選別③ 社会人の通知表

 【 選別は、意地悪な弱い者いじめだ。
  弱い子が馬鹿にされ、仲間外れにされ、笑いものにされるのと同じ。
  最悪のやり方だ。 】

 こうしたコメントを何百回となく聞いてきた「ジャック・ウェルチ」は、こう切り返します。

 【 「小学校で成績評価を受けましたか?」・・・当然ながら全員が「イエス」と答える。
  「成績評価をすることは意地悪だと思いましたか?」・・・「いやそんなことはないですが」と普通は答える。
  時には成績が胸にこたえることもあるが、子供たちはなんとか生き抜く。
  
  成績はすべてを明らかにする。
  卒業して宇宙飛行士になる子、科学者、大学教授になる子もいれば、
  マーケティング・マネージャーや広告代理店のエグゼクティブになる子も、
  看護士、料理人になる子もいる。
  プロのサーファーになる子だっている。
  成績は、私たちが必要とする自分のことを教えてくれ、導いてくれる。

  それなのになぜ21歳になると突然、成績通知表を受け取っては駄目になるんだ? 】
 
  確かに、勉強を怠って、遊び呆けている子供が、東大を目指すのは無謀で不幸。
  成績は振るわないけれど、サッカーが上手な子は、プロ選手を目指せば良い。
  機械いじりが好きな子は、工業高校に進学して、エンジニアの道に進むのが得策。

  これと同じ様に社会人となってからも、自らの評価や適性に応じた人生を切り拓く権利と機会が与えられるべきでしょう。
  非情と揶揄される「選別」ですが、活躍も貢献もできないポジションで、低評価を受け続けることの方がよっぽど「意地悪な弱いものいじめ」かもしれません。
  ウェルチはこう言っています。

  『自分の立場がわかれば、自分の運命を自分でコントロールすることができる。
  これ以上公平なことはあるか?』              
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選別② 集団心理の縮図

 全米を代表するゼネラルエレクトリック社の人事制度はシビアで、下位10%のローパフォーマーは「ボトム10」と位置付けられる、退職勧奨の対象です。
 前会長ジャック・ウエルチの著書によれば、勝ち残った9割の優秀な社員の中からも、また「ボトム10」が生まれます。

 前回も触れましたが、この「選別」は非情と受け止められることも少なくありません。 
 以下は、以前ご紹介した、アリの話です。 

 勤勉の代名詞の様に扱われる働きアリですが、本当に働いているのは僅か二割だと言います。
 驚くべきことに、残りの八割は自堕落な、怠け者アリなのです。

 更に、この中から怠け者の八割を除外した場合、残った働き者の内の、また八割が怠け者に転落します。
 そして、除外した八割の怠け者の中からも、また二割が働き者に昇格するのです。

 これは典型的な集団心理の縮図。
 上昇志向の競争スパイラルを弛まず繰り返すことで、強い集団と成っていくのです。
 逆のパターンであれば、企業の弱体化が加速します。

 他社との競争に打ち勝つために、どちらを目指すべきなのかは明らかです。

何故儲からないのか

 事業計画を策定する際、現状の経営分析が欠かせません。
 会社における事業や商品毎にセグメントし、各々の売上・利益・販管費を割り出します。
 平たく言うと、どの商品が儲かって、どの商品が儲からないのか?を明らかにする作業です。

 儲からない理由は幾つかあります。
① 需要 : 過去はともかく、今やその商品は必要とされていない
 ※ 今時、レコード針やカメラのフィルムは売れません。
   ニーズの先取りと見極めは、最も重要です。

② 価格 : 競合他社に比べて価格が高い
 ※ 量販店で3万円のTVを、地元の家電店が5万円で売ったのでは当然に売れません。
   勿論、ボランティアではないので、価格合わせもできません。

③ 宣伝 : その商品を扱っていることがお客様に知られていない
 ※ 起業して間もない頃、親しい社長から「松岡さんの会社はアパートの入居斡旋もされているんですか?」と聞かれました。
   寧ろそれが本業なのですが、認知されるまでは時間がかかるものです。

