと、どちらの国ですか?」
 ○林「どこでもええんよ!要は世界よ!」
   
 今月の取引件数が多過ぎて、瞬時には判断できず、指折り数え直す営業マン。
 社員数も自社物件の数も枝葉末節と言い切った上で、どこの国かはともかくとして世界を目指される社長。
 「管理を○○戸増やすぞ!」とか「今月の目標達成まで○万円!」とか、小事に捉われている自分が小さく見えます。

 ワン○リアルネットの姉○社長、一○興産の高○店長、ア○ト不動産の吉田社長(「ご結婚おめでとうございます。」)、ス○イル宅建の石○社長、杉○宅の細○支店長・・・

 様々な方と親睦を深めていき、気が付くと前職の同志ばかりが集まっていました。
 散り散りに成った同志が、海千山千のうごめくこの業界で、流石と言わしめることを祈念しながら、ほろ酔いの夜は更けていったのです。

8年分の賞讃と9年目の謝辞

 前職時代の部下と、一年半ぶりに再会し、会食しました。
 人材開発の担当役員を務めていた時期に、片腕として活躍頂いた女性です。

 当時は、春先に行われる新入社員研修や、二カ月に一度定期開催されるキャリア(中途入社)社員研修の全般をこの女性が担当し、自分はマインドアップセミナーの講師として2日間を受け持っていました。
 社内外の幹部を対象としたリーダー養成スクールも、二人三脚でプログラムを組み立てたものです。
 私塾として開講していた、インストラクター養成講座の受講生でもありました。

 講師「松岡秀夫」の講義を、最も多く聞いたのは、間違いなく彼女でしょう。
 過去に何十回と聞いたカリキュラムであるにも関わらず、話に聞き入ってしまい、BGMや効果音を流すタイミングを逸してしまう、超天然なアシスタントでもありました。
 
 私に似て、上司にへつらわず言い難いこともハッキリと口にできる点や、融通の効かない性格が故に、周囲と軋轢を生むことも少なくありません。
 しかし、確固たる自己イメージと、歯応えのある芯の強さを併せ持つ人材は、意外に少ないものです。
 任せるに相応しい能力と、可能性の余力を残した意欲に、私自身、大いに助けられました。
 
 そうやって内心評価しながらも、改めて振り返ってみると、在職中に彼女を褒めた記憶がありません。
 失念しているだけかもしれませんが、何れにしても心ない上司です。
 それでもこうして、一年超のブランクを経て会食できるのですから、自分は本当に恵まれた人間なのだと実感します。
 
 未だ危機が去ったとは言えない状況でしょうけれど、ポリシーを守りつつ、復興に貢献して下さい。
 8年分の賞讃と、9年目の謝辞です。 
 楽しい時間をありがとう。
  
 

収穫へのストーリー

 日経新聞一面に、「ニッポンの農力」という特集記事が掲載されています。
 近未来、世界的な食糧危機到来の観測が強まる中、食料自給率40%の我が国は今、農業の復興を真剣に考えなければなりません。
 
 内子町は葡萄狩りや梨狩りといった観光農園が数多く点在しており、今が収穫の時期です。
 「山に成っている葡萄を収穫して、箱詰めすれば1㎏1,000円で売れる」と、そこだけ見れば良い商売に見えるでしょう。
 
 葡萄の実を守るための「袋かけ」、房を調整するための「花摘み」といった作業は、朝から晩まで上を向いて作業を行うため、腕はだるく、首は痛くなります。
 開園後の駐車場整理は、炎天下で車の移動を行うため、汗の引く間も、休む間もありません。
 山一帯の雑草の駆除も、気の遠くなる様な作業です。
 春先、遅霜が予想される時には、徹夜でタイヤを焼いて、人工的に煙の屋根を作ります。
 梅雨から夏にかけて降雨量が少なければ、広大な敷地に、朝な夕な散水しなければなりません。
 そこまで入念に下準備をしても、収穫期の直前で台風に見舞われて、一年の努力が水泡と化すこともあります。

 農業の長閑(のどか)な部分と、収穫時の笑顔だけにフォーカスし、「組織や規律に縛られることなく、自然の中で大らかに過ごしたい」といった安直な理由で、農業に飛び込もうとする若者がいますが、殆どは現実の厳しさを知りません。
 
 さて、第三期の初月もラスト一週間となりました。
 今期から三つの店舗と一つの本部に分け、それぞれの長に予算を組んで貰っていますが、4拠点中3拠点は、ほぼ達成見込みです。
 残る一拠点も、最後の一日まで、決して諦めることなく収穫に務めて下さい。  

