諭す心根は赦すこと

 長男の性格は私に酷似しています。
 先日、二人の息子と映画を観に行った際、奇異な光景を目の当たりにしました。
 上映開始されて間もなく、一組の老夫婦が入館。
 真っ暗な館内を、御爺さんが先導し、御婆さんを誘導し、二人は手探りで席につきます。

 映画のクライマックスシーンで、響き渡る電子音。
 そう、御婆さんの携帯電話です。
 そして、予想に違(たが)わず、電話を取って会話を始めます。

 その瞬間、長男が脱兎の如く駆け寄り、鬼の形相で注意。
 御婆さんはそのまま、外に出て行き、映画が終わるまで帰ってきませんでした。
 
 エンディングロールが消えるまで見届けた長男が、お爺さんに近付き再び一言。
 それが攻撃的な内容であることは、概ね察しがつきます。
 
 近くにいらっしゃったカップルからの、「注意してくれてありがとう」という声掛けもあって、帰路の車中二人は、老夫婦のマナーの悪さを延々愚痴り続けました。
 でも、彼らの親として、同調する気にはなれません。
 
 「確かに、老夫婦のマナーが悪かったのは事実。
 見て見ぬふりをせず、毅然たる態度で注意した行いそのものは悪くない。
 問題なのは言い方、感情的にキレちゃいけない。
 諭すことと、責めることは違う。
 人は誰しも間違ったり、失敗したりするもの。
 最後、『偉そうに注意して、ごめんなさい』と頭を下げれば、もっと良かったと思う。」

 親父の説教とは違います。
 偏った正義感から、注意しないと気が済まない性格は、まるで自分の若い時を見るようです。
 彼の年齢であれば、自分もまったく同じ行動をとったかもしれません。 
 人生を半世紀以上歩み、失敗を繰り返し、己の不完全さに気付いたからこそ判り得たことがあります。

 無知が故、孫の様な若者から叱責され、二度と戻れなかった御婆さん。
 折角の映画の機会を、一人ぼっちで最後まで見届けた御爺さん。
 相手の気持ちに寄り添えば、もう少し優しくなれたでしょう。 

 諭す心根は赦(ゆる)すこと。
 「ありがとう」と「ごめんなさい」は、より良い人間関係を築くと共に、人間性をも高めてくれる妙薬です。
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タラレバ正男

 五味洋治著、「父・金正日と私」~金正男独占告白~を読みました。
 出版されたのは5年前ですが、HOTな一冊です。

 99%の想いが読了後、100%の確信に至ったのが二点あります。
1. 暗殺の首謀者が誰かということ
2. 本の出版が原因の一つということ

 本文を一部抜粋してみます。

 ・ 常識的に考えて、世襲を三代続けることに同意することはできない。
 ・ 三十七年間続いた絶対権力を、二年ほど後継者教育を受けただけの若者が、どうやって受け継いでいけるか疑問だ。
 ・ 中国では、毛沢東でさえ世襲をしなかった。
 ・ 三代世襲は社会主義理念とは合わない。
 ・ (延坪島事件を受け)今回の砲撃が、弟の政治的功績に宣伝されていると指摘されているのを(インターネットで)見た。
 ・ 私は弟が民族の徳望高い指導者になるように願う。
 ・ 核保有国が外部からの圧力によって核を放棄した例はない。
 ・ 特に、北朝鮮のように地政学的に敏感な場所にある、生存危機を感じている国が核放棄するのは簡単ではない。
 ・ 独島(竹島)問題について、北朝鮮は日本を批判する時だけ、韓国と同調する。
 ・ 唯一超大国と対抗しているという自負心と、「軍事優先政治」の正当性を強調しようと、反米感情を鼓吹している。
 ・ 指導者が誰であろうと、北朝鮮の経済を改革し、住民たちが豊かに住めるようになることを希望する。

 正男氏自身、望まなかった本の出版と同時に、五味氏とのコンタクトは途絶えました。
 中国政府の庇護の元、政治的発言を避け、隠遁生活を送っていたにも関わらず、5年後マレーシアの地で生涯を閉じた訳です。

 たらればの話は意味を成さないけれど、聡明かつバランス感覚に優れた彼がTOPに立っていたとすれば、国際情勢は随分違っていたかもしれません。

サブリースの落とし穴

 昨日のブログで、大手サブリース会社の訴訟問題を取り上げました。
 今日はもう少し深堀りします。

 この問題の根っこは、会社と建築主双方が、「アパート経営」から乖離し、「投資ビジネス」に傾注した点にあります。
 本来、「アパート経営」で最も重視すべきなのは、入居者ニーズの先読みです。

 立地、設備、間取り、仕様、そして家賃。
 これらが全て、入居者ニーズとマッチするなら、満室経営は実現できます。
 そのためにはまず、安くて良い建物を建てるという、基本的な部分を押さえておかなければなりません。
 
 立地を間違えたり、家賃が高過ぎたり、間取りが悪いと、入居者がつき難い。
 結果、家賃をダンピングしなければならない。
 こうした、トライ&エラーを繰り返しつつ、改善していくことで、次第に正解に近付けられます。