④ 営業 : 営業が行き届いていない
 ※ TVやラジオでCMを流し、チラシを配布したら反響が来る・・・これは大いなる錯覚。
   一歩も二歩も踏み込んで、担当者や経営者の懐に飛び込み、信頼関係を構築する。
   多少の無理も聞いて頂ける関係に成らなければ、既存の取引先はひっくり返せません。

⑤ 原価 : 仕入れが高過ぎて粗利が低過ぎる
 ※ 仕入れについては妥協を許さず、一円でも安いところを開拓する必要があります。
   何故なら、原価を下げた分だけは純利益だからです。
  
⑥ 経費 : 経費(人件費)がかかり過ぎる
 ※ 製造業=原価、サービス業=販管費と仕分けに違いはありますが、何れにしても最大のコストは人件費です。
   儲からない仕事に多くの人員が割かれていたり、人さえ要ればもっと儲けられる部署があったり・・・。
   商品や事業を再編する上で、人がついてくるのは当然です。

 何故もうからないのか?
 そこを知らずして、計画は組めません。

選別① 必要とされる 

 「ウィニング 〜勝利の経営〜」の中で、最も誤解を生み易いのは「選別」です。
 
【 経営陣が社員や事業をトップレベルとボトムレベルに峻別し、有能な社員や事業を育て、駄目な社員や事業を淘汰していく会社は生き残る。 
 どの事業も社員も同等に扱われ、どの事業にもすべて均等に賭け金をばら撒くような会社は苦しむことになる。 】

 端的に言えば、勝つための選択と集中。
 「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を、儲かる会社・儲かる事業に投資するのは、会社としては当然でしょう。
 一方で、義理も人情も血も涙も無い、弱肉強食の弱いものイジメとして、抵抗を示す方が少なくないのも現実です。
 しかしウェルチは、この声を言下に否定します。

【 自分が必要とされていない組織にいたいと思う人はいない。
 選別が素晴らしいのは、ボトム10%が他の組織に出て、そこで適職を見つけ、能力を発揮して成功することが頻繁にあるところだ。 】

 プロ野球に例えれば、一目瞭然です。

 『彼は日本のプロ野球で好成績を上げ、主軸選手として評価され、高給取りとなる。
 その実力を買われて、アメリカのメジャーリーグに参戦。
 メジャーでも活躍し、一躍ヒーローに。
 ところが、年齢による体力の衰えと共に成績は下降線を辿り、レギュラーの座を追われる。
 そこで、古巣の球団からのオファーを受け、日本球界復帰を果たす。
 日本のファンは熱烈に歓迎した。
 2年後、年齢は40歳・・・全盛期の力はもう無い。
 球団は、現役引退を持ち掛ける。
 それでも現役にこだわる彼は、独立リーグへの移籍を決断するのだった。』

 当たり前ですが、結果を残せない選手は、メジャーに留まることはできません。
 仮にフロントや監督が、そうした選手を温情で使い続けるとすれば・・・。
 ファンからはブーイングの嵐、チームは弱小化してしまうでしょう。
 例えメジャーで通用しなくても、日本や韓国や独立リーグなら居場所はあります。
 
 勝てない事業を、勝てる事業に転換する。
 活躍できていない社員を、適材適所に配置する。
 そして、勝てる事業で活躍する社員に対し、活躍に相応しい報酬で報いる。

 自分が必要とされていない組織にいたいと思う人はいません。

問題と課題の違い

 真剣に仕事と向き合っていれば、毎日幾つかの問題と課題が生まれるものです。
 問題と課題は違います。

 問題 = 現状と標準とのギャップ
 課題 = 現状と目標とのギャップ

 住宅の修繕に例えて言うならば、
 問題は、白蟻や雨漏りといった、必要に迫られてのリフォーム
 課題は、システムキッチンや間取り変更といった、付加価値アップのためのリノベーション 
 
 問題は直ちに解決しなければなりません。
 問題解決に当たっていても、それなりに忙しさは演出できます。

 しかし、問題の解決に奔走する間は、所詮マイナスをゼロに戻すだけです。
 早めに問題を解決し、腰を据えて課題に取り組みたいものです。
 プラス領域を目指して。
プロフィール

Hideo Matsuoka

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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