 例え今、収穫が無くても、来月以降に挽回の種が蒔かれていれば良いでしょう。
 また、今収穫に恵まれていても、将来のための種蒔きを怠れば、ツケを払う時がきます。

 棚作り、種蒔き、雑草取り、花摘み、袋かけ、肥料散布、水撒き・・・こうした一連の作業は、収穫という明確なゴールに照準を当てた上で、逆算に基づき進められるものです。
 何よりも、そうした地道な作業を経ずして、収穫の達成感は味わえません。

 「営業は相手がいることなので、計算通りにはいかない」という言い訳もあるでしょう。 
 しかし農業こそ、計算できない大自然が相手です。
 長雨、空梅雨、台風、遅霜といった、イレギュラーな障害に対する準備や対策を入念に行った上で、収穫を確実なものにしています。
 収穫へ向けたストーリーがしっかりと組み立てられる人は、下準備やリスク管理すら楽しむことができます。
 
 
 
 
 

晩夏の感傷的な情景

 今年もまた「さーくらーふーぶーきのー、サーラーイーのそーらへー♪」という音楽が耳につき、黄色いTシャツが目につく季節が巡ってきました。
 条件反射的に、「暑かった夏も終わりだなぁー」と、感傷的な気持ちになるのは、私だけではないでしょう。

 今日は、8月最後の休日ということで、リクエストにお応えして、長男と二人で松山へ。
 昔は無邪気に、「トイザラスへ連れて行って」と甘えていた奴が、今や「アプライド(パソコン中古販売店)へ連れて行け」です。
 仕事中、マンションに立ち寄った際、「おとーさーん!」と手を振りながら、笑顔で駆け寄ってきていた奴が、先日参加したYOSAKOI祭りの移動中では、すれ違いざま「ご苦労さん」と声をかけても、ろくろく返事すらしません。

 10:00過ぎに到着したものの、アプライドの開店時間は10:30。
 待ち時間、目の前にある会社で、暇をつぶします。
 キッズコーナーにある、おもちゃや怪傑ゾロリの本は、殆どが彼の幼少期のものです。 

 高校三年の彼は、地元松〇大学の経営学部を目指すと言っています。
 「その学部には、前職で共に役員を務めていた教授がいる」というネタをきっかけとして、久々に仕事観や人生観について話し込みました。
 
 やはり久々となる二人の昼食は、ロープウェイ街の洒落た蕎麦屋です。
 彼はいつも、「天せいろ」の蕎麦をきれいに平らげてから、徐にメインの海老天を食べます。
 次男が言っていました。「兄ちゃんの好物はすぐに判る。」
 
 こうして、二人で出かける機会も、きっとそう多くは残されていません。
 少しだけやわらかく感じられる晩夏の日差しを受けながら、「暑かった夏も終わりだなぁー」と、感傷的な気持ちなるのは、私だけではないでしょう。


 

綺麗事としての理念

 先日、宇和島まで足を延ばし、同じエイブルの看板を上げる豊○社長を訪ねました。
 店舗の前にある県内最大級の道の駅「きさいや広場」の、潮風吹き抜ける屋外オープンスペースで経営談議です。
 酒も飲まず、アイスコーヒー一杯で、三時間半に渡って仕事の話ばかりできる方は、そうはいらっしゃらないでしょう。
 その情熱・熱意に圧倒されました。

 「煎じつめると経営は理念。我が社はシンプルに誠実を掲げている。迷いが生じた時の道標として、いかなる局面でも誠実さを貫いていきたい。」
 豊○社長は、熱く語られていました。 自分も大いに共感します。
 但し、企業人としての誠実さは、澄み切った澱(よど)みない心だけでは貫けません。
 いざという時に泥を嘗める覚悟や、誘惑に動じないだけの強さが求められます。

 クロネコヤマト創業者である小倉昌男氏は1979年、大口クライアントであった三越の、理不尽な値下げ交渉や映画チケットの押しつけ販売に耐えかね、取引停止を通告しました。

 イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏も創業期、売上の大半を占める卸先から突きつけられる無理難題による、社員の心の荒みを憂い、取引の打ち切りを決断しています。
 
 前述した二社の強みは、リスクを恐れない、不退転の覚悟と勇気でしょう。
 前職の会社も、誠実さを第一義に掲げた会社です。
 急成長の勢いも歪みも、その中枢で目の当たりにしてきました。
 経営上の判断において、白黒ハッキリ色分けされるものは寧ろ少数派です。
 黒に近いグレー、白に近いグレーを理念に照らし、白か黒か、何れかに判断しなければなりません。
 光の当て方や角度によって白に見えたり、黒に見えたりするものもあります。
 