 ところが、供給側もオーナー様も、投資商品として捉えているため、
 「保証賃料は幾らか?」 「利回りは何%か?」 という枝葉末節しか論じません。

 ・ 隣の音が丸聞こえの薄い壁
 ・ 雨だと使えない庇無しの洗濯物干し
 ・ ひとり暮らしにも狭すぎる6帖居室・・・

 こうした物件が、粗製乱造され続けた理由もここにあります。
 しかも、この安普請の木造アパートは、驚くほど高額でした。 
 通常の市場原理からすれば、高額&粗悪な商品は売れる訳がありません。

 知名度のあるタレントをイメージキャラとして起用し、TVCMを大量に流し、会社の信用力を高め、「〇〇年一括借り上げ」の強みを前面に押し出し、遊休土地の地主様にローラー営業をかけていく訳です。
 認識の浅い地主様なら、赤子の手を捻るようなものだったでしょう。
 
 今回の訴訟は、賃貸住宅に携わる全てのステークホルダー(利害関係者)に、アパート経営の本来の意味を問いかける事件だと思います。

人柱とする選択

 全国で相次ぐ、大手サブリースメーカーに対しての訴訟問題が報じられています。

 「一括借り上げ賃料は、十年間固定と言われていたにも関わらず、期間途中の見直しにより13%引き下げられた。
 『会社がつぶれてしまう』と言われ、やむなく減額に応じた。
 その後業績が回復したにも関わらず、家賃は戻らない。」

 一般的に、サブリースした場合の地主の表面利回り(年収÷投資額)は、良くても10%。
 先述の場合、減額により利回り部分が吹っ飛び、文字通り「やらなきゃ良かった」ケースです。

 サブリース会社は、20~30年という長期に渡って一括借り上げをします。
 仮に、家賃設定7万円の部屋を6万円で借り上げた場合、会社側は毎月1万円の儲けです。

 しかし、建物が古くなれば、家賃は下落していきます。
 当初7万円の家賃も、10年後には6万円、20年後には5万円と下がっていくのは市場の節理。
 従って、何年か毎に家賃見直しをしなければ、会社が持ちません。

 それでも、新築受注が多く取れれば、逆ざや分が薄められ、何とか維持できます。
 裏を返せば、サブリースとは、新築を受注し続けなければならない自転車操業のビジネスモデルなのです。
 
 先述の会社は数年前、建築受注が急減し、「倒産するのではないか」という噂が流れていました。
  『会社がつぶれてしまう』という会社側の説明は、あながち嘘では無かった訳です。
 
 新築を捨て、サブリース会社として奇跡の復活を遂げたこと自体は、称賛に値します。
 しかし、起死回生の切り札は、無情にも、オーナー様を人柱にする選択だった訳です。 
 
 この記事をSNSでシェアした際、古くからお付き合いのある某オーナー様から、次のコメントを頂きました。
 「そもそも、サブリースに頼らないといけない賃貸経営はどうかと思います。」

 まさに至言です。

点と線と螺旋

 賃貸住宅最大手の大東建託が、大きく変わろうとしています。
 平たく言えば、アパート建築提案、一括借り上げ、入居斡旋の三社に分社し、各々が専業するスタイルです。

 分業制には功罪あって、一概にどちらが良いとは言い切れません。
 ある程度の規模になれば、効率と専門性を追求する上で、分業はやむを得ないとも思います。

 例えば、我々の様な、賃貸仲介の店舗も、度々分業の是非が問われます。
 ① 管理
 ② 仲介
 ③ 案内
 ④ 入力
 ⑤ メンテ
 ⑥ 集金・・・

 これらを店舗のスタッフ全員で、寄ってたかってこなそうとした場合、繁雑になりがちです。
 あれもこれもと箸だけ付けた挙句、虻蜂取らずに終わることもあります。

 「一つに集中できれば、どれだけ楽なことか・・・。」
 そう考えるのは自然の成り行きです。
 但し、組織を分けるにしても、店舗内で担当分けするにしても、業務に関わる全員が食っていく必要があります。
 
 上記の中で、御客様からお金を直接頂く、プロフィット部門は、①管理料と②仲介料だけで、他はコスト部門です。
 そのコスト部門の人達も含めて、養っていけるだけの見込みがあるのであれば、分業や分担も良いでしょう。
 
 それ以上に大事なことは、業務の流れを掌握した社員の育成です。
 部分だけの「点の仕事」をこなすのでは、流れはおろか、その仕事の意味も判りません。
  
 点と点を結び線にする。
 線の端を引っ張って、らせん状に引き上げる。

 こうしたスパイラルが、社員個々のスキルや仕事観を高めてくれるものと信じています。
プロフィール

Author:Hideo Matsuoka
・生年月日 昭和37年10月30日

・好きな言葉 
今日は残された人生の最初の一日

・信条「先憂後楽」

・尊敬する人 
稲盛和夫 西川広一 松下幸之助

・資格 ①宅地建物取引士
    ②建築2級施工管理技士
    ③マンション管理業務主任者
    ④防火管理者
    ⑤少額短期保険募集人
    ⑥損害保険募集人
    ⑦損害保険商品専門総合
    ⑧不動産キャリアパーソン
・趣味
 劇団AUGAHANCE初代代表
 主に脚本・演出を担当

・経歴 
 中卒後、大工・石工と職人道を歩む
 平成2年 
 ㈱中岡組 (ジョーコーポレーション)入社
 マンション担当役員→常務執行役→管理会社代表を歴任
 平成21年 ㈱NYホーム起業

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