 また、理念に問えば明らかに黒なのだけれど、黒を黒と認めてしまうと、余りにも経済的な損失が大きく、企業の存亡に関わる・・・そんな難しい問題が浮上するのも現実です。
 「決して白ではないが、これを黒とすれば組織は崩壊する。狭義としての誠実さには片目を瞑ってでも、ここだけ凌いで持ち堪えれば、広義としての誠実さを全うできる」という、理論の正当化とすり替えが繰り返されていく内に、やがて理念が腐っていきます。

 綺麗事でなければならないのが理念であり、綺麗事だけでは貫けないのもまた理念なのです。
  

信頼残高~七つの習慣より~

 企業は人なり・・・会社を預かり経営する中で、つくづく痛感させられます。
 看板や、社屋や、資本金といった、目に見えるものは、会社のごく一部を示しているに過ぎません。
 言うまでも無く、オーナー様に接するのも、入居者様に接するのも、一人ひとりの社員です。

 例え社員百人の会社であっても、一人と接触しただけで、その一人の印象から「あの会社は駄目だ」「あの会社は素晴らしい」という、「木を見て森を見ず」の判断を余儀なくされるのが常でしょう。
 
 初回接客した直後、パーソナルな内容で御礼状が届けば、「社員教育の行き届いた良い会社」と見ます。
 ぞんざいな態度や物言いであれば、「この会社には二度と行かない」と負のレッテルを貼られてしまうのです。
 その一人のお客様から波及する、口コミや紹介やリピートといった影響まで含めますと、プラスとマイナスの差は乗算的に拡大します。
 
・前職時代のお客様から、身内の不動産売却の相談が寄せられる(佐伯店長)
・かつての部下から、お部屋探しの連絡を受けお申込みを頂く(太田店長)
・営業せずして、オーナー様の方から管理変更を持ちかけられる(滝井店長)

 これらは、会社の信用力やブランド力に依存しない、パーソナリティー(個人力)が引き寄せた成果です。
 スティーブン・R・コヴィーは、著書「七つの習慣」の中で、「信頼残高」と形容しています。
 お金は、貯金通帳に残高が明記されますが、信頼残高は目に見えません。
 個人としての資産に恵まれなくても、信頼残高さえ蓄えていれば、人脈が支えてくれます。
 反面、幾ら資産を有していたとしても、信頼残高がゼロならば、その資産は目減りしていく一方でしょう。
 
 信頼残高は、一人ひとりが、自らの努力で積み上げていくべきものです。
 そして、宝くじやギャンブルの如く、一朝一夕に手にすることはできません。
 出会いに感謝し、お役立ちの精神によって縁をつないでいこうとする努力が、信頼残高を増やすための唯一の方法です。
 あなた自身の信頼残高は、プラスですか?マイナスですか?

栄光に近道なし

 阪急ブレーブス(現:オリックス・ブルーウェーブ)不動のエースとして通算284勝、WBC「侍ジャパン」の投手コーチも務められたサブマリン「山田久志」氏が、常に色紙に書く言葉です。

 「栄光に近道なし」

 ゴールとして定めた山の頂へ登ろうとする時、一直線に最短距離を進むことはできません。
 曲がりくねった険しい山道が永く続きますと、「何処かに近道はないか?」と邪な考えが過ったりします。
 三叉路に行き当たった際、「こっちの方が近いし、楽に登れるよ。」という無言の誘惑に乗っかって、順路に背いてしまうこともあるでしょう。
 ところが、近道に見えたその獣道は、歩を進める程、次第に細く暗く険しくなっていくのです。
 傷だらけになりながら、掻き分け掻き分け進んでいき、やっとの思いで陽の差し込む場所まで辿り着いてみれば、そこは元の三叉路よりも手前だったりします。

 「棚から牡丹餅」とは言いますが、せめて棚の下までいかなければ、牡丹餅も食べられません。
 楽して儲かる方法もなければ、練習せずして一流のアスリートに成る術も無いでしょう。
 「他人の褌(ふんどし)で相撲をとる」のは良しとして、「自分の褌を貸して相撲を取って貰う」ことで、自力が上がる道理は無いのです。

 「栄光に近道なし」・・・自戒すべき至言として、胸に刻みます。
 
 
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン

・経歴 
 雄新中卒業 → 新田高校中退
 大工・石工と約十年職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業
 令和2年 ㈱南洋建設 代表兼任
 令和4年 ㈱たんぽぽ不動産起業